雨の岡山は、KeePer TOM’S RC Fが2014開幕戦に続き連覇
4月5日、雨の岡山国際サーキット(岡山県美作市)で、2015 AUTOBACS SUPER GTシリーズの開幕第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レースが行われた。
GT500クラス開幕戦の勝利は、No.37「KeePer TOM’S RC Fのアンドレア・カルダレッリ/平川亮組」が獲得。GT300クラスでは、No.31「TOYOTA PRIUS apr GTの嵯峨宏紀/中山雄一組」が優勝を果たした(GT300レース内容はこちら)。
実は昨シーズン、開幕の舞台となったのも同じ雨の岡山国際サーキット。そして迎えた2015年の開幕戦も、昨年を思い起こさせるような天候不順が続き、これに伴ってめまぐるしく路面状態が変化。刻一刻と環境が移り変わるウェットコンディションで、過酷な開幕戦(決勝:曇り/雨|コース:ウェット|気温/路面温度:開始:18度/20度>途中:20度/19度)となった。
序盤はPPスタートのNo.37・KeePer TOM’S RC Fがリード
決勝の朝を迎えた岡山国際サーキット。この段階では雨も一旦小康状態だったのだが、午後を迎える頃になると、霧雨のような視界に。ただし走行するマシンから跳ね上がる水しぶきは、ほぼ見えない。
そんな中、GT500勢では、カーNo.17の「KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀組)」が、唯一スリックタイヤを選択。その他のマシンは、ウェットタイヤを装着した状態で、定刻の午後2時30分、82周のレースの火ぶたが切られた。
レース序盤は、ポールポジションからのスタートとなったカーNo.37の「KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ/平川亮組)」が一歩リード。これを2番手集団が追う展開となったが、集団のなかで、カーNo.36の「PETRONAS TOM’S RC F(伊藤 大輔/ジェームス・ロシター組)」がスピンを喫して後退。
中盤はRCF、GT-R、NSXの激しい順位争いが続く
一方ミスをせず、後退を免れた2番手集団の中では、ベテランの持ち味を発揮するカーNo.38「ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)」が若干リードを広げそうな兆しを見せていたのだが、カーNo.38の後方を伺っていたカーNo.46「S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝組)」が難なく追い付き、この2台が3位を争う展開となった。
一方、ひとり淡々とトップを走り、逃げ切り体制を構築しつつあったカーNo.37の「KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ/平川亮組)」は、もみ合う2番手集団から抜け出したカーNo.1の「MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)」に追いつかれ、17周目のバックストレートエンドでスピードに勝るカーNo.1の「MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)」が首位に浮上した。
しかし20周目に、カーNo.1の「MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)」の左リアタイヤにブレーキトラブルが発生して脱落。これで再びカーNo.37の「KeePer TOM’S RC FA.(A.カルダレッリ/平川亮組)」が安全圏を確保するかに見えた。
路面が乾き出すとRAYBRIG NSX CONCEPT-GTが躍進
ただこの頃から路面が次第に乾き出し、NSX勢が大きくペースアップを始める。具体的には、予選6位から追い上げてきたカーNo.15の「ドラゴモデューロNSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)」が24周目に、カーNo.37の「KeePer TOM’S RC FA.(A.カルダレッリ/平川亮組)」を抜き首位を奪取。
その後、レースも半ばを迎えた34周過ぎになると、ピットインをするチームが出る一方で雨足が強くなってきた。車両の順位も大きく変動するなか、この流れが各チームをタイヤ選択で悩ませた。
この段階で暫定2位を走っていたカーNo.100の「RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)」と、暫定3位のカーNo.37「KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ/平川亮組)」が難しい路面コンディションの中で気迫のバトルを繰り広げ、その後方では、単独3番手を走っていたカーNo.12の「カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/J.P.デ・オリベイラ組)が、後ろから迫ってきたカーNo.15の「ドラゴモデューロNSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)にパスされて、序盤でトップを走っていたカーNo.15が3番手となった。
終盤は雨足が強くなって生存を競う生き残りゲームに
終盤になると、さらに雨が強くなり、悪天候のなかで2番手を走り続けてきたカーNo.37の「KeePer TOM’S RC FA.(A.カルダレッリ/平川亮組)」の好走が光るようになる。
残り周回数15周過ぎ、カーNo.37「KeePer TOM’S RC FA.(A.カルダレッリ/平川亮組)」は、カーNo.100の「RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)」をオーバーテイクし、その後、首位に踊り出る。
この時、5番手を走っていたカーNo.8の「ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)」が、カーNo.12「カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/J.P.デ・オリベイラ組)」をパスして4番手に浮上。雨でペースダウンするNSX勢の中でひとり気を吐いた。
その後、さらに雨は強まり、コース上の水の量も増えていたこともあり、コースアウトするマシンが続出。
残り周回数2周になった時点で順位変動がなくなり、最終的には、レース序盤にポールポジションからスタートし、トップを走っていたカーNo.37の「KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ/平川亮組)」が開幕優勝を勝ち取る。
続く2位の座には、しぶとくマージンを稼ぎ続けたカーNo.100の「RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)」が座り、3位には、終始ベテランの持ち味を発揮したカーNo.38「ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)」が入った。
第1戦 岡山国際サーキット : 優勝記者会見
GT500 Class
No.37 KeePer TOM’S RC F
タイヤ選択も含めて戦略が大成功でした
– アンドレア・カルダレッリ –
とてもストロング(強烈)な週末で、ほとんど総てのセッションでポールを獲ったような気がしました。今日のレースでもポール・トゥ・ ウィン。こうして開幕戦に勝って、シリーズに良いスタートを切ることができました。
ただ今日のレースは、どんなタイヤを選択するのか、など非常に難しいものでした。天候がどうなるかは“神のみぞ知る”ことで自分たちが考えてどうにかなる訳もないのですが、でも結果的にはタイヤ選択…、雨が降ってきても少しの雨なら行けるタイヤを選んだのですが、これは大正解。そのタイヤ選択も含めて戦略が大成功でした。
シーズンオフにハードワークでクルマを仕上げてくれたチームには、この週末のグッドジョブも含めて、感謝しています。開幕戦はウェイトハンディもなく、ピュアスピードの戦いなので、そこで勝つことができて、本当に嬉しいです。
去年も、岡山の開幕戦で勝ったけど、チャンピオンには手が届かなかった。ですが今年は去年とは違う結果を望んでいます。去年は、最終的には2ポイント差でタイトルを逃しているので、今年こそチャンピオンを狙いたいですね。
「自分を奮い立たせながら走っていた」
– 平川 亮 –
幸先の良い結果になりました。タイヤチョイスがバッチリで、アンドレア(カルダレッリ)のスティントもそうでしたが、自分のスティントでも後半には雨が降ってくると判断してタイヤを選び、後半のスティントを走ることになりました。
走っている時には、今、自分が何位なのかはまったく分かっていませんでした。スティントの前半(の雨の量が少ないコンディションで)はタイヤがとても厳しくて一度はNSX CONCEPT-GTに抜かれてしまったのですが、監督からは無線で『辛いだろうけど、耐えろ!』と言われ、自分を奮い立たせながら走っていたら、予想通りと言うか後半には雨が降って、一度抜かれたNSX CONCEPT-GTを再逆転することができました。
昨年もピンチヒッターで参戦していましたが、フル参戦するのは今年が初めてで、レースをスタートするまではバックマーカー(周回遅れとなるマシン)を上手く処理できるのだろうか? とか不安もあったしプレッシャーもありましたが、終わってみると、自分でも勝てるんだ!と意外な感じです。
次回の富士も、入賞したいのはもちろんですが、ウェイトも積むことになるので、先ずは結果にこだわらず、クルマのポテンシャルを引き出してノーミスのレースをしたいです。
レースリザルト