旭化成、欧州の低炭素社会への実証プロジェクトに参画


アルカリ水電解システムを用いた水素関連事業の展開

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅)のヨーロッパ統括会社である旭化成ヨーロッパ(本社:ドイツ連邦共和国デュッセルドルフ市、以下「AKEU」)は、欧州地域の低炭素社会実現の実証プロジェクトに参画する。

今日、世界で低炭素社会の実現に向けた取り組みがある。それらは、火力発電所や化学プラントから排出されるCO2を回収して貯蔵したり、石油代替燃料等として利用するなどがある。

AKEUが拠点を置くドイツでは、温室効果ガス排出量の大幅削減を原子力発電全廃と並行して進めるために、総エネルギー消費に対する再生可能エネルギーの導入目標を設定。

それを達成する手段の一つとして、再生可能エネルギーで発電した電力を水素、さらにはメタンやメタノール等に変換して交通分野等での燃料として活用する。またその原料として産業環境から排出されるCO2を活用することが検討されている。

一方、旭化成ではイオン交換膜と食塩電解システムの技術・ノウハウを生かして、再生可能エネルギーで発電した電力から水素を製造。低コストでエネルギー変換効率が高いアルカリ水電解システムの開発に取り組んでいると云う。

そこでAKEUは、EUの研究プログラムの一環であるALIGN-CCUSプロジェクトへ参画し、このアルカリ水電解システムを提供することで、他のヨーロッパパートナーと協力してドイツでの実証を進めていくことになった。

計画は2017年から2020年までの3年間で、6つのワーキングパッケージに分かれてCO2回収技術の最適化・コスト削減、大規模CO2輸送、オフショアでの安全なCO2地下貯蔵、CO2活用技術の開発、CCUSの社会的啓蒙のサポートを検討していく。

そうしたなかAKEUが参画するワーキングパッケージ(WP4)は、産業環境で排出されるCO2の回収、水素製造、他エネルギーへの転換、およびこれらトータルプロセスの設計と構築に重点を置いていく。

また、回収されたCO2を水素と反応させて製造されるメタノールや、DME等の燃料としての潜在的な市場需要を確認。適用可能性および環境性能も評価する。

旭化成では40年以上のイオン交換膜法食塩電解事業で培った技術を基に、低コストで水素を製造するアルカリ水電解システムの開発を進めてきた。

例えば神奈川県横浜市に設置した実証機サイズの大型水電解システムでは、10,000時間を超える安定的な稼働を実現している。これは再生可能エネルギーを水素に変換するエネルギー効率は90%と世界最高レベルであり、1万キロワットの電気を使い、常温常圧で1時間当たり2,000m3の水素を製造でき、これは2年間燃料電池車が走行できる量に匹敵する。

旭化成では、「はアルカリ水電解システムの技術開発にますます磨きをかけ、美しい地球環境を保つため、クリーンな環境エネルギー社会の実現に貢献してまいります」と結んでいる。