独自のタッチポイントから新たなF1カルチャーを構築する
来たる2026年シーズンからF1世界選手権 ( FIA Formula One World Championship )に参戦するアウディF1チーム( Audi F1 Team )は7月30日(ドイツ・インゴルシュタット発)、フィンテック企業のレボリュート( Revolut )をタイトルスポンサーに迎える。
ちなみに、このパートナーシップの核心は、欧州を出発点に75年の歴史を持ち、約8億2000万人のファン、16億人のテレビ視聴者を擁し、年間の観客動員数400万人を誇る稀代のモータースポーツ選手権に参戦するザウバー・モータースポーツ( Sauber Motorsport AG )と、6,000万人超の顧客を有するグローバル金融企業のレボリュートが共に革新を推し進めていくための推進力を獲得していくための「歩み」にあるとした。
その姿勢は、既成概念に挑戦し続ける2つのプレミアムブランドを結びつけるものだと説明している。
まずは、そんなザウバーの歴史は、1970年代以前にアマチュアレーサーだったペーター・ザウバー氏が、ヒルクライムに参戦するために立ちあげたチーム活動が皮切りとなる。それ以降は、常に資本力を持つ大手自動車メーカーとのパートナーシップを渡り歩いていく歩みでもあった。
かつて耐久レースで活躍した時代には、メルセデスのワークスとしてスポーツカー世界選手権( WSPC )とル・マン24時間レースを制覇。F1ではメルセデスとの連携を解消した後、フェラーリやBMWのパワーユニットを搭載して活躍した。
そして来季2026年からは、先の2005年時のBMWによる買収以来2度目のザウバーチームの黒子化となり、事実上アウディ・フォーミュラ・レーシングの100%の運営体制に移行する。
一方でレボリュートは、イギリスとフランスの国籍を持つロシア( 後にロシア国籍を放棄 )の起業家ニコライ・ストロンスキー氏( Nik Storonsky )が共同創業者兼CEOを努めるベンチャーキャピタル企業。
このニコライ・ストロンスキー氏は、1984年7月21日にモスクワ郊外のドルゴプルドニで生まれ、リーマン・ブラザーズの株式デリバティブのトレーダーとしてキャリアスタート。
その後、スイスを経てイギリスに移住してイギリス国籍を取得。2024年にフランス国籍を取得。2015年に、旅行中に有利なレートで通貨換算を可能にする決済手段を標榜して、フィンテック企業のレボリュートを設立した。
2021年に同社は、英国で最も価値のあるフィンテック企業となり、それ以降、国際金融サービス網を拡大。現在35カ国以上で事業を展開。6,000万人超の顧客へサービス提供している。
そんなレボリュートの手厚いサポート体制を背景に2026年に正式デビューするアウディ・フォーミュラ・レーシングチーム。
この両社がパートナーシップで掲げる共通目標は、レースが開催される週末毎に、モータースポーツに熱中する新世代のファンとレボリュートの顧客に対して、独自のユニークな体験と、特別なベネフィットや限定特典を提供することにあるという。
レボリュートはF1チームのマインドセットも改革する
アウディAGのCEOであり、ザウバー・モータースポーツ( Sauber Motorsport AG )の会長職を兼務するゲルノート デルナー氏は、「アウディは明確な意欲を持ってフォーミュラワンに参入します。
それは、このF1というプラットフォームを、アウディブランドの将来に向け、技術的に重要で、かつ経済的に持続可能な投資として活用することです。
私たちはこのプロジェクトの成功を固く信じており、現実的な姿勢と継続的な改善を行うというマインドセットで取り組んでいます。またアウディとレボリュートは、お互いに志と姿勢を共有するパートナーとして認識し合っています。
私たちは、フォーミュラワンというグローバルな舞台で、新たなターゲットを見据え、私たちの製品やサービス、ひいては更なる企業活動に取り組む熱意を、F1ファンの皆様へお伝えしたいと考えています」と述べた。
この発言を受けたアウディF1チーム代表のジョナサン ウィートリー氏( Jonathan Wheatley )は、「アウディは革新と絶え間なく志を探し求めていくという挑戦的な姿勢を共有できるパートナー、レボリュートと巡り逢いました。
それはブランドが醸成する親和性を高めるという一面的な役割だけではなく、モータースポーツシーンに於いて改革するべき技術的な常識や旧来の慣例に挑戦する戦略的アライアンスであるのです。
レボリュートのデジタル・ファーストなソリューションは、2026年からアウディの主要なオペレーション分野を支えると同時に、ファンやコミュニティと私たちのチームとの関わり方を再定義します。
それはサーキット内外を問わず、シームレスで魅力的な体験をファンの皆様へ向けて提供していくことになります」と新体制が示す可能性に言及した。
続いてレボリュートでCEOを努めるニコライ・ストロンスキー氏は、「レボリュートとアウディF1チームにとって非常に重要なパートナーシップです。
私たちレボリュートは1億人の顧客に向けて事業規模の拡大を推し進めており、その人々をフォーミュラワンに引き込み、このスポーツの転換点に於ける忘れられない体験を提供します。
グローバル金融の現状に挑み続けるレボリュートと同様に、アウディF1チームもモータースポーツという競争の舞台で、新時代を切り拓くために挑戦する準備が整っています。
今後の展望、グローバルな志、そして絶え間ない進化への推進力を共有するこのパートナーシップによって、レボリュートとフォーミュラワンで実現できることとは何かを示すだけでなく、その挑戦の歩みがF1ファンの皆様から共感を得られることを目指しています」と結んでいる。