自動車サプライヤーのマレリは、車載テレマティクス向けの「手頃な5G RedCap(Reduced Capability:機能縮小)技術」を発表した。この技術は、4Gと比べて50%高いデータ速度(レート)、2.5倍低い遅延(レイテンシ)を実現しながら、価格は同等の水準を維持する。
この手頃な5G RedCapとは、既にコネクテッド・デバイスやウェアラブル端末で採用されている5G技術の簡素化バージョン。マレリはこの技術を自動車分野向けに応用し、従来よりも高速なデータ送信、低レイテンシ、ハードウェアの簡素化、省電力性を提供する。
これらは、電気自動車やコネクテッド・カーにとって重要なメリットとなる。また、この新ソリューションは従来型の5Gの手頃な代替案にもなり、2030年以降に一部地域で開始が見込まれる4Gネットワークの段階的廃止にも対応できるという。
加えて、マレリは主要なテレマティクス・モジュール・サプライヤーと密接に連携し、次世代テレマティクスが米国のハードウェア・ソフトウェア規制やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ貿易協定)の域内製造コンテンツ要件に準拠するよう取り組んでいる最中にあるとした。
この技術は、4Gと5Gネットワーク間をシームレスに切り替えることができ、5Gのカバー範囲が限られている場所や未対応の地域でも途切れることなく接続性を確保する。また、次世代型Wi-FiおよびBluetoothに加え、デュアル周波数対応のGNSS(全球測位衛星システム)も統合し、ドライバーや乗員に対してメディア・ストリーミング、リアルタイム・ナビゲーション、OTA(over the air)アップデートなど、多様なコネクティビティ体験をさらに向上させるとした。
マレリの電子事業部門で戦略&製品管理担当副社長を務めるネイト・スラデック氏は、「手頃な5G RedCapは自動車テレマティクスのゲーム・チェンジャーです。
4Gのサービス終了、陳腐化、コスト面、米国の規制、USMCA準拠といった現行の課題をすべて解決します。5Gの先進的な接続性を4Gに近い価格で提供することで、特に従来型5Gのフル性能までは不要な車両向けに、手頃なコネクティビティの新しい基準を打ち立てることができるでしょう」と話している。
このマレリの「手頃な5G RedCap」ソリューションは現段階で、デモンストレーションが可能な状態にあり、2026年初頭には製品サンプルの提供を開始。2028年にはグローバルでの量産開始を目指しているとした。
参考情報:
5G RedCapテレマティクスの特徴(4Gおよび従来型5Gとの比較)
現在は最大20MHzまでとなっているが、4Gネットワークの段階的廃止が始まると、これが大幅に減少するという。

