パナソニックグループ(本社:大阪府門真市、代表取締役 社長執行役員 グループCEO:楠見雄規)は、2026年1月6日から9日まで米国ネバダ州ラスベガスで開催されるCES 2026に「The Future We Make」をテーマに出展する。
同社グループは、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指し、持続可能な社会に貢献するAIを活用した新たな価値の創出に取り組んでおり、B2Bソリューション分野での貢献を中心にその最新の成果を展示していくという。
特に、AIインフラ向けソリューションの展示では、消費電力量が多いデータセンターに於いて、エネルギー消費を抑えながら高い信頼性を実現するソリューションを紹介。
より具体的には、省スペースで安全性が高く、電力負荷変動に対応して電力運用効率を向上させるデータセンター向け蓄電システム。
大電流化・高温化に伴う高負荷環境下での安定動作・高速通信に貢献するコンデンサや多層基板材料、サーバーを熱から守るエネルギー効率の高い冷却水循環ポンプと冷却用コンプレッサー。
高集積化・高速大容量化が進む省電力AI半導体の製造中工程に対応する高精度半導体製造装置群など、パナソニックグループの総合力を生かしたソリューションを展示。また、物流やサービス業など非製造業の現場で、強靭なサプライチェーンや人々の安全で快適な生活を支えているAIを活用したB2Bソリューションの事例も紹介していく。
パナソニックグループブース概要
– CES 2026 開催期間:2026年1月6日(火)~1月9日(金)
– 会場:ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)セントラルホール ブース#16605
– ブース面積:1,412平方メートル
主な展示内容
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1. AIインフラ向けソリューション
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拡大を続ける生成AI需要に対応するデータセンター向けソリューションを中心に紹介。
データセンター向け蓄電システム
サーバーラック内に設置できる「安全設計」「高出力」の分散型電源システムを展開。データセンターの24時間365日稼働を支える電源として、停電時のバックアップ機能に加えて、電力消費のピーク時に不足した電力を補うピークシェーブ機能(あらかじめ電気をためておき、ピーク時に使うことでデータセンターの電力効率を高める仕組み)を搭載。GPUのさらなる進化に伴う電力需要の増大が予想されるなか、データセンターの安定稼働と運用効率向上に貢献する電源ソリューションを提供する。
生成AIサーバー向けデバイス/マテリアル(導電性高分子アルミ電解コンデンサ「SP-Cap™」、多層基板材料「MEGTRON™」)
生成AIサーバーなど次世代データセンターの進化を支えるデバイス/マテリアルとして、「導電性高分子コンデンサ」や「多層基板材料」等を展開。
「導電性高分子アルミ電解コンデンサ(SP-Cap™)」、「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP™)」、「導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ」は、電源回路のノイズを抑制し、小型かつ大容量・高信頼性・超低ESR(等価直列抵抗)によりAIサーバーの安定動作に貢献する。
また「多層基板材料MEGTRON™」は高周波に対応し、業界トップクラスの低伝送損失特性と高耐熱性を両立。通信データ量の増加に伴う情報通信インフラ機器の高速・大容量化に対応。両製品は、大電流化・高温化に伴う高負荷環境における電源・基板設計の最適解として、データセンターの進化を支える。
データセンター向け冷却水循環ポンプ/コンプレッサー
生成AI対応データセンター向けに高性能冷却水循環ポンプと冷却用コンプレッサーを開発。CDU(Coolant Distribution Unit/冷却水分配装置)搭載を前提としたポンプは、従来同等のコンパクトな筐体で約75%の流量向上を達成すると共に、長寿命・省メンテナンスを実現。
更に冷蔵庫技術を応用した高効率コンプレッサーにより、冷却性能とエネルギー効率を強化。両技術の連携により、次世代データセンターの安定稼働を支える中核技術として冷却ソリューションを提供する。
次世代半導体製造設備技術
生成AIの進展に伴うデータセンターの省電力化の課題に対応するため、先端半導体の微細化・高集積化を実現する装置ソリューションを展開。
長年に亘りエレクトロニクスメーカーとして培ってきたモノづくりの技術資産を活かし、半導体の前工程と後工程を繋ぐ「中工程」に革新的な装置を開発。業界最高水準の高品質・高精度を実現する最新装置群をラインアップし、半導体製造の進化に貢献する。
データセンター向けサイバーセキュリティ
工場ネットワーク、ビルシステム、エネルギーマネジメントシステム等でのセキュリティ監視実績をもとに、重要インフラであるデータセンターに求められる可用性を保ちながら高レベルのセキュリティを実現。
自社独自の高度な異常検知技術と豊富な実績を誇るSOC(セキュリティオペレーションセンター)による監視により、リスク分析から攻撃検知、インシデント対応支援に至るまで幅広くサポートする。
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2. AIを活用したB2Bソリューション
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AIを活用したB2Bソリューションにより実現される効率的で持続可能な未来を紹介する。
AIを基盤とした物流・在庫最適化ソリューション(Blue Yonder)
パナソニックグループのデジタルサプライチェーン変革を担うリーディングソリューションプロバイダーであるBlue Yonderは、AI技術を活用した先進的なサプライチェーンソリューションを展開している。
カメラビジョンやロボティクス、RFID(Radio Frequency Identification/無線周波数識別)、センサーなどの最新技術を活用した次世代の倉庫自動化を紹介する。
搬入時のゲート自動制御やリアルタイムトラック追跡、荷下ろし時の在庫確認など、物流現場の各工程を最適化。倉庫内では、作業者と管理者双方の業務効率化や精度向上、安定性向上を実現し、サプライチェーン全体の高度化に貢献する。
次世代冷蔵ショーケース(Hussmann)
パナソニックグループ傘下で、食品小売・冷蔵ソリューションをグローバルに展開するHussmannは、エネルギー効率の向上と店舗運営の柔軟性を実現する新たな内蔵型ショーケース2タイプを展開。
同製品は、自然冷媒R290を採用し、多様な小売ニーズに対応できる柔軟なオプションを用意。移動可能なアイランド型タイプは、柔軟な店舗レイアウトと効果的な商品陳列を可能にする。
また、AIを活用したIoTソリューションとして、リアルタイムの機器管理や予知保全、冷媒漏れの低減を提案。加えて、視認性に優れ長寿命バッテリーを搭載した電子棚札ソリューションは、業務効率の向上と正確な価格表示に貢献する。
CPS2.0(業種横断型・現場可視化&最適化ソリューション)
CPS2.0は、生成AI・IoT・センサーなどの各種先端技術を統合したうえで、現実空間をデジタル上に再構築し、可視化・平準化・最適化を適用しながら現実空間にフィードバックすることで業務効率や質の向上など新たな価値を創出する業種横断型の技術ソリューション。
パナソニックのものづくりのノウハウや多様な現場での知見をベースにつくられた本デジタルソリューションは製造・非製造分野など業種を問わず、様々な産業分野や業種に適用を可能としており、映像・設備・設計情報・作業者の属性・計画および実績情報などあらゆるデータを統合し、業務全体の因果関係を理解した上でそれぞれの現場に適した標準化と最適化を上流プロセスに遡って適用、課題の根本的解決を図るフィードフォワード型CPSを特長としている。
推定BHQ(顔の表情による脳の健康状態チェック)
表情解析技術による独自のAIデータ分析で、4つの表情からリアルタイムに脳年齢を推定。国際標準規格に承認された脳の健康状態を示す指標「BHQ(Brain Healthcare Quotient)」を、通常の計測方法であるMRIを使わず、約1分で簡単に推定可能。定期的なBHQ計測を通じて脳の健康状態を把握し、生活習慣の見直しを促すことで、働く世代から高齢者までの健康寿命延伸を目指す次世代ヘルスケアソリューションとして、新しい健康体験を提案する。
スマートエイジングケア(フレイル予防)
介護予防には高齢者の健康や生活実態の把握が必要とされる中、収集した高齢者の個別リスクに関するデータと専門家の知見に基づき、AIによりリスク回避のための介入プランを作成し、性格的特性やお住まいの地域資源(通いや集いの場)などを元にチャットによるAIコミュニケーションで行動変容を促す。
高齢者の自律性を向上するため、社会の寛容性を高め、要介護高齢者やビジネスケアラーを生み出しにくい環境を整備すると共に、介護予防に関するリテラシーを高め、世代間の関わりを強化することで、高齢者のウェルビーイングの実現を目指す。
RizMo(体調ナビゲーションサービス)
ウエアラブルデバイス「リズムモニター」をつけて眠ることで、女性特有の生理周期に連動する低温期・高温期の変化と睡眠状態を計測。体重、活動量、日々の心身症状を入力すると、専用アプリを通じて体調予測や体調サポートアドバイスなどを提供。
健康面に関する医療従事者への相談も可能なほか、自動生成される生理周期毎のパーソナル体調レポートは、心身の状態や傾向の客観的な振り返りの習慣化につながるなど、利用者のウェルビーイングを高める次世代ヘルスケアソリューションとして、日本で2025年10月よりサービスを開始。
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3. GXソリューション
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再生エネルギー、リサイクル、廃棄物削減の分野においても最新の技術で貢献。
ペロブスカイト太陽電池
ガラス一体型構造と独自のインクジェット印刷・レーザー加工技術により、自由なデザイン性と高耐久性を両立。発電とは無縁だった建物の窓や壁・バルコニーなどへの再生エネルギーの導入を可能にする。
空間に調和するシンプルな透過パターンから、建築意匠やインテリアを演出する装飾的な柄まで、幅広いデザインニーズにも応えることが可能なため、都市部のビルや住宅に適した次世代エネルギーソリューションとして期待されている。
サーキュラーエコノミー対応 自動家電分解システム
製品の分解容易性を「見える化」する「分解CPS(サイバー・フィジカル・システム)」を核として3D CADで解体動作や所要時間をシミュレーションして最適化。得られたデータは新製品設計や自動解体ロボットに反映され、部品の再利用やリマニュファクチャリングの効率化に貢献する。
更に精緻な解体により樹脂や金属などの素材を高純度で分離することで高品質な再生材料の生産が可能となり、リサイクル工程の高度化を実現。保守性を高める設計思想を導入することで、製品の長寿命化と再資源化の両立を図る。2028年度までの実用化を目指し、循環型社会に対応する次世代リサイクル基盤を構築する。