日本自動車輸入組合(JAIA)が2月5日に実施した「第39回 輸入車試乗会」にて、メルセデスAMGの最新モデル「E53 4MATIC+」に試乗した。
メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスブランドであるメルセデスAMGが、ミドルサルーンの最新型Eクラスをベースにチューンを施したのがE53 4MATIC+だ。
2018年にNAIAS(北米国際自動車ショー=通称デトロイトモーターショー)で発表された同モデルは、パワートレインにメルセデス・ベンツが現行Sクラスで久々に復活させた「直6」と同様の、3.5ℓ直列6気筒直噴ターボエンジンを搭載。加えて、48V電動モーターからなるモーター兼発電機のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)も採用する。
ISGは、エンジンと9速ATトランスミッション間に配置された最高出力16kW(21.75ps)、最大トルク250N・m(25.49kg-m)を発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼務。48V電気システムによりエンジンアシストを行う、いわゆるマイルドハイブリッドに属するシステムだ。これに、電動スーパーチャジャーも組み合わせ、発進からパワフルな加速と高効率を実現する。
これらにより、最高出力は320kW (435ps)/6100rpm、最大トルク520N・m(53.0kg-m)/1800〜5800rpmものパワーを発揮。また、コンピューターが走行状況とドライバーの意思を読み取り、電子制御カップリングによって前後トルクを50:50~0:100でシームレスに配分するAMG 4MATIC+なども採用。これら最新テクノロジーにより、走行性能により磨きをかけたモデルだ。
スタータースイッチを押しエンジンを始動すると、4本のマフラーエンドから直6排気サウンドが運転席にまで伝わり、ハイパーフォマンスな「AMG」であることを主張する。スポーティで重低音のエキゾーストノートだが、うるさすぎる感じはなく、イコライザーでサウンドチューンを施したような上質感漂う音質だ。
同モデルには、ドライブモードを選択できるAMGダイナミックセレクトを採用しており、「エコ(Eco)」、「コンフォート(Comfort)」、「スポーツ(Sport)」、「スポーツプラス(Sport+)」、そしてドライバーが好みの設定にできる「インディビデュアル(Individual)」から選べる。
まず、通常走行に適したコンフォートで走ってみると、発進からトルクフルで、滑らかな加速をみせる。サスペンションの硬さも適度で、路面からの突き上げ感などもなく、ハイパフォーマンスモデルとは思えないほど乗り心地がいい。
また、メルセデスAMG用に最適化したAMGスピードシフトTCTを採用する電子制御9速ATは、シフトのつながりがきわめてスムーズ。市街地から高速道路まで、車速に応じてクイックにシフトチェンジし、アクセル開度に対しストレスのない加速フィールが体感できる。
ちなみに、エコモードでは、ゼロ発進からの加速がコンフォートよりやや鈍くなるが、車速が乗りさえすれば快適な走りを見せてくれた。
スポーツモードに変更し、パドルシフトで変速してみると、さらに軽快で機敏な走りが可能となる。低・中速コーナーにややスピードを高めに進入しても、回頭性がよく、車体の安定性も抜群で、気持ちよくコーナリングを楽しめる。サスペンションも、コンフォートモード時より硬めにはなるが、やはり突き上げ感がなく、快適性を犠牲していない。上質な乗り味は保たれたままだ。
ちなみに、スポーツプラスモードでも走行してみたが、今回試乗した市街地と高速道路がメインのコースでは、サスペンションなどの設定があまり変わらないためか、違いはほとんど分からなかった。恐らく、サーキットや欧州のアウトバーンなど、より速度域が高くなる道向けなのかもしれない。
エンジンと電動モーターの組み合わせによる最新パワートレインを採用した同モデルは、全域でパワフルな加速フィールを楽しめる一方、メルセデス・ベンツらしい上質な乗り味もしっかりと残したクルマだ。価格(税込)は1226万円、国内ではメルセデス・ベンツ日本で販売している。