日本自動車輸入組合(JAIA)が2月5日に実施した「第39回 輸入車試乗会」にて、メルセデス・ベンツの新型Aクラスの「A180スタイル」に試乗した。
同モデルは、5ドアハッチバックのコンパクトなボディを持ち、メルセデス・ベンツのエントリーモデルとして人気を博しているAクラスの4代目だ。日本では、メルセデス・ベンツ日本が2018年末より国内導入を開始している。
新型で一番の話題となったのが、クルマと対話しながら各種操作が行えるインフォテイメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」だ。
「ハイ、メルセデス」と呼びかけるだけで起動する音声認識システムを搭載し、カーナビの目的地設定を行ったり、車内で聞く音楽や車両の様々な機能を設定することが可能。
試しに「レストランに行きたい」と話かけてみると、近隣にあるレストランの候補が数件センターディスプレイのタッチスクリーン上に表示され、その中の1軒をタッチスクリーンを押して選択するとカーナビが自動的に目的地を設定。その間の操作手順についても音声で指示してくれるため、初めて乗った車両にかかわらず操作に戸惑う心配もない。他にも天気予報やニュース、車内灯の色など多様な設定が可能で、なかなか使い勝手がいいシステムだ。
最高出力100kW(135ps)/5500rpm、最大トルク200Nm(20.4kg-m)/1460~4000rpmを発揮する新開発の1.4L直列4気筒直噴ターボエンジンは、軽快な走りを実現する。特に、低・中速域でのアクセルのレスポンスが非常によく、アクセルペダルを踏んだ分だけパワーがリニアに出てくる感じで、心地良い加速感が味わえる。
また、次の変速ギアをあらかじめ準備するデュアルクラッチ機構7G-DCTの採用で、シフトチェンジが極めてスムーズ。フルオートマチック時はもちろん、パドルシフトによるマニュアルでのシフトチェンジ時も、タイムラグのない変速フィールが味わえる。
全長4420mm、全幅1800mm、全高1420mmのコンパクトな車体は、回頭性がよくナチュラルなハンドリングを発揮する。サスペンションも硬すぎず柔らかすぎない設定で、コーナーでしっかり踏んばってくれるため、車体がとても安定しコーナーリングが極めて楽しい。
同モデルには、ドライブモードの切り替えができるダイナミックセレクトも搭載。標準設定の「コンフォート(Comfort)」、燃費が向上する「エコ(ECO)」、スポーティな走り向けの「スポーツ(Sport)」、ドライバーの好みに設定できる「インディビデュアル(Individual)」から選択が可能だ。
選択したモードによりエンジンやトランスミッション、ステアリングアシストなどのパラメーターが変化する仕組みだが、コンフォートでは特に市街地で軽快な走りを体感できる。また、エコモードでは、ゼロ発進などでやや加速が鈍くなる感じだが、流れに乗って走るには問題ないレベル。スポーツモードでは、アクセルの応答性が極めてよくなり、キビキビとした軽快な走りが味わえる。
他にも、同モデルには、先進的な運転支援システムも採用。標準装備の自動緊急ブレーキなどに加え、オプションのレーダーセーフティパッケージを選択すると、ミリ波レーダーなどによりドライバーの疲労軽減や車線変更のアシスト、事故時の衝突被害軽減など数多くの機能が手に入る。
価格(税込)は、今回試乗した豊富な装備と多様なオプションがあるA180スタイルで369万円、スタンダードのA180で328万円。これだけの性能で400万円を切る価格は、コストパフォーマンスの点でもなかなか秀逸だ。まさにメルセデス・ベンツが誇る極上のエントリーモデルだと云えるだろう。