SUBARU WRX STI、2017年ニュル24時間。出火によりポディウムを逃す


5月25日(木)~28日(日)にドイツ・ニュルブルクで行われた「ADAC Zurich 24H」(ニュルブルクリンク24時間レース)にスバルテクニカインターナショナル株式会社(所在地:東京都三鷹市、代表:平川良夫、略称:STI)がエントリー(ドライバー: カルロ・ヴァンダム/マセール・ラッセー/ティム・シュリック/山内英輝)したが、走行中の出火によりポディウムを逃すことになった。

出走したSUBARU WRX STIは、SP3Tクラス(2リットル以下のターボ車)予選3位から決勝レースをスタート。

途中クラス2位にあがり、トップの車両との間隔を詰めていったが、3位を走行中の28日12時半過ぎ、グランプリコース内で突然エンジンルームから出火。そのままリタイヤとなってしまう。

SP3Tクラスは、欧州の代表的2リットルターボ車など合計12台がひしめく激戦区であり、直近では2015年、2016年とSUBARUが優勝してきた。

これを踏まえて2017年仕様のSUBARU WRX STIは、パドルシフトの採用などでラップタイムの短縮を狙ったモデルで、3月に富士スピードウェイでシェイクダウンを行なった後、国内にて数回にわたる走行テストを実施。

4月22日に当地で行われた24時間レースのための予選レース(6時間)に出場し、さらに5月15日にはニュルブルクリンクフルコースでのテスト走行を経て、万全の体制で5月25日からのレース進行に臨んできた。

そして迎えたニュルブルクリンク24時間レースは、いつもと同じく天候が不安定で、常に雨が降り、5月にもかかわらず気温が低いことが予想された。

しかし、本年はレースウィークの始まりから好天が続き、気温も最高で27度にまで到達。決勝レースが始まると、想定外の気温の高さにSUBARU WRX STIは悲鳴をあげ、オーバーヒート傾向によってセーフモードとなり、エンジン出力が上がらない症状が出た。

この影響を避けるため、STIスタッフはエンジン房内への導風などの対策行い、その場は事無きを得た。

その症状は草稿を重ねる毎に落ち着き、夜間にはWRX STIは本来の速さを取り戻し、ライバル車の後退の隙にクラス2位に 浮上。さらにクラストップの車両を追い上げるべくペースを上げて周回を重ねた。

しかし14時間半が経過しようとする朝6時ごろ、グランプリサーキット内の上りコーナーで、同クラスの車両に激しくヒットされ、その修復のために築き上げたマージンを使い果たしてしまう。

一旦ピットインした車両は、ボディ左側を損傷しているものの、動力性能や操縦安定性には問題がなかったため、WRX STIは走り続ける。

しかし、それから約6時間半後の12時30分過ぎ、カルロ・ヴァン・ダム選手が走行中に突然エンジンルームから出火。グランプリサーキットのコースサイドにレースカーを止め、WRX STIはその時点でリタイヤとなってしまう。

ヴァン・ダム選手は、「第1コーナーを回り、2速から3速へシフトアップしたところで突然出火しました。

兆候はありませんでした。左側のドアがダメージを受けていて開けづらかったため、僕は右側から脱出しました。ご心配かけましたが、怪我はありません」と語っている。

STIチーム監督の菅谷重雄は、「昨年我々自身が立てた目標がクリアできなかったので、それにあうクルマ、ディーラーメカニックも含め新しいプロジェクトメンバーで今年のNBRチャレンジに挑みました。

なんとかクルマを間に合わせ、新たなチャレンジについてはある程度の手応えをもって今週のレースに臨むことができました。

結果は、あってはならない火災で終了ということになってしまいました。クルマのパフォーマンスはある程度検証できたし、進化は確認できました。

しかし、この結果を招いたのは、どこかに見落としや思い込みがあったからかもしれません。今後またチャレンジできるなら、未達成の目標をクリアできるよう組み立てて、この地に立ちたいと思います」と結んでいる。