FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第5戦スペインGP(開催地:スペイン・バルセロナ・モントメロ・シルクイート・デ・カタルニア<コース全長:4.655km・決勝66周>、開催期間:5月13~15日)の予選セッションが4月14日(土曜日)に実施された。
予選セッションでは、もはやトップポジションを定位置としているメルセデス陣営のルイス・ハミルトンが、バーレーンGP以来3度目・通算52回目のポールポジションを獲得。
2番手は0.280秒差で僚友のニコ・ロズベルグ。3番手と4番手には、今シーズン次第に調子を上げてきているレッドブル陣営のダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペン。
ここのところメルセデスに一矢報いるポジションに居た筈だったフェラーリ陣営のキミ・ライコネン、セバスチャン・ベッテルが5番手・6番手で続いている。
期待のマクラーレン・ホンダ陣営では、フェルナンド・アロンソが遂にQ3進出を果たして10番手。ジェンソン・バトンは12番手というポジションに収まった。
予選セッション開始時のコンディションは、気温22度・湿度49%。コースはドライ路面で温度42度。各セッションでは、まずQ1での脱落者は、ジョリオン・パーマー(ルノー)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、マーカス・エリクソン(ザウバー)、フェリペ・ナッセ(ザウバー)の他、同セッションでいち早くコースインしたパスカル・ウェーレイン(マノー)、リオ・ハリアント(マノー)の6台。
マクラーレン・ホンダ陣営のフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは11番手と12番手でQ1を通過している。
Q2では、早々にメルセデス陣営のハミルトンが、Q2最速の1分22秒159を記録。ロズベルグが0.6秒遅れでこれに続く。
対してレッドブルに移籍したマックス・フェルスタッペンが、予選3番手タイムを叩き出す。
フェルスタッペンの僚友リカルドが4番手。続く各車はいずれも接戦となり、そうした中フェルナンド・アロンソが10番手に残ってマクラーレン・ホンダ陣営に初のQ3進出を献上した。
結果、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、ダニール・クビアト(トロロッソ)、ロマン・グロージャン(ハース)、ケビン・マグヌッセン(ルノー)、エステバン・グティエレス(ハース)が脱落した。
続く予選最終セッションのQ3では、メルセデス陣営がいち早くコースイン。当初は10コーナーのブレーキングでミスで、ルイス・ハミルトンはロズベルグの先行を許す。
さらにマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がその間に割って入るという状況で始まった。
しかし最後の最後のタイムアタックで、ハミルトンがロズベルグを上回る1分22秒フラットの最速タイムを刻んで首位を奪い返した。
その直後、ダニエル・リカルド(レッドブル)がフェルスタッペンを上回り3番手を確定する。結果、フェラーリ陣営は、終始レッドブル陣営に及ばず、スターティングポジション3列目に沈んだ。
以下の順位は、バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)、カルロス・サインツ(トロロッソ)、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)となった。
なおこのレースから、GPシーズンはいよいよ夏の欧州ラウンドに突入する。今レースの開催地カタルニア・サーキットは、1991年にシリーズ戦に加えられたコースだ。
4.655kmの全長内は、16コーナーによって構成されており、そのうち8割以上が中・高速セッション。路面コンディションはレガシーな高規格路面であるためグリップ力が高い。
従って、シャシーの空力特性がひとつの鍵で、高速コーナーでの安定性感が高ければ、ドライバーに躊躇無くアクセルを踏ませることができる。
これは結果的に、マシンに対して連続的に高い負荷が掛かることになるゆえに、今回はシャシー各部の強靱さが試されるコースとなる。
一方、ドライブトレーンに対しては、連続的な中高速ベントが続くため、アクセル開閉の落差が比較的低く負担が軽い。ただし見どころとしては、総じてオーバーテイクポイントが少ない。
勝負どころは、今季のコース中最長の730mの後のターン1の入口、出口が見えない形状のターン3、ストレートに差し掛かる前の高速のターン9などで、こうしたポイントではスロットル操作でマシンの姿勢変化を誘発するため、ドライバーの腕が問われる。
このためパワーユニットに関しては、最終的にはデプロイメント・回生能力・スロットルレスポンスの仕上がりが決勝レースを制する鍵になると見られる。
なお今レースは、先のレース同様、ソフト・ミディアム・ハードの3種のタイヤが用意されていることから、各車・各ドライバーはソフトコンパウンドを使用する例が増えると見られる。
従って、ピットストップの戦略もレースを左右する鍵のひとつとなるだろう。
以下はマクラーレン・ホンダ陣営の予選終了後のコメント
フェルナンド・アロンソ
MP4-31-04
FP3
10番手 1分24.555秒(トップとの差 +1.477秒)13周
予選
Q1 11番手 1分24.578秒(オプションタイヤ)
Q2 10番手 1分24.192秒(オプションタイヤ)
Q3 10番手 1分23.981秒(オプションタイヤ)
「Q3をテレビで観戦しなかったのは久しぶりで、実際に最終出走者として参加できて良かった。
これは新生McLaren-Hondaにとって初のQ3進出だが、本来、我々はQ3進出を数戦前に達成していてもおかしくない状況だった。
まずは今日の結果を喜んで、それから明日のレースに焦点を当て、この予選結果をどのようにワールドチャンピオンシップのポイントにつなげるのかを考えていきたい。
我々は今年初めてQ3進出を果たしたため、Q2で使用したタイヤを履いて、明日の決勝をスタートすることになる。
従って少し戦略を練る必要があるだろう。(スタート時のタイヤを)自由に選択できないのは多少不利ではあるが、なんとかそれをリカバリーをするつもりだ。
それでも、明日は前進することを考えなければならない。ここでそれを実行するには、スタートとピットストップが肝心だ。
明日はコースの性格上、それほどオーバーテイクが見られないと思うため、まずはスタートに集中し、それからタイヤをセーブしながら走る必要がある。ここではタイヤの摩耗が一つの要因となる可能性が高い。まだ道のりは長いものの、これはいいステップだ」
ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP3
15番手 1分25.051秒(トップとの差 +1.973秒)13周
予選
Q1 12番手 1分24.583秒(オプションタイヤ)
Q2 12番手 1分24.348秒(オプションタイヤ)
「今日の予選結果は、McLaren-Hondaが長い間待ち望んできたものだ。フェルナンドはいい走りをしたし、彼には週末を通して速さがあった。午後の予選でQ3進出を果たしたことは、チームにとって素晴らしいことだ。
ただし、我々はQ3に進出することだけをチームの目標に掲げている訳では無い。しかし我々は今日はいい仕事をした。これで、みんなが笑顔になることを望んでいる。
ただ、私にとっては厳しい週末となった。マシンのリアエンドが緩んでいるような感触があり、コーナーを走るときに最大限にプッシュできないという問題に悩まされているからだ。ベストは尽くしたが、あのハンドリング特性を抱えながらドライブするのは容易ではない。
それでも私はその特性にそこそこうまく順応し、フェルナンドのラップタイムからはわずか0.15秒差。これが自分にとって今週末ベストのタイムとなった。
ただし明日のレースでは、私は新品タイヤを装着してスタートするので、今日の予選結果にそれほどがっかりしている訳ではない」
エリック・ブーリエ
MCLAREN-HONDA RACING DIRECTOR
「今日の予選は、我々とHondaが再びパートナーシップを組んで以来、24度目のセッションです。そして今日、初のQ3進出を果たしたことは、ずいぶん時間がかかったものの、うれしくあり、ホッとする結果でした。
フェルナンドが母国グランプリで10番グリッドを獲得したことは、当然のことながら地元のファンが喜ぶ結果ですが、実際、我々がうれしく思っているのは、自分たちが過去の低迷から未来の栄光に向かって、徐々にではあるものの着実な進化を遂げていることが証拠として表れていることです。
以前にも言ったことですが、もう一度繰り返します。我々はまだ険しい旅の途中ですが、正しい方向に進んでいることは確かです。
また、今日のジェンソンは僅差でQ3進出を逃しましたが、彼も明日のレースでポイント圏内のポジションを目指して攻撃的で抜け目ない走りをみせるには、非常にいい位置につけています。
2週間前にはソチで、両マシンがポイント圏内で完走しました。明日、ここバルセロナでも同じパフォーマンスを披露することが我々の目標です」
長谷川 祐介
(株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「McLaren-Hondaとして初めてのQ3の進出ができ、今シーズンの一つの大事な目標を達成することができました。バトンはあと一歩のところでQ3に手が届きませんでしたが、明日の決勝はフェルナンドとは異なり、スタートタイヤの選択肢が増えることから、スタートでそれを活かしたいと思います。
昨日は両ドライバーともにグリップ不足に悩まされていましたが、エンジニアが夜中に行った努力によって、本日のセットアップが改善されたことがこの結果につながったと思います。このサーキットは追い抜きが難しいので、このスタートポジションを活かしながら、前を目指して2台の入賞を目指します」
2016年F1第5戦スペインGP予選結果
順位_ドライバー/コンストラクターズ/Q1_Q2_Q3
1_ルイス・ハミルトン_____
/メルセデス/1分23秒214_1分22秒159_1分22秒000
2_ニコ・ロズベルグ______
/メルセデス/1分23秒002_1分22秒759_1分22秒280
3_ダニエル・リカルド_____
/レッドブル/1分23秒749_1分23秒585_1分22秒680
4_マックス・フェルスタッペン_
/レッドブル/1分23秒576_1分23秒178_1分23秒087
5_キミ・ライコネン______
/フェラーリ/1分23秒796_1分23秒504_1分23秒113
6_セバスチャン・ベッテル___
/フェラーリ/1分24秒124_1分23秒688_1分23秒334
7_バルテリ・ボッタス_____
/ウィリアムズ/1分24秒251_1分24秒023_1分23秒522
8_カルロス・サインツ_____
/トロ・ロッソ/1分24秒496_1分24秒077_1分23秒643
9_セルジオ・ペレス______
/フォース・インディア/1分24秒698_1分24秒003_1分23秒782
10_フェルナンド・アロンソ___
/マクラーレン/1分24秒578_1分24秒192_1分23秒981
11_ニコ・ヒュルケンベルグ___
/フォース・インディア_1分24秒463_1分24秒203
12_ジェンソン・バトン_____
/マクラーレン/1分24秒583_1分24秒348
13_ダニール・クビアト_____
/トロ・ロッソ/1分24秒696_1分24秒445
14_ロマン・グロージャン____
/ハース/1分24秒716_1分24秒480
15_ケビン・マグヌッセン____
/ルノー/1分24秒669_1分24秒625
16_エステバン・グティエレス__
/ハース/1分24秒406_1分24秒778
17_ジョリオン・パーマー____
/ルノー/1分24秒904
18_フェリペ・マッサ______
/ウィリアムズ/1分24秒941
19_マーカス・エリクソン____
/ザウバー/1分25秒202
20_フェリペ・ナッセ______
/ザウバー/1分25秒579
21_パスカル・ウェーレイン___
/マノー/1分25秒745
22_リオ・ハリアント______
/マノー/1分25秒939