ゼンリン、NVIDIAと日本向けHDマップ開発に対してAI活用を背景にした共同研究に合意


日本国内に於ける地図大手のゼンリンと、演算並列処理に強いGPU開発で著名なNVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼 CEO:ジェンスン・フアン)は2017年1月4日、自律走行車両用のCloud-to-CarのHDマップソリューションについて共同研究することで合意した。

この合意は、ネバダ州ラスベガスで開催されたコンシューマー エレクトロニクス ショー(CES2017)の場に於いて成立したもの。

今回の両社の共同研究の対象は、データ収集を行う車両側とクラウド側、両方における一連のプロセスが含まれる。具体的な個々の研究環境については以下の通り。

まず、現地調査を行う計測車両に於いて、車載コンピュータの NVIDIA DRIVE™ PX 2 AI と、NVIDIA DriveWorksソフトウェアを利用する。

この際、カメラや「LIDARセンサ(光を用いたリモートセンシング技術によるセンサを指す。より具体的にはパルス状に発光するレーザー照射の散乱光を測定し、対象物までの距離や、その対象物を分析する装置)」で、収集した膨大なデータを処理する。

そしてこの場面で、AIによるディープラーニングの活用する。AIを活用することで、詳細な環境モデルの生成に必要な画像認識や地物検出、属性分類もリアルタイムに行うことができるのが大きな利点だ。

一方、データ センタ側では、NVIDIA GPUとNVIDIA MapWorksソフトウェアを使って複雑なデータを処理し、多数の車両から届くデータをコンパイル(獲得したビッグデータを解析し、コンピュータが利用出来る形式に変換すること)して登録し3Dマップを作成する。

ゼンリン研究開発室長の原口幸治氏は、こうした演算の流れのなかで「ゼンリンのビッグデータには、計測車両から取得した道路画像と点群データ等の膨大な情報が含まれています。

このビッグデータと、NVIDIAのAIテクノロジが融合されることで、非常に短いリードタイムで、より広範囲なHDマップを自動車メーカー各社に提供できると期待しております。

そもそもゼンリンは、創業以来60年以上にわたって、日本の地図制作に従事してきました。

そして今、現実世界の目まぐるしい変化に対応し、鮮度の高く精緻な地図を整備するツールとして、人工知能の活用をより積極的に推進していきます」と、NVIDIAとの協業の成果と可能性について、意欲的に語っている。

対して、NVIDIAオートモーティブ事業担当バイスプレジデント 兼 統括マネージャーのロブ・チョンガー (Rob Csongor)氏は、「NVIDIAのGPU テクノロジと、DriveWorks、MapWorksというSoftウエアを活用することにより、ゼンリンは地図整備プロセスを加速させ、現実世界で変化が起きた際に、その変化点を簡単に検出し、地図データに反映できるようになります

またNVIDIAでは、ゼンリンの HDマップをベースとしてローカライゼーションの技術を精力的に開発していきます。

この技術をDriveWorksに組み込めば、自動車メーカーは、車両に搭載されたDRIVE PX 2を使って、ローカライゼーション機能を統合することができます」と、並列処理を行うことで高速に演算を回す同社のGPU設計のポテンシャルに自信を覗かせていた。