WEC第2戦・スパ6時間、アウディR18優勝。トヨタ勢は上位を快走するも戦線離脱


WEC世界耐久選手権の第2戦(開催地:ベルギー・シルキュイ・ド・スパ=フランコルシャン、開催期間:5月5~7日)の決勝レースが5月7日(土曜日)に開催された。

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ベルギーの首都ブリュッセルの東南東、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森に位置するスパ・フランコルシャンで行われたWEC第2戦は、開幕戦から安定した走りを見せてきたルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組の#8 アウディR18が、ただ1台160周を走り切って第2戦の栄冠を勝ち取った。

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出走各チームが、世界耐久の檜舞台として照準に据える「ルマン24時間レース」を目前に控えたスパ・フランコルシャン6時間。

今回のレースは波乱の展開となり、LMP1−Hクラスに出走するポルシェ・アウディ・トヨタ陣営の6台すべてが荒波のなかでの航海のようなサバイバルレースとなった。

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まず木曜日のフリープラクティスに於いては、#6のサラザンが1分58秒556、#5の中嶋一貴が1分58秒771と、トヨタTS050 HYBRIDがライバル勢を押しのけるトップタイムを刻んだ。

明けて5月6日、この日は晴天の金曜日。気温22度・路面温度42度の比較的良好なコースコンディションとなった。

同日の午後4時過ぎ、各チームの2人のドライバーがタイムアタックに挑戦して、両者の平均タイムでグリッドが決する予選セッションが開始された。

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この予選セッションでは、途中、赤旗が出される場面もあったものの、その影響をものともせず、今度はポルシェ919 HYBRIDの2台が他チームを圧倒するタイムを記録するシーソーゲームとなった。

結果、ポルシェ勢の2台が互いに0.7秒差でポールポジションと2番手を分け合い、スターティンググリッド上位を独占した。

タイム的には、予選を制したポルシェ919HYBRID勢で、#1のティモ・ベルンハルト/マーク・ウエーバー/ブレンドン・ハートレー組が1分55秒793。

2番手は、#2のロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組で1分56秒台。これに1.9秒差で3番手を獲得したのが、#6トヨタTS050HYBRIDの小林可夢偉/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ組。

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4番手は、トヨタに0.018秒差で競り負けた#8アウディR18 e-toron quattroのルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組。

5番手は2人のドライバーが共に1分57秒台を記録した#5トヨタTS050 HYBRIDの中嶋一貴/アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ組。

6番手は、ひとりが57秒台に届かなかった#7アウディR18のマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組となった。

翌7日の決勝レースは、スターティンググリッド上位を独占したポルシェ919HYBRIDが主導する形で幕が落とされた。

序盤はブレンドン・ハートレーがドライブする#1のポルシェ919 HYBRIDが、2番手につけるマルク・リーブが乗る#2の919HYBRIDとのギャップを広げて快走。

その後の7周目、#2のポルシェは、ハイブリッドシステムのトラブルで後退する。

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これに代わって#8 アウディR18が2番手に浮上。序盤は#5トヨタ、#7アウディ、#6トヨタというオーダーでレースが消化されていく。

そうして迎えた20周目、3番手を走る#8 アウディR18に迫ったマイク・コンウェイの#6トヨタが、LMP2クラスのマシンに追突。その後にドライブスルーのペナルティを課されて周回遅れの5番手までポジションを落とす。

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この間2番手を走っていた#5トヨタは、スタートドライバーを務めたセバスチャン・ブエミが23周目に給油のみのダブルスティント走行を実行して、先行していた#1ポルシェを抜いて首位に浮上する。

その後、#1ポルシェは37周目にオー・ルージュで左フロントタイヤがパンク。ピットでフロントカウルを交換して5番手でコースに復帰するも、さらに44周目に痛めたパーツが原因で2度目のパンクを喫する。結果、ピット作業が長引き4周遅れの総合18番手に沈む。

これによってレースは#5トヨタが主導。2番手を走る#8アウディR18を引き離しに掛かる。さらに3番手を走っていた#7アウディR18は、5周遅れの7番手に後退する。

さらに中盤、100周を前に#5トヨタは、中嶋一貴にドライバー交代。2番手を走る#8アウディR18を周回遅れにする独走状態を築く。

しかしレースが残り2時間を切る頃、#5トヨタの右リヤから白煙が上がる。マシンはピットインした後、再度コースインしたものの、再びピットに戻ることとなり、結局、電気系統トラブルでリタイアとなってしまう。

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一方、僚友の#6 トヨタ、ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組もレース序盤にアクシデントに見舞われ、修復を重ねながら3位までポジションを回復し走行を続けていたのだが、オイルリークのトラブルに見舞われ、結果トヨタ勢2台はレース運びに充分以上の手応えを得ながらも、6時間を全うすることなくリタイアに終わった。

トヨタ勢の脱落で、#8アウディR18が首位に浮上。2番手はハイブリッドシテムのトラブルを抱えながら走る#2ポルシェ919HYBRID、3番手と4番手にノンハイブリッドユニットを積むレベリオン・レーシング#13と#12が続く展開となった。

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結果、先頭を走る#8アウディもテレメトリーの問題を抱えて138周目に一旦ピットに入るトラブルを抱えつつ、2周マージンを維持し、周回数を160周まで伸ばしてレースをフィニッシュ。

2位にハイブリッドシステムのトラブルで大荒れとなった#2ポルシェ919HYBRID、3位#7アウディR18となり、LMP1−Hクラス4位は114周を走った#5トヨタTS050HYBRID。

続く同クラス5位は、2度のパンクに見舞われ100分の修復作業の末コースに復帰した#1ポルシェが112周で完走扱いとなった。

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LMP2クラスはシグナテック・アルピーヌの#36がクラスV。2位LMGTEのフォード#31。3位は#45 マノーのオレカ05・ニッサン。

LMGTE Proクラスは、#71と、#51のAFコルセ2台が接戦の末、#51のトラブルによる脱落で、#71がクラス優勝。LMGTE Amクラスは、アストンマーチン・レーシングの#98がクラス優勝した。

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次戦のWEC第3戦は6月18日(土)と19日(日)に行われるル・マン24時間レースなる。

25万人ものファンが集まる世界で最も有名な耐久レースは、今年で84回目を数える。レースを前に、6月5日(日)にレースの舞台となる公道も使用されるサルト・サーキットで公式練習走行が行われる。

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位_No_Team____Laps(Driver)
1_8_アウディ__160
(L.ディ・グラッシ/L.デュバル/O.ジャービス)
2_2_ポルシェ__158
(R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ)
3_13_レベリオン_156
(M.トゥシャー/A.インペラトーリ/D.カライハマー)
4_12_レベリオン_155
(N.プロスト/N.ピケjr./N.ハイドフェルド)
5_7_アウディ__155
(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ)
6_4_バイコレス_151
(S.トルーマー/O.ウェッブ/J.ロシター)
7_5_トヨタ___114
(中嶋一貴/A.デイビッドソン/S.ブエミ)
8_1_ポルシェ__112
(T.ベルンハルト/M.ウエーバー/B.ハートレー)
−−_6_トヨタ___87
(小林可夢偉/S.サラザン/M.コンウェイ)

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以下はトヨタ陣営、レース後のコメント

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佐藤俊男 チーム代表
週末を通じ性能面での向上を確認することが出来ましたが、レース結果は厳しいものとなりました。

前戦シルバーストーンと比較し明らかな向上を果たせたことに関して、ケルンのチームスタッフとトヨタ東富士研究所の努力に改めて感謝したいと思います。

レース中盤を過ぎた時点まで安定して速いラップタイムを刻みながらトップを走行することが出来ましたが、残念なことに2台共エンジンにダメージを受けてしまいました。直ちに原因を究明し、次戦ル・マン24時間レースに向けて対策を講じたいと思います。

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TS050 HYBRID #5号車
(中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
決勝レース : 26位 114周、ピットストップ5回、グリッド : 5番手
最高ラップタイム : 1分59秒740

中嶋一貴
今日は難しい日となってしまいました。ダウンフォースレベルのセッティングも良く、タイヤ選定も、戦略も全て上手く行っていました。

さらに、良いところを探せば、TS050 HYBRIDは非常に競争力が高いことが分かり、それを証明出来たことです。しかし、最後にこのような終わり方をするとは思いもしませんでした。本当に勝てるチャンスはあったと思います。残念としか言いようがありません。

アンソニー・デビッドソン
序盤は良かっただけにとても悔しいです。今日こそは勝利をものに出来ると思っていました。しかし、これまでに経験したことのないトラブルですべてを失ってしまいました。

テストでは十分な距離を走って来ましたが、初めてのトラブルでした。気持ちを切り換えてル・マン24時間レースを頑張ります。

セバスチャン・ブエミ
満足とは言えませんが、納得しています。長時間にわたりレースをリードし、まさか、このような終わり方をするとは思っていませんでした。

パフォーマンスについてはこの週末を通して満足の行くものでした。今は、ル・マンに向けて照準を合わせています。

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TS050 HYBRID #6号車
(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
決勝レース : リタイア 87周、ピットストップ6回、グリッド : 3番手
最高ラップタイム : 2分00秒177

小林可夢偉
残念ながら満足出来る結果には結びつきませんでした。良い走りは見せることが出来ただけに、とても残念なレースでした。

しかし、TS050 HYBRIDの性能の高さは確認出来たので、ル・マンでは期待して下さい。

ステファン・サラザン
これほど難しい日はありませんでした。TS050 HYBRIDは2台とも最高の性能を発揮出来ていたので、揃って表彰台に立てるはずでした。

とても残念ですが、走行フィーリングは良い感じなのでル・マンに向けては期待が出来ます。

マイク・コンウェイ
とても厳しいレースとなってしまいました。ミスを犯してLMP2のクルマに接触して、レースは苦しくなってしまいました。

その後はとにかく、全力でプッシュして表彰台を狙っていました。多分、2台揃って表彰台は狙えたと思います。しかし、現実は厳しいものでした。戦略は悪くはなく、上手く行っていたと思います。