フォルクスワーゲン・ポロR WRCは、通算4 シーズンで43勝をマークし、WRCに別れを告げる
WRC撤退を宣言したフォルクスワーゲンが挑む世界ラリー選手権(WRC)は、11 月 17 日~20 日にオーストラリア東海岸のコフス・ハーバーを中心に開催された「ラリー・オーストラリア」でフィナーレを迎えた。
2013年から WRC に参戦を開始し、4年間にわたりマニュファクチャラー、ドライバー、コ ドライバーの全 3 部門をすべて独占してきたフォルクスワーゲン・モータースポーツにとって、「ラリー・オーストラリア」が最後の戦いとなったのだ。
フォルクスワーゲン・ポロ R WRC は、52 戦 43 勝、958 カ所のスペシャルステージ(SS:競技区間)のうち 640 カ所でトップタイムを記録、2016年最強のラリーカーとして記憶されることだろう。
このラリーで大活躍したのは、アンドレアス ミケルセン選手。4 年連続チャンピオンのセバスチャンオジェ選手と真っ向から勝負し、見事な勝利を収めた。オジェ選手は貫禄の 2 位、ヤリ-マティ ラトバラ選手は 9 位で完走した。
ちなみにこの「ラリー・オーストラリア」は、2009 年から東海岸に定着、さまざまなファンサービスにより、WRC 屈指の人気イベントとなっている。
コースは、アクセル全開で走行する区間があるかと思うと、その直後には木立を縫うワインディングが待っているなど、ひと筋縄では行かないグラベル(非舗装路)イベントだ。
森林区間では、木々の間から太陽が顔を覗かせてストロボ効果を発揮、濛々と立ち込める土埃と相まって、クルーの視界を奪う。
そんなラリー・オーストラリアのデイ 1 とデイ 2(金/土曜日)、並走するラリーカーが豪快なドリフトを見せる最終SSは、1.27km のラリークロス・サーキットで開催された。
また、デイ 2 には、50km を超える長尺SS が待ち構えている。2016 年「ラリー・オーストラリア」の総走行距離は 1,041.51km と短めだが、23SS で構成される 312.98km の競技区間はバラエティに富んでいる。
金曜日のデイ 1 は、コフス・ハーバー南部の 11SS が戦いの舞台。2016 年タイトルを獲得したオジェ選手は、“栄誉ある”1番スタートとなり、路面清掃を強いられながらも 4SSでトップタイム、2番手につけた。
チームメイトのミケルセン選手は、オジェ選手を上回る 5SS でトップタイムをマーク、他のSS でもトップ 3 フィニッシュを連発して、オジェ選手に 15.4 秒の差をつけて暫定首位の座に就いた。
一方、ラトバラ選手は、オープニング SS でスライドアウト、リア・サスペンションを破損して 7 分の遅れを強いられた。
その後、デイ 2、SS16 で波乱が起こる。ミケルセン選手が岩にヒットしてフロアを壊し、アクセルとブレーキが交差したまま走行を強いられた結果、それまでに築いたリードのほとんどを吐き出すことになった。
結果、ソフトタイヤを履くギャンブルが功を奏したオジェ選手との差はわずか 2 秒に縮まる。
ミケルセン選手がランキング 2 位を確保するには、現ランキング 2 位のティエリー ヌーヴィル選手(ヒュンダイ)に13 ポイントの差をつけなければならない。したがって、優勝だけではなく、ボーナスポイントが獲得できるパワーステージで首位を獲得する必要がある。
最終デイ 3 では、フォルクスワーゲン・ドライバー同士のスリリングな戦いが期待されたが、オジェ選手が SS20 でまさかのスピン。これで 20 秒を失い、ふたりの戦いに決着がついた。ミケルセン選手は、ランキング 2 位獲得はならず、3 位でシーズンを終えている。
[終了後のコメント]
■ フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター: スヴェン スミーツ
「1-2 フィニッシュで有終の美を飾ることができました。チームが一致団結し、最後の瞬間までプロ意識を貫いた結果です。ラリーチーム・スタッフはもちろん、開発チーム、後方支援部隊、パートナーに感謝の意を表します。」
■ カー#1: セバスチャン オジェ(フランス) 最終結果: 2 位
「左コーナー出口ではらんでしまい、スピンを喫しました。土埃が酷すぎて、ルートを見極めるまで時間がかかりました。2 位に終わりましたが、フェアにバトルをした結果なので悔いはありません。」
■ カー#2: ヤリ-マティ ラトバラ(フィンランド) 最終結果: 9 位
「オープニング SS のアクシデントで大きなハンディを負ってしまいましたが、その後は SS を楽しむことができました。1-2 を達成したアンドレアスとセバスチャン、おめでとう!」
■ カー#9: アンドレアス ミケルセン(ノルウェー) 最終結果: 優勝
「フォルクスワーゲン・ドライバーとして最後の戦いに是が非でも勝ちたかったので、本当に良かったです。ランキング 2 位にはなれませんでしたが、フォルクスワーゲンに勝利をプレゼントできたことがすべてです。」
FIA 世界ラリー選手権 第 13 戦ラリー・オーストラリア最終結果
– 1. アンドレアス ミケルセン/アンダース イェーガー(フォルクスワーゲン) 2 時間 46 分 05 秒 7
– 2. セバスチャン オジェ/ジュリアン イングラシア(フォルクスワーゲン) +14 秒 9
– 3. ティエリー ヌーヴィル/ニコラス ジルスル(ヒュンダイ) +1 分 12 秒 6
– 9. ヤリ-マティ ラトバラ/ミーカ アンティラ(フォルクスワーゲン) +7 分 56 秒 9
FIA 世界ラリー選手権 マニュファクチャラーズ選手権ランキング(2016 年最終結果)
1. フォルクスワーゲン・モータースポーツ 377
2. ヒュンダイ・モータースポーツ 312
3. フォルクスワーゲン・モータースポーツ II 163
FIA 世界ラリー選手権 ドライバーズ選手権ランキング(2016 年最終結果)
1. セバスチャン オジェ(フォルクスワーゲン) 268
2. ティエリー ヌーヴィル(ヒュンダイ) 160
3. アンドレアス ミケルセン(フォルクスワーゲン) 154
6. ヤリ-マティ ラトバラ(フォルクスワーゲン) 112