GLM、EVプラットフォーム事業に経営資源を集中へ


自社の技術者達の開発能力を集中させて、他社に提供する次世代電気自動車の心臓部を多車種展開へ

京都大学発のEV(電気自動車)ベンチャーのGLM株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:小間裕康)は、「自動車メーカーのEVの量産・研究開発支援」や「部品・素材・化学・ITメーカー等の自動車関連事業の技術・開発支援」を展開する「プラットフォーム事業」に経営資源を集中させる。

このため翌月4月から新たな組織を立ち上げ、同事業に取り組むエンジニアを集中させると共に、技術者を増員し、事業拡大を急ぐ。

これは世界的なEVシフトが加速するなか、EV市場に新規参入したい企業や、自社の自動車事業を拡大したい企業が、ますます増えていることが背景にある。

そこで同社は、電気自動車事業に参入する企業の様々な課題を解決し得る自動車メーカーとして、次世代のEV市場下で独自の立ち位置獲得を目指す。

具体的には「プラットフォーム事業」の基軸となる次世代型のEVプラットフォームの開発に集中する。開発する車台は、自社ブランド車のみの搭載だけを追わず、多車種の自動車に応用・展開できるフレキシブルなプラットフォーム開発を目指していく。

中でも、次世代自動車の心臓部にあたる主要基盤の「EVシステム(モーター・インバーター・バッテリー・制御システム等)」を開発の中心に据える。

特にこの領域では、自社のこれまで培ってきたノウハウを集結。車両の各種電子部品やシステムを協調制御面で他社から抜きん出た高機能な製品づくりを目指していく構え。

また自動車単体だけでなく、「外界との繋がり」が重視される将来に於いては確実にキー技術となる先進運転支援システム(ADAS)や、車載ソフトウェアの無線アップデート(OTA)などIT分野の市場ニーズにも順応できるよう開発体制を固めていく。

同社は、このプラットフォーム開発をベースに、まずは「自動車メーカーのEVの量産・研究開発支援」、そして「部品・素材・化学・ITメーカー等の自動車関連事業の技術・開発支援」に両面から展開していきたい意向だ。

例えば前者では、フレームやシャシー、制御システム等といった車両内部のモジュールや、技術基盤等の中核部分を各社に販売する他、自動車開発を総合的に見ることができる完成車メーカーとしてのノウハウをもとに車両開発の支援を行う。

新規開発に着手する新プラットフォームは、新たな「GLM G4」の車両パッケージにも活かして行く方針

実際に、中国やインドといった新興国を中心に、EVの量産支援に関する引き合いは増えており、依頼内容も多岐に亘る。そこでよりフレキシブルなプラットフォームを開発することで、受注の間口を広げ、「プラットフォーム事業」の拡大に弾みをつけたい考えだと云う。

また後者では、プラットフォームの開発過程で得る最先端のテクノロジーを活かし、各社の新技術や部品の共同開発、保有技術の自動車分野への応用、先行開発品や既存製品を搭載したコンセプトカーや試作車両の製作といった、幅広い依頼に対応していくとしている。

なおこれまで主力としてきた「完成車事業」は、EV市場の動向が大きく変化していることも鑑み、従来の企画や方針を見直す。

世界的なEVシフトが進む中、同事業における依頼内容も多岐にわたっており、そうした各案件に対応できる高機能でフレキシブルなEVプラットフォーム開発を、今後の命題として位置付けていく方針のようだ。

具体的には開発中のEV「GLM G4」に関して、販売計画を発表した当時(2017年4月)の車両企画(スペック〈性能〉・価格・販売台数・販売エリア・販売時期 等)を再定義し、今後完成を目指す第2世代のプラットフォームを搭載した新たな完成車両として、市場投入していくことを検討していく。

これまで同社は、協力会社との情報共有を重視し、開発コンセプトや開発状況を水平分業体制を背景にオープンにすることで双方向で意見を出し合いながら事業を進めてきた。

これは情報を秘匿にして競争力を高めてきた自動業界(垂直分業型)に於いては珍しく、取引先からは「設計の意図が分かるので製品の改良を行いやすい。GLMと組めば自社の開発力向上にもつながる」と評価されるなどの特徴を持っている。

今後も変わらぬこの特徴を強みに、車両や部品の開発から技術提供まで一貫したオープン体制で他社との協業を受け入れていく。

こうした方針の再定義については同社では、「今後、新技術の開発を課題とする中国やアジアの自動車メーカーが増え、高品質なEVシステムを中心とした自動車開発支援への要望が高まると踏んでいます」と述べており、今日、急加速する激しいEVの開発競争を受けて、自らが臨んで飛び込み、獲得してきた自前の先行技術を糧に、今後大きなうねりを見せている同業界で事業拡大の糸口を掴んでいきたい意向のようだ。