一般社団法人日本ガス協会と一般財団法人環境優良車普及機構、CO2排出量削減やミラーサイクルの新エンジン開発の機運を促す
一般社団法人日本ガス協会(本部:東京都港区虎ノ門、会長:岡本 毅、以下、 日本ガス協会)は、2017年4月から高効率天然ガストラックの実証走行試験を開始した。
この実証試験にあたっては、運送事業者が業務車両として使用し、燃費と環境性の一層の向上を実証すると共に、使い勝手の検証を確認していく。
これにあたって2017年4月24日に、東京ガスの「ガスの科学館『がすてなーに』」(東京都江東区)に於いて、試験車の出発式を開催した。出発式には、行政や運送事業者など関係者約70人が出席した。
実証走行に使用する圧縮天然ガス(CNG)トラックは、地球温暖化対策やエネルギーセキュリティーに役立つため、広く普及している。
しかし最近、ディーゼルトラックの環境性能向上が著しく、その一方で、CNGトラックは2005年からモデルチェンジがないため、ディーゼルトラックに対する優位性は縮小傾向にある。
そこで高効率なCNGトラックを開発し、自動車メーカーに量産化を促すことが今回の走行試験の狙いと同協会では述べている。
試験期間は2年間で、日本ガス協会が一般財団法人環境優良車普及機構に委託して実施する。
実施企業は、CNGトラックの運行で多くの実績がある佐川急便株式会社と、新潟運輸株式会社に試験の協力を依頼。佐川急便株式会社は2tトラック、新潟運輸株式会社は3tトラックを実務で使用していく。
使用車両に関しては、自動車部品メーカーのHKSが、ディーゼルトラックをCNG仕様に改造した。
今回使用に供した3tトラック、2tトラック共に排気量3Lの過給器(ターボ)付エンジンが搭載されており、小排気量化による出力やトルクの不足をターボで補って効率向上を狙う構え。
なお今後、実証走行試験は二段階のステップを踏む。まず今年度は通常のバルブタイミングのエンジンを使用。
そして来年度は、バルブが閉じるタイミングを変更して圧縮比よりも膨張比を大きくするミラーサイクル技術を採用し、さらに高効率化を進めたミラーサイクルの新エンジンを搭載する。
ミラーサイクルの新エンジンは、ディーゼルエンジンと同等の出力・トルクを維持しつつ、高効率化によりCO2排出量を現行のCNGエンジンよりも、さらに10%削減することを目標にしている。
走行試験終了後には、開発した技術の概要を公開することで自動車メーカーの量産化の意欲を醸成させていく計画を立てている。