自社生産ライセンスを付与した西側諸国外のOEM拠点
スカニアは10月15日(スウェーデン、セーデルテリエ発)、中国内に自社3番目の製造拠点を開設した。新拠点は江蘇省・如皋(Rugao)に設けられた。
中国での3番目となったこの大規模生産拠点の新設は、134年の歴史を持つスカニアにとっても初のこと。
また自社生産ライセンスを付与した西側諸国外のOEM拠点であることから、 同社では世界最大のトラック市場での前向きな取り組みであり、自社事業戦略上での重要な一歩であるとしている。
実際、同社にとって今回の拠点は80万平方メートルの生産拠点となることから世界最大規模の投資(総投資額20億ユーロ)のひとつになると謳っている。
当地に於ける年間5万台に上る生産車両は、中国市場のみならず、アジアエリアなど輸出市場にも供給される予定としている。また施設では現地で約3,000人の新規雇用を創出するとした。
そんな如皋工場は、地元産のバイオガスや認証されたグリーン電力など、ほぼ完全に再生可能エネルギー源で稼働され、これらの体制は、スカニアにとって、スコープ1および2の脱炭素化目標に直接貢献するものでもあるとしている。
中国のパートナー企業との共同開発能力を強化していく
新たな拠点についてスカニア・インダストリアル・オペレーションズ・アジアのルースガー・デ・フリース社長は、「如皋の新工場では、エネルギー調達から廃棄物管理に至るまで、あらゆる部分で持続可能な事業体制が敷かれています。
従って当地拠点は、単に中国国内市場へ向けてただ単にトラックを生産し出荷するだけの拠点でははありません。
当社にとって効率的で持続可能な産業運営の新たなベンチマークなる拠点でもあるのです。
さてそもそもスカニアは過去60年にわたり、当地の商用車市場で経済活動を続けてきました。そんな中国は、今や世界最大のトラック市場であるだけでなく、輸送、コネクティビティ、自律走行、電動化などの面でもイノベーションの世界的な中心地となっています。
今回の如皋の拠点と、上海の研究開発センターを包括する当地に於ける産業体制は、中国におけるスカニアのプレゼンスを強化するだけでなく、中国のパートナー企業との共同開発能力を強化を実現させるものとなります。
この戦略的投資により、スカニアは中国およびアジア全域の顧客との緊密な連携を実現し、より迅速な納入、より幅広い仕様オプション、そしてより緊密な協業関係を実現します」と話している。
これに次いでスカニア&TRATON(トレイトンSE)グループで、社長兼CEOを務めるクリスチャン・レビン氏は、「如皋の拠点は、拡大する中国内の市場に対応させるべく追加した単純な工場増設計画の一環ではありません。
これから当社は、中国のダイナミックなイノベーション戦略の一部となり、それがひいてはスカニア自身の発展を爆発的に加速させることにでしょう。
如皋で製品生産手掛けるだけでなく、当地でのイノベーション活動を刺激することで、中国内の経済拡大のスピードを助け、当地に於ける創造性を促すことで、当地に於けるスカニアの事業拡大のみならず、我々の持続可能性を大きく高め、新たな輸送社会への移行を加速させていくことができるでしょう」と述べた。
如皋拠点では、中国市場向けに2つの商用車を生産
ちなみに同社によると、この新たな産業ハブはTRATONモジュラーシステム(TMS)の一部として設計・建設されているため、スカニアとTRATONグループの各々のブランドが市場、顧客ニーズ、製品ポートフォリオ全体にわたって効率的に規模拡大、カスタマイズ、イノベーションを推進することを可能にしているという。
2つの商用製品が計画されています。1つ目は、世界最高水準のスカニア製品です。
なお同拠点の立ち上げでは、トラクターとリジッドトラクターの両方において、要求が厳しい当地の顧客ニーズ毎にカスタマイズ可能な車両を生産していく。併せて競争の激しい中国の長距離輸送および量産セグメント向けに特別に開発された新型トラクター製品シリーズ「NEXT ERA」も生産されるという。
このふたつめのNEXT ERA製品のラインナップは、中国市場向けに特別に開発された車両となり、現地のデジタルエコシステムに完全に適合させた車両になるとした。
但しその一方で、自社の世界向け製品コンセプトとDNAを共有させていることから、中国で導入・生産体制を敷きつつ、その後、世界各国の仕様に合わせた製品へも転換を図り、グローバル市場へと送り出すことを視野に入れているとしている。
最後に、如皋工場で皮切りとなる生産車両の納入は2025年後半には早くも開始され、その後、NEXT ERAシリーズも2026年前半に発売される予定であると結んでいる。
また開設式の模様は、スカニア グループのYouTube チャンネルで公開されている。