いすゞ、自社部品物流ルートで自動運転事業実証を開始

2027年度の自動運転レベル4トラック・バス事業の開始に向け、公道での検証を加速

いすゞ自動車(本社:神奈川県横浜市、社長COO:南真介)は11月18日、2027年度の自動運転レベル4トラック・バス事業の開始に向け、来年1月より、自社部品物流ルート内の公道に於いて自動運転事業実証を開始する。

*自動運転事業実証に導入する自動運転大型トラック

具体的には、いすゞグループの物流事業を担う、いすゞロジスティクス(本社:神奈川県横浜市、社長:福村嗣夫)の岩舟パーツセンター(栃木県栃木市)と中部部品センター(愛知県一宮市)を結ぶルートで、いすゞグループの補給部品の搬送事業に新開発の自動運転大型トラックを導入する。

これは2027年度にかけて取り組む計画で、本事業実証を通じ、物流事業者にとって最適な自動運転物流モデルの構築を目指す。

この取り組みに茶修する背景には、同社グループが中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030(IX)」に於いて、自動運転ソリューションを新事業の柱のひとつとして確立することを掲げていることがある。

実際2027年度から日本・北米を起点に、自動運転レベル4トラック・バス事業の開始を目指しており、現在、自動運転技術の社会実装に向けた動きを加速させてきている。

具体的には、これまでに2027年度中にグループの自社部品物流網である栃木県から中部・関西地方などの補給部品倉庫間で、自動運転レベル4トラック事業の開始を目指すと公表しており、今回はその最初のステップとなる。

事業実証の概要は、2027年度にかけて、Step 1~3の3段階に分けて行う。Step1では来年1月から来春にかけ、昨年戦略的提携契約を締結したApplied Intuition, Inc.(本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州、共同創設者兼CEO:Qasar Younis/共同創設者兼CTO:Peter Ludwig)との共同開発車両を本格的に使用する。

セーフティドライバーが常時乗車する形で、新東名高速道路の自動運転優先レーン(駿河湾沼津SA~浜松SA)を含む高速道路上で自動走行(レベル4を想定した走行)※1を実施していく。

この際、自動運転車両の運行はもちろん、荷主となるいすゞロジスティクスによる荷役作業(荷積み・荷下ろしなど)も行うなど、より実践的な実証を通じて、自動運転物流の実現に向けたノウハウの蓄積を図る。

更に同事業実証の結果を踏まえ、2026年度にStep2、2027年度にStep3の各フェーズを計画。Step2では、物流拠点・遠隔監視・駆けつけサービスを含めた様々な観点から運行効率の検証を行うと共に、得られたデータや知見、ノウハウを自動運転車両の開発へとフィードバックする。

そしてStep 3での最終検証を経て、2027年度中の自動運転レベル4トラック事業の開始を目指すという。

 

事業実証Step1の概要
目的:多様なユースケース(走行時間帯/荷量/天候など)および自動運行を支える要員(セーフティドライバー/遠隔監視など)の役割を検証
実証期間:2026年1月~来春
車両:大型トラック「ギガ」
車両総重量(GVW):25トンの8×4モデル
車両運行者:ワン・トランス株式会社(いすゞロジスティクス 100%子会社)
台数:1台
積載貨物:いすゞ補給部品(実荷)
拠点運営/荷役:いすゞロジスティクス
走行ルート:いすゞロジスティクス 岩舟パーツセンター(栃木県栃木市)~いすゞロジスティクス 中部部品センター(愛知県一宮市)
※いすゞ補給部品:自社物流区間
乗降インター:東北自動車道 佐野藤岡IC~東海北陸自動車道 一宮西IC
自動運転走行区間(セーフティドライバー乗車):新東名高速道路 駿河湾沼津SA~浜松SA
走行頻度:週5日程度(将来目標。1日で往復することを想定)
走行時間帯:日中または夜間(時間帯問わず)
遠隔監視:監視システムで異常時などの把握が適切に行えるかを検証

 

新開発の自動運転車両
事業実証には、Applied Intuitionと共同開発した新たな自動運転車両を導入する。本格的に開発に着手した年初から、日米で累計15万キロを走行。普及率が高く、幹線輸送に広く使用されている既存の大型トラック「ギガ」をベースに、前方・側方の物体を検知する「ミリ波レーダー」、車両周辺360°をスキャンする「LiDAR」、カメラを組み合わせたセンサー構成と、自車の位置を推定する「GNSS(全球測位衛星システム)」や車両の挙動を検知する「IMU(慣性計測ユニット)」を採用し、自動運転レベル4のための検知性能を確保した。

また、より複雑な交通環境に対応するため、現在開発中のE2E(エンド・ツー・エンド)をStep2より投入。データ計測および走行評価を目的として、2026年度末までに計30台の自動運転車両を導入する予定。

更にいすゞグループが商用車メーカーとして長年培ってきた高い技術力・安全性・信頼性、そして全国に張り巡らされた販売・整備ネットワークを強みに、自動運転技術の実用化に向けた車両開発を推進し、将来的には、幅広い分野の皆さまに自動運転車両を提供していくことを目指す。

加えて今後、物流業界では、人手不足やドライバーの高齢化が進む中、輸送能力の低下や輸送コストの上昇、配送リードタイムの延伸などの問題が発生し、今後、これらの問題はさらに顕在化してくることが見込まれる。

そこで、いすゞグループは、PURPOSE(使命)に掲げる「地球の『運ぶ』を創造する」の下、これらの社会課題の解決を図るには、自動運転ソリューションの果たす役割は極めて大きいと考え、2027年度の自動運転レベル4トラック事業の開始に向けてドライバーの労働制約に縛られない柔軟な自社物流モデルを確立し、その価値を早期に社会へと還元していきたいと結んでいる。

 
 




 
 

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