WEC2025年シーズン第8戦バーレーン8時間決勝、TGR7号車が今季初勝利
11月8日(土)、バーレーン・インターナショナル・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)のシーズン最終戦となる第8戦バーレーン8時間の決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDが1-2フィニッシュし、マニュファクチャラーズ選手権では2位に浮上してシーズンを終えた。
今季初勝利をで表彰台に上がったのは小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手組の7号車。ポールポジションからレースの大半で首位を維持して優勝。チームに今シーズン初の表彰台フィニッシュをもたらし、バーレーンでのTGRの連勝記録を9に伸ばした。
セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は、レース中盤のペナルティから挽回し、7号車から19.378秒差の2位フィニッシュを果たした。
これによりシーズン最終戦でTGRチームにとっては、完璧な結果となる1-2フィニッシュの一翼を担った。同結果より、TGRは今大会で獲得可能な最大ポイントを手にし、マニュファクチャラーズ選手権を2位で終えた。
ポールポジションの7号車はコンウェイ選手、2番手グリッドの8号車はハートレー選手がスタートを担当し、2台はそのポジションを守りながら後続との差を広げていく。
スタートから1時間が経過したところで最初のピットストップへ向かい、7号車はタイヤを交換、8号車はタイヤ無交換で給油のみという異なる戦略を選択。タイヤ戦略の違いにより、2台のGR010 HYBRIDは序盤から首位を守りつつ、ポジションを入れ替えながらレースをリードした。
1時間半ほどが経過したところで、タイヤパフォーマンスに勝る7号車が8号車をパスし首位を奪還。その後、8号車は次のピットでハートレー選手からブエミ選手へと交代する直前に、フェラーリ51号車に先行を許した。
全てのハイパーカーが2回目のピットを終えた時点で、デ・フリース選手へと交代した7号車が首位、3位に後退したブエミ選手だが、その次のピットで2位の座を奪い返した。
3時間経過後にセーフティカーが導入、2台のGR010 HYBRIDは順位を入れ替え、アストンマーティン009号車に一時抜かれる場面もあったが、009号車はまもなくペナルティにより後退した。
レース後半、7号車は小林選手、8号車は平川選手へとドライバーチェンジし、1-2体制で周回を続けた。その8号車はイエローフラッグ下でのオーバーテイクによるドライブスルーペナルティを科され9位まで後退を余儀なくされたが、平川選手の猛追でポジションを取り戻して行き、トップ6に復帰。
その後、やや早めのピット作戦を採った平川選手の8号車は、クリアになったコースで好ペースを刻み、6時間を目前とする頃には、プジョー94号車との激しいバトルを展開しながら順位を上げていく。
タイヤの摩耗が進み、平川選手の8号車はフェラーリ51号車に先行を許したが、次のピットでハートレー選手へと最後のドライバー交代を行い、新しいタイヤに交換。一方、前を行く7号車の小林選手は高いペースを維持し、後続との差を30秒以上に広げてデ・フリース選手へとステアリングを託した。
最後の1時間を切ったところで再度セーフティカーが導入され、全車が最後のピットへ。残り32分で再スタートが切られると、デ・フリース選手の7号車は首位を守り、2位のブエミ選手の8号車はフェラーリ51号車からテール・トゥ・ノーズでの追い上げを受けながらもそのポジションを堅守。2台のGR010 HYBRIDは最後までミスなく走り、1-2体制でフィニッシュラインを潜った。
この勝利により、TGRは厳しかった2025年シーズンを最高の形で締め括った。TGRによると来季に向けてチームは、この勢いを活かし2026年に全力を注ぐという。
ちなみにTGRでは、来シーズンはアップデートされた車両が投入されるものの、ドライバーラインナップに変更はなく、小林選手、コンウェイ選手、デ・フリース選手が3年目、ブエミ選手、ハートレー選手、平川選手が5年目の布陣でタイトル奪還を目指すとした。
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小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
本当に厳しいシーズンでしたが、最終戦でようやくこのような素晴らしい結果を得ることができ、さらに予想外なマニュファクチャラーズ選手権2位も獲得できました。
今日のレースも決して簡単ではありませんでしたが、チーム全員の大変な努力が実を結びました。ミス無く力強くレースを戦い、また我々はシーズンを通して決して諦めず、その結果が最後に勝利として報われました。
ここにいるエンジニアやピットクルーだけでなく、ドイツ・ケルンや東富士のメンバー全員の努力の賜物であり、心から感謝しています。また、トヨタ・バーレーン、そして現地のファンの皆様の熱い応援にも感謝します。
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マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
素晴らしい結果です。レース前からチャンスがあると感じていましたが、1-2フィニッシュというのは想像以上で、チームとしても本当に嬉しいです。
レースウィークを迎える前には、マニュファクチャラーズ選手権で2位になれると思ってもいませんでしたので、これも嬉しい驚きとなりました。
このタフなシーズンを最高の形で締めくくることができ、本当に嬉しいです。私の母の誕生日を祝う最高のプレゼントになりました。今日は母が現地でレースを見てくれていたので、この喜びを母と分かち合えたことも嬉しいです。
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ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
チームにとって、1-2フィニッシュでシーズンを終えられるのは最高です。これはサーキットの現場だけでなく、ドイツ・ケルンのファクトリーや東富士でシーズンを通してずっとハードワークで支えてくれたチーム全員の努力の結果です。
誰もがこの1年間ずっと努力を続けてきましたが、なかなか思うような結果がでませんでした。しかし、今日ようやくそれを勝ち取ることができました。素晴らしいレースで、我々はミス無く完璧に戦い、チーム全員が自分の役割を果たして勝利に貢献しました。8号車も素晴らしいレースで2位まで挽回し、戦略も見事でした。勝利でシーズンを終えられて本当に満足しています。
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セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
7号車のみんなを祝福します。1-2フィニッシュは最高の結果で、我々はトップへ戻るために全員で大変な努力を続けてきたので、この瞬間を楽しむに値すると思います。今シーズンの苦戦を考えれば、マニュファクチャラーズ選手権2位で終えられたというのは、来シーズンへ向けてチーム全員の士気を高める良いきっかけになります。来年はさらに強くなって、タイトル争いができるよう頑張ります。
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ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
このような素晴らしい結果でシーズンを締めくくれてとても嬉しいです。今日の目標は1-2フィニッシュでしたが、レースの途中難しい場面もありました。
レース前半は好調で、我々は戦略をずらしたことで最後に新しいタイヤを装着できました。ペナルティを受けてからの追い上げでは、3人のドライバー全員の走りも驚異的でしたし、ピットも完璧な作業と戦略で応えてくれました。7号車は優勝に値する素晴らしい戦いぶりでした。心から祝福を贈ります。
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平川亮(8号車 ドライバー):
優勝した7号車と最高の結果を出したチーム全員に祝福を贈ります。我々8号車も勝利を目指して全力を尽くし、ペナルティからの復帰を果たせました。セーフティカーにも助けられましたが、十分に素晴らしいパフォーマンスを見せられたと思います。
マニュファクチャラーズ選手権で2位になれたことも本当に嬉しいです。嬉しい驚きではありますが、すべてのレースを最後まで全力で戦い抜いた結果です。来年の目標は明確です。今大会のように再びトップ争いができることを楽しみにしています。
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WEC 第8戦 バーレーン8時間 決勝結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
1 7 マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 237
2 8 セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 237 19.378
3 50 アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 237 26.342
4 51 アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 237 26.504
5 83 ロバート・クビサ
イーフェイ・イエ
フィル・ハンソン AFコルセ/
フェラーリ 499P 237 39.729
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