住友ゴム、3Dプリンターで生成したゴム製オブジェを初披露

岡山県学生の創造力と住友ゴムの技術が融合

住友ゴム工業(本社:兵庫県神戸市中央区、社長:山本悟)は6月2日、大原美術館(岡山県倉敷市)で開催された「岡山フィルムプロジェクト」の制作報告会見で、2026年中の実用化に向けて研究開発に取り組む3Dプリンター造形用ゴム材料で制作したゴムの桃型オブジェを披露した。

同社は、予てより3Dプリンターで加工できる今までにないゴム材料の研究・開発を手掛けてきた。というのは実は、これまで3Dプリンターでゴム製品をつくる事はできなかったからだ。

しかし今回、高い復元性と繰り返しの圧縮に強いゴム材料を独自開発。3Dプリンターのゴム製品で生成できるようになった。

これにより既存の樹脂素材(プラスチック)では実現できなかった弾力性や耐衝撃性を持ちつつ、柔軟で滑り難いなどのゴムの特性を活かした製品を作れるようにした。その結果3Dプリンターの使用用途が大きく広がる。

今後、ロボット、医療、自動車、スポーツなど様々な分野での活用が期待できるため、3Dプリンター造形用ゴム材料事業の2026年中の実用化を目指して鋭意開発を進めている。

今回の「岡山フィルムプロジェクト」は、そうしたなかの一例となるもの。同社は、岡山県にタイヤテストコースを持つ企業として、当該地域との繋がりを大切にしながらものづくりの可能性を広げてきた。

産業開発・プロモーション部会 学生リーダー 岡田菜花氏

そこで映画作品を中心に岡山県の地域活性化と次世代クリエイターの育成を目指すべく、岡山県の学生のアイデアへ技術協力を行った。

制作報告会見の様子(後列左から3番目より針生悠伺さん、MEGUMIさん、松田美由紀さん、阿部進之介さん、前列は岡山フィルムプロジェクトに参加する学生たち)

制作報告会見では、「岡山フィルムプロジェクト」に監督やプロデューサーとして参加する針生悠伺氏、MEGUMI氏、松田美由紀氏、阿部進之介氏の登壇に加え、岡山県の学生による活動報告が行われた。

学生とディスカッションしている様子

活動報告で注目を集めたのが、学生たちのフレッシュなアイデアと独創的なゴム技術を組み合わせた岡山県らしさ・岡山県フィルムプロジェクトらしさが詰まった成果物たちだ。

例えばカラフルな桃型オブジェを手に取ると、ゴムの弾力性の心地良さが体感できる。

こうした新たなゴム素材は、長年のタイヤ開発で培ったゴムの配合および内部構造分析のノウハウを駆使。ゴム本来の弾性、復元性、耐久性を持つゴム材料を完成させたことが背景にある。

新たな素材は、長時間かつ高温で圧縮負荷をかけた場合でも高い復元性を発揮すると共に、2,000万回の繰り返し圧縮試験にも耐える高い圧縮耐久性を持つ。

今後はこれにより、3Dプリンターの使用用途が大きく広がる。例えば人の指先と同じ様なすべりにくさが必要なロボットハンドの指部分や、人の臓器と同じ様な柔軟性と弾力性を持つ医療訓練用の臓器シミュレーションモデルをつくることもできる。

同社は、ロボット、医療、自動車、スポーツなど様々な分野での活用を視野に社会貢献していく構えだ。

なお新素材の開発について同社の研究開発本部新事業開発部の杉本睦樹課長は、「創造をカタチにできることが3Dプリンターの一番の特徴です。

今回、岡山県の学生の柔軟なアイデアをすぐにカタチにすることで、企業力、3Dプリンターの魅力、ゴムの心地よさをアピールできたと思います。

もちろん当社開発チームの連携もありスピーディーに作製ができました。学生とのコラボで柔軟な発想を新たな商品企画へと繋げます。今後の3Dプリンターゴム材料での開発にご期待ください」と結んでいる。

<参考>
公式WEBサイト
MIRRORLIAR FILMS:https://films.mirrorliar.com/
岡山フィルムプロジェクト:https://okayamafp.jp/

住友館(ミライのタネ)https://sumitomoexpo.com/experience/mirainotane/