いすゞ自動車(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 社長COO:南真介)、ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役 社長:細見研介)、伊藤忠商事(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井敬太)、横浜市港北区(市長:山中竹春)の4者は11月20日、横浜で「バッテリー交換式エルフEV」での配送実証・出発式を出発式を開催した。
より具体的には、車両の左右両側からバッテリーを同時交換できる国内初のステーションとバッテリー交換式小型トラック「エルフEV」のファミリーマートへの商品配送に使用する実証実験を執り行う。
実証実験では、バッテリーを両サイドから同時に交換可能な仕様に改造した「エルフEV」を3台配備し、横浜市内のファミリーマート約80店舗にてルート配送を行う。
バッテリー交換は従来のディーゼル車の燃料給油と同等の時間で完了するため、これまでバッテリーEV(BEV)導入の壁であった充電に伴うダウンタイムの削減に寄与する。
今回の取り組みを通じて、現場の業務効率化と車両運行の継続性向上について検証していく。
*写真は、出発式で行われたテープカット。左から:古坂範佳 氏(名糖運輸株式会社)、大野泰 氏(ファミリーマート)、山中竹春氏(横浜市)、南真介氏(いすゞ)、都梅博之氏(伊藤忠商事)、小野浩史氏(株式会社ジャステム)
式典では各社の代表者がスピーチを行い、実証の狙いと今後の展望についてそれぞれの思いを述べた。
その後、約7分でバッテリー交換が完了するデモンストレーションと、各社代表者によるテープカットが行われ、関係者や報道機関など約60名が見守る中、満充電のバッテリーを搭載した「エルフEV」が、社会課題の解決に向けて力強く出発した。
各社の代表者のコメントは以下の通り。
いすゞ 代表取締役 社長COO:南真介氏
「24時間稼働するコンビニ配送において、BEVトラックの充電時間の長さは大きな課題であり、バッテリー交換式『エルフEV』はこの課題に対して有効であると考えています。
実証実験を通じて見えてくるハードルを一つずつ解決し、『実証』から『実用』へと進めていきます。将来的には用途を限定せず、他社とも協力しながら汎用的なバッテリー交換の仕組みを模索していきます。
加えて、バッテリー交換ステーションを蓄電施設として活用する構想も進め、いすゞの経営理念体系である「地球の『運ぶ』を創造する」を目指し、着実に前進してまいります」
ファミリーマート 執行役員 物流本部長:大野泰 氏
「ファミリーマートは環境に関する中長期目標『ファミマ eco ビジョン 2050』にて、配送トラックから排出されるCO2を、2030年に2017年度比30%削減することを目標に掲げており、今回の実証は、その達成に向けた重要なマイルストーンです。
また、バッテリー交換式EVは、走行中のCO2をゼロにするだけではなく、充電時間を大幅に短縮し、効率的かつ安定的な配送を両立させる、持続可能なサプライチェーンの構想の大きな柱となるものです。
今回の取り組みが、物流業界全体のCO2削減に向けたモデルケースとなるよう、ファミリーマートは取り組みを一層推進してまいります」
伊藤忠商事 代表取締役 副社長執行役員:都梅博之 氏
「いすゞ自動車・ファミリーマート・伊藤忠商事によるBEV関連プロジェクトが大きな節目を迎えており、今回の実証では、カーボンニュートラルと輸送効率の両立を目的に、より実用性・汎用性の高い仕組みづくりに挑戦します。
これまでの経験を結集し、商用車のBEV化を推進することで、脱炭素社会と持続可能な地域社会の実現に貢献していきます」
横浜市 市長:山中竹春 氏
「脱炭素社会の実現に向けては、運輸部門のCO2排出削減が大きな鍵を握っています。横浜市でも総排出量の約2割を運輸部門が占め、なかでも運輸に欠かせない配送車の脱炭素化が大変重要になってきます。
24時間稼働を要するコンビニ配送へのバッテリー交換式トラック導入は、我が国の脱炭素化を進める大きな一歩であり、環境に優しい未来の社会の実現に向けた実証になると考えます」
