WRC13戦・日本ディ4、オジエが激戦を制して今季6勝目

11月9日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリージャパン」の最終日デイ4が、愛知県豊田市の豊田スタジアムを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(GR YARIS Rally1 17号車)が優勝した。

*33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車) は総合2位、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)は総合3位。

カッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(69号車)は総合6位、勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)は総合17位でフィニッシュした。

今日、ラリージャパンの最終日は、愛知県が戦いの舞台となり「ヌカタ」、「レイク・ミカワコ」というラリージャパンの定番ステージを2本走った後、岡崎市の中央総合公園で「オカザキSSS」を2本連続で走行する。

その後、TFZ(タイヤフィッティングゾーン)を経て午後は「ヌカタ」と「レイク・ミカワコ」を再走した。4本のステージの合計距離は72.38km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は198.61kmだった。

*69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

なお前日とは一転、日曜日は朝から雨が降り続け、路面コンディションはウェット。全車がウェットタイヤを装着してステージに挑んだ。

オープニングステージのSS15「ヌカタ1」では、ロバンペラ選手が2番手タイム。前日のデイリタイアを経て再出走した勝田選手が3番手タイム。総合2位のエバンス選手が4番手タイム、首位のオジエ選手が5番手タイムとなり、オジエ選手とエバンス選手の差は5.7秒に縮まった。

続くSS16「レイク・ミカワコ1」ではオジエ選手がベストタイムを刻み、2番手タイムのエバンス選手との差を6.7秒に拡大。更にSS17「オカザキSSS1」でもオジエ選手はベストタイムを勝田選手と分け合い、差を7.8秒に拡げた。

*セバスチャン・オジエ

続くSS18「オカザキSSS2」では勝田選手が単独でベストタイムを刻み、オジエ選手は3番手タイム。エバンス選手は4番手タイムで、トップ2の差は8.3秒となった。

TFZを経て始まった再走ステージの1本目、SS19「ヌカタ2」では、オジエ選手が2番手タイムのエバンスに3.2秒差をつけるベストタイムをマークし、差は11.5秒と更に拡大した。

そして迎えた最終のパワーステージのSS20「レイク・ミカワコ2」でもオジエ選手は勢いを保ちベストタイムを記録。総合2位のエバンス選手に11.6秒差をつけてラリージャパン初優勝を達成し、今シーズン6勝目を飾った。

また、オジエ選手は日曜日のみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」でも2番手のエバンス選手を抑えて1位となったことから、パワーステージの5ポイントと、スーパーサンデーの5ポイントを追加で獲得。

*5号車(サミ・パヤリ、マルコ・サルミネン)

1戦で獲得可能な最大ポイントである35ポイントを加算し、ドライバー選手権では単独2位となった。このオジエ選手の勝利により、TGR-WRTは2023年から3大会連続となるホームラリー優勝を達成した。

総合2位でフィニッシュしたエバンス選手は、パワーステージでオジエと僅か0.096秒差の2番手タイムを刻み、スーパーサンデー2位で合計8ポイントのボーナスを獲得。

この結果、ドライバー選手権に於けるリードは前戦までの13ポイントから3ポイントと少なくなったが、それでもしっかりと首位を守った。

Rally1車両によるラリージャパン出場が今回、初となったパヤリ選手は、最終日も安定した走りを継続。総合3位につけていたアドリアン・フォルモー選手(ヒョンデ)がクラッシュでリタイアを喫したことにより、総合3位に順位を上げ、キャリア初となる表彰台を獲得した。

その結果、TGR-WRTはホームイベントで2023年大会以来2回目となる1-2-3フィニッシュを果たした。

デイ2でクルマにダメージを負って大きく遅れながらも、総合7位まで順位を挽回していたロバンペラ選手は、総合6位でフィニッシュ。

*18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

パワーステージ3番手、スーパーサンデー3位による合計6ポイントのボーナスを獲得し、ドライバー選手権では首位のエバンス選手と24ポイント差の3位に。タイトル獲得の望みを最終戦のラリー・サウジアラビアへと繋いだ。

首位争いに加わりながらもデイ3でのクラッシュによりデイリタイアとなった勝田選手は、修理されたクルマで再出走。大勢の観客が見守る中SS17と18でベストタイムを刻み、スーパーサンデーでは5位を獲得し、総合17位でホームイベントを終えた。

最後にGR Yaris Rally2で出場の、2025年WRC2王者オリバー・ソルベルグ選手(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラストップ、総合7位でフィニッシュした。

また、同じくGR Yaris Rally2で出場のアレハンドロ・カチョン選手(スペイン/トヨタ・スペイン テオ・マルティン・モータースポーツ)はソルベルグ選手に次ぐRally2クラス2位、総合8位で走り切り、サポート選手権のWRC2では初優勝を達成した。

チームメイトのヤン・ソランス選手(スペイン/テオ・マルティン・モータースポーツ)はWRC2クラス3位でフィニッシュした。

 

<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
”ジャパンプライド”を様々な場で語り続けた豊田章男は、木曜日にようやくモリゾウに戻ることができました。

愛知にたどり着き、「ホームラリーにおかえりなさい!」と言いたくて、その足でチームのみんなに会いに行くと、逆に「ホームチームにおかえりなさい!」とモリゾウが言われてしまいました。

TOYOTA GAZOO Racing WRTは、そんな”温かい仲間”が集まるチームだったなと嬉しい気持ちでいると、疲れも一気に吹っ飛んでいました。最高の仲間達と戦えていることに、改めて感謝した週末です。

5年連続のマニュファクチャラーズタイトルを確定させて日本に戻ってきてくれたことにも、改めてお礼を言いたいと思います。チームのみんな、本当にありがとう。

そして、今回はセブ、エルフィン、サミの1-2-3フィニッシュ! カッレと貴元は悔しいトラブルもありましたが、最終日まで走り続けてくれました。5台が日本の道をゴールまで走り切ってくれたことが、なによりうれしいです。ありがとう。

貴元のトラブルは私にとっても辛いものでした。パワステも効かず、気持ちも途切れそうになる中でも、彼がなんとか走り続けることができた原動力は「沿道にいたファンの皆さまの声援」だったと彼自身が言っていました。(もちろんクルマを直してくれたアーロンやメカニック達の力が大きいことも分かっています。)

私も移動中にリエゾンにいる多くのファンの皆さまを見ることができました。愛知・岐阜でのラリージャパンも4回目となり、こんな沿道の景色が定着してきたように思えます。

私が憧れ続けた”ヨーロッパのモータースポーツ文化”に少しずつ近づいてきました。本当にうれしいです。ラリージャパンを企画し、ここまで続けてきてくれた全ての皆さまにも感謝したいと思います。

エルフィン、スコット、セブ、ヴァンサン、カッレ、ヨンネ…、この6人でこんなにもハイレベルで、こんなにも刺激的な真剣勝負ができるのも次戦が最後です。悔いのないよう、最高の走りを、サウジアラビアでしてきてください!

追伸1
ヤリ-マティ、ヒストリックラリーのチャンピオンおめでとう! ヤリ-マティにも会いたいけど戻ってくる気ありますか? 笑

追伸2
可夢偉、マイク、ニック、優勝おめでとう! 8号車もワンツーフィニッシュ! ホセもGT3で優勝! 諦めずに戦い続けてくれてありがとう!

 

<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
日本で再び1-2-3フィニッシュを達成できたことは、我々にとってまたしても素晴らしいリザルトです。

セブとエルフィンの戦いは最終ステージまで見応えがあり、今や両者の差は僅か3ポイントです。カッレは少し差を広げられましたが、まだチャンスは残っています。

最終戦となるラリー・サウジアラビアで誰がワールドチャンピオンになるのか、見ものです。また、サミが初めて表彰台に立ったのも素晴らしかったです。彼はとても良い仕事をしてきたので、それに見合う結果だと思います。

 

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
全体的に楽しく、力強く戦うことができた週末でした。また、チームのホームである日本で、今回もまた素晴らしい結果を残すことができました。

今日のような厳しいコンディションで、このような激しい戦いをすることは容易ではありませんでした。私たちはベストを尽くしましたが、セブは本当に素晴らしい走りを見せ、今日彼を打ち負かすのは困難でした。

セブと自分の差は僅かで、特にパワーステージでは僅差でした。かなりのポイントを失ったような気がしますが、それが競技というものですし、最終戦を終えてみるまで何も分かりません。

 

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)>>
自分たちにとっては全体的に難しい週末でした。今日は大雨と水たまりによって、非常に厳しいコンディションになりました。日曜日に追加できるポイントを獲得するためにできる限りのことをしましたが、自分たちが望んだような週末、そして結果にはなりませんでした。

今年はここまで少し安定性に欠けていますが、最終戦でもう一度チャンスがあります。良い結果を残せるように努力して臨み、結果を待ちたいと思います。

 

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)>>
我々にとってパーフェクトな結果です。トヨタの本拠地である日本で、このラリーを制することができて本当に嬉しいです。

非常にハードな週末でしたし、特に最終日は過酷なコンディションでの戦いでした。チームが今回も素晴らしいクルマを提供してくれたことに心から感謝します。

なぜなら、今日は全く異なるセッティングで、全く異なるラリーをスタートしたにも関わらず、即座にクルマが性能を発揮したからです。週末を通してエルフィンに追い詰められましたが、偉大な勝利は、偉大なライバルがいるからこそ生まれるのです。

 

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
ホームラリーでの、チームとファンの皆さんからの大きなサポートに感謝しています。

最終的に良い結果を残すことができず申し訳ありませんが、今週は多くの応援を目にし、心から感謝しています。また、クルマを直してくれたチームにも感謝しています。

今日はファンの皆さんのためにベストを尽くして走りました。自信はありましたしペースも良かったのですが、パワーステージは水たまりが多く、うまく走ることができませんでした。将来、ここで良い結果を残せる可能性は十分あると思いますので、これからも挑戦し続けます。

 

<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
本当に、本当に素晴らしい結果です。初めての表彰台はいつだって特別なものですが、日本での勝利、そしてトヨタの本拠地で1-2-3フィニッシュを達成できたのはさらに特別なことです。

今日は非常にトリッキーなコンディションでしたが、最初の2日間はペースが良く、今日は完走を確実なものにするため、ある程度マージンを持って走りました。

本当に良いイベントでしたし、この結果にはとても満足しています。チーム全員が素晴らしい仕事をしていますし、皆で良い方向に進んでいると思います。

 

<<ラリージャパンの結果>>
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h21m08.9s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +11.6s
3 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m16.6s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m18.1s
5 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +6m48.7s
6 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +7m01.5s
7 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m35.5s
8 アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m41.6s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m36.2s
10 ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンファン (トヨタ GR Yaris Rally2) +12m26.0s
17 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +40m24.6s
(現地時間11月9日19時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

 

<<第13戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 272ポイント
2 セバスチャン・オジエ 269ポイント
3 カッレ・ロバンペラ 248ポイント
4 オィット・タナック 213ポイント
5 ティエリー・ヌービル 166ポイント
6 勝田 貴元 111ポイント
7 アドリアン・フォルモー 96ポイント
8 サミ・パヤリ 94ポイント
9 オリバー・ソルベルグ 70ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 36ポイント

 

<<第13戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 692ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 464ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 191ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 145ポイント

 

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、11月26日(水)から29日(土)にかけて、中東のサウジアラビアで初めて開催される最終戦「ラリー・サウジアラビア」となる。

ラリーはサウジアラビア西部の大都市ジッダを中心に行なわれ、路面はグラベル(未舗装路)。ジッダ周辺の山岳エリア、火山地帯、砂漠の道が戦いの舞台となる。

 

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