オリックス、高齢ドライバーの事故リスクを見守る「あんしん運転 Ever Drive」始動


自動車IoT=テレマティクス技術を活用し運転行動をリアルタイムで家族に共有

オリックス自動車株式会社(本社:東京都港区、社長:亀井 克信)は、2017年2月1日より、高齢ドライバーの親を持つ子世代向けに、テレマティクス技術を活用した事故リスクを低減する見守りサービス「あんしん運転 Ever Drive」の提供を開始した。

高齢者の運転免許保有者数や、高齢者の自動車運転事故が年々増加傾向にある中、自分の親が被害者にも加害者にもなり得る不安を多くの家族が抱えるようになっている。

高齢者に免許返納を促す動きも生まれている一方、車は高齢者にとって移動手段であると同時に生きがいでもあり、簡単に手放せるものではないという一面もある。

しかし高齢ドライバーである親には「子どもに心配をかけたくない」という思いもあり、子どもには「親の運転が心配」といった不安がある。このようなジレンマを解消するサービスとして同社は「あんしん運転 Ever Drive」の提供を開始する。

ちなみにこのサービスは、見守りたいドライバーの車に専用車載機を搭載し、速度超過や急加速・急減速などの運転挙動をリアルタイムで家族に共有するというもの。

日々の運転状況が通知されるのみならず、危険三挙動(※1)や長時間運転が発生した際には即座に家族へメールで通知することから、ドライバーは安全運転を心がけるようになると云う。

また、蓄積された運転履歴により、運転挙動や運転時間の推移を日別・月別で比較することで、認知症などによる行動変化にも気づきやすくなる。

さらに、運転履歴を表示する地図上に危険挙動発生箇所をマッピングする機能もあり、日頃走行するエリア内での危険箇所を認識することもできる。

これらを活用することにより、高齢ドライバーと家族が一緒になって、適正な運転行動を考える機会の創出につながるものと同社は考えているようだ。

なおこのほか、運転者サポートサービスとして、契約時の簡易認知機能チェックテストや、24時間対応の電話による健康相談、運転緊急時の駆けつけサポートも付帯している。

ちなみにこのサービス提供の大元は、同社が2006年から開始した法人向けテレマティクスサービス「e-テレマ」が出発点だ。

この「e-テレマ」は既に全国2,000社の企業に採用され、契約台数は13万7,000台に育った(※2)。導入済み企業では、事故の因子とされる危険挙動が1年で導入前の平均約65%、2年で平均約80%削減されるなど、高い効果が実証されていると云う(※3)。

そして今回、企業が使う車の安全を守り続けてきた経験とノウハウを生かし、これを個人向けテレマティクスサービスとして提供を開始した。

今日、高齢者(65歳以上)の運転免許保有者数の推移は、年々増加の一途をたどり2015年は約1,600万人となった。

その中で年齢層別免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上で10.5人と、他の年齢層と比べて最も多い。一方、30代から50代の子世代を対象とした意識調査によると、親が生活するうえで車が「必需品」との回答者は76.3%に上る。

そこで同社では、今後NPO法人「高齢者安全運転支援研究会」などの関連団体と協力しながら、認知機能低下に関する予兆発見確度の向上や、高齢ドライバー向けサポートサービスの構築を進めていく構え。

将来的には、法人向けサービスで蓄積された「運転行動ビッグデータ」も含めてAIによるデータ解析や大学との共同研究などを行い、世代やエリアごとのドライバー運転リスク判断技術の開発を進めていきたいと述べている。

※1 危険三挙動 =「速度超過」「急加速」「急減速」
※2 2016年9月末日時点
※3 「e-テレマ」契約100台以上かつ導入から1年以上経過した企業約70社44,500台の「急加速回数」


「あんしん運転 Ever Drive」の主な機能
見守り機能
・危険挙動発生時お知らせメール・日次運転状況お知らせメール
・指定場所到着時お知らせメール・現在位置確認

運転レポート
・日別運転記録・月次レポート
・ヒヤリハットマップ・行き先履歴

運転者サポートサービス
・緊急時駆けつけサポート ※出動費用別途
・24時間健康相談ダイヤル
・あたまの健康チェック(簡易認知機能チェックテスト)※任意

利用料金
月額2,980円(税別) ※1年契約、以降1ヵ月ごと自動更新
導入時費用:10,000円(税別) ※車載機取り付け費用、システム登録料含む