米メリーランド州・ポトマック川のウォーターフロントを愉しむために開発され、ショッピング街および住宅地域として当地で人気を集めるナショナルハーバーに於いて6月16日、IBMの人工知能「Watson(ワトソン)」と連携した定員12人のミニバス「Olli(オリ)」が公開された。
このクルマは、アリゾナ州所在のベンチャー企業「Local Motors(ローカル・モーターズ)」が3Dプリント技術を使い、10時間程の工程時間を掛けて製作したもの。
米国内に於ける車両の許認可は、昨年、先行してカリフォルニア州で取得していた。
https://www.youtube.com/watch?v=Ymz4SYVr_EE
そのミニバス「Olli」の利用方法は、まず特定の目的地向かいたい乗客が、スマートフォンアプリを利用して、Olliを呼び出すことから始まる。
やってきたOlliに乗客が乗り込むと、Watsonが丁重に行き先を尋ね、Olliにその場所へ行くよう指示するという仕組み。
但しWatson自体はOlliの運転手を担うのではなく、車掌としての仕事が割り当てられている。
Watsonは自身が持つ「言語のテキスト化」「自然言語の辞書」「適切な表現抽出」「テキストの言語化」の4つの機能を駆使し、乗客と自然な会話でコミュニケーションを進めていく。
それは乗客が希望する適切な行き先を聞き出すという単一機能に留まらず、目的地へ到着するまでの間、乗客に対して、Olliの運転メカニズムやその仕組みに関する質問などに、流暢に応えていく事も含まれている。
加えて、クラウド型の高性能人工知能であるWatsonゆえに、観光バスガイド等の役割も兼ねており、乗客の希望に応えてお勧めの観光スポットや、レストラン情報を提供することも可能だ。
https://www.youtube.com/watch?v=txjDUd4ei1k
Quotation:AFPBB News
一方、自律運行の概念を持つOlliは、車体に備えた30以上のカメラ・赤外線、ミリ波センサー類からリアルタイムに走行環境の情報を取得。ディープラーニングを介して常に学習を重ねて、運転操作のスキルアップを果たしていくと云う。
上記を踏まえ、いずれは広域に於ける商業運行を視野に入れているのだが、まず当面は、大学構内外近隣で学生たちの通学や移動の足として利用されること。
企業の敷地内に於ける従業員の移動。さらにそこから一歩踏み出し、都市交通システムの一部として組み入れられる事を想定している。
具体的には、このふたつの人工知能によるペア車両は、6月16日より試験走行を開始。年内にはフロリダ州マイアミデイドの他、ラスベガスでも試験運用を開始していく予定だと云う。
米国外に於いても独・豪など試験運行の可能性を示唆する地域・自治体が現れているとLocal Motorsではコメントしている。
車両発表が行われたナショナルハーバー開発者のジョン・ピーターソン氏は、「ユニークなショッピング体験や、ダイニングエリア、さらにエンターテイメントの拠点としての役割を持つ当地は、このプロジェクト発表のための理想的な舞台となり得ます。私たちは、ローカル・モーターズの今回の試みを歓迎し、輸送業界の革命に参加できたことを嬉しく思います」と述べた。
なおLocal Motorsの共同創業者ジョン・B・ロジャース・ジュニア氏は、今後、Olliが大きく普及する可能性を見いだせれば、Olliを必要とする世界各国に3Dプリンターを設置した小規模製造工場を設置し、Olliの提供体制を整えたいと語っている。