クライスラーの2017年新型ハイブリッドミニバン「パシフィカ」をベースに、自動運転実験プログラムを拡大
ラリーペイジCEOが率いるAlphabet Inc.(アルファベット)傘下のグーグル(本社:米国・加州マウンテンビュー市、CEO:スンダー・ピチャイ)と、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ、本社:ミシガン州オーバーンヒルズ、CEO:セルジオ・マルキオンネ)は5月3日、グーグルの自動運転技術をクライスラーの2017年新型ハイブリッドミニバン「パシフィカ」に導入し、現在グーグルが実施している自動運転実験プログラムの拡大を図ると発表した。
これは、グーグルにとって初の自動車メーカーとの直接提携となるもの。センサーやソフトウェアを含め、グーグルの自動運転システムが、公式に自動車メーカー製乗用車に初搭載されることになる。
この2016年内に「パシフィカ」がグーグルの自動運転実験プログラムに使用されることにより、グーグルが現在保有しているテスト車両の数は倍以上になると云う。
100台の「パシフィカ」投入を契機に両社の技術者が協力し、自動運転技術を同モデルに導入
これを踏まえ両社は、それぞれの専門技術を基に協力して開発を進めていくとしている。
このためFCAは、グーグルの自動運転技術を導入するための専用車両を設計・開発。まずは約100台を提供し、グーグルは車両が自律走行するために必要な一連のセンサーやコンピューターの統合を図る予定。
両社はそれぞれ、技術者チームの一部をミシガン州南東部にある施設に配属し、自動運転「パシフィカ」の設計、実験、製造を推進していく。
この計画について、グーグル自動運転車開発プロジェクトのトップであるジョン・クラフチック氏は、「FCAは、鋭敏で経験豊富な開発チームを有していますし、パシフィカは当社の自動運転技術に非常に適しています。
全自動運転車の開発に於いて、FCAの技術者たちと密接に協力し合うことで、道路をより安全なものにし、運転できない人たちのために日々の行き先をより身近なものにするという当社の取り組みはさらに加速することでしょう」と語っている。
目的は、道路をより安全なものにし、多くの人たちの交通手段をより便利なものにすること
現在、米国内の交通事故による死者数は毎年33,000人に上り、そのうち94%はヒューマンエラーによるもの。
自動運転車には、この数を減少させることが期待されている。今回の両社の提携は、自動運転車の実用化に向け、さらなるノウハウの獲得を目指すものとなると両社双方共に考えているようだ。
上記についてFCAの最高経営責任者であるセルジオ・マルキオンネ氏は、「世界有数のテクノロジー企業であるグーグルとパートナシップを組むことで、自動車産業の革新に一層の弾みがつきます。
両社が、相互に協力しノウハウを共有することは、将来的には消費者にとって多大な恩恵をもたらす自動車技術の提供につながるでしょう」と述べている。
現在、グーグルの自動運転車はアメリカの4つの都市でテストされている。自動運転ハイブリッドミニバン「パシフィカ」の走行実験は、グーグルの自動運転車チームによってカリフォルニア州にある非公開テストコースで行われた後、一般道で実施される予定となっている。
<グーグル自動運転車開発プロジェクト>
グーグル自動運転車開発プロジェクトは、道路をより安全にし、運転することができない多くの人たちの移動手段を向上させる可能性を秘めた全自動運転車の開発を行っている。
ボタンを押すだけでA地点からB地点へと人を運ぶ、それが究極の目標だと云う。
過去7年間、このプロジェクトに使用されているテスト車両は1.5マイル以上の一般道を自動運転で走行し、現在もカリフォルニア州マウンテンビュー、テキサス州オースティン、ワシントン州カークランド、アリゾナ州フェニックスでテストされている。
グーグル自動運転車開発プロジェクトは、Xが推進しているプロジェクトの一つであり、Xはグーグルの親会社であるAlphabet Inc.(アルファベット)の研究開発機関の一部である。