フランス初のメルセデス・ベンツ製EV(電気自動車)の製造拠点整備に約5億ユーロを投資
独・ダイムラーAG(本社:ドイツ・ヴュルテンベルク州・シュトゥットガルト、取締役会会長:ディーター・ツェッチェ)傘下のメルセデス・ベンツブランドは昨今、欧州地域に於けるEV(電気自動車)生産規模の拡大に積極姿勢を見せている。そうしたおり欧州時間の5月18日、欧州ドイツ外に於けるメルセデス・ベンツブランド初の小型EVの生産拠点としてフランス・ハムバッハ工場を選択した。
これは同日に、フランス・パリ8区のエリゼ宮殿で行われたダイムラーAGのディーター・ツェッチェ会長と、仏エマニュエル・マクロン大統領との会談の後に発表された。
メルセデス・ベンツ・カーズの会長でもあるディーター・ツェッチェ氏は「我々は今から20年前、フランスのハムバッハ工場でスマートの生産プロジェクトを開始した。
そして今日、自社の100年以上に亘る歴史の中で、初めてメルセデス・ベンツ製小型EVの生産をフランスに持ち込むことになった。今後も我々グループは、コンパクトなEQモデルを世界に向けて輩出することを通して、EVメーカーのリーディングカンパニーであり続けるだろう」と語っている。
なお今後、メルセデス・ベンツブランドは来る2022年までに10台以上の電気自動車を発売する予定としている。実際、同社はEVの販売台数が2025年までにメルセデスベンツブランドの15〜25%に達すると予想している。
そうしたなかで、フランス・ハンバッハ工場は「ハンガリーのKecskemét工場」、「北京のBBACの生産拠点」、「アグアスカリエンテス(メキシコ)のCOMPAS工場」、「フィンランドの製造サービス会社のValmet Automotive」など3大陸6カ所に亘るダイムラーのグローバルコンパクトカー生産ネットワークの一部になっていくと云う。
対してスマートのCEOを務めるアネット・ウィンクラー氏は、「ハムバッハ工場で私たちは、EV生産の経験を永年蓄積しており、こうした知見を基にメルセデス・ベンツブランドのEV生産の準備を粛々と進めていく。
そのために拠点の製造設備と製品に約5億ユーロを投資する。またこの施策の実現は同工場の800人の従業員が、2年前の2020年協定(製造現場の労働組合が週の勤務時間を35時間から39時間に増加させることに合意した)を介して製造拠点の競争力を高めるべく貢献したことに報いたものでもある」と述べている。
実際、ハムバッハ工場の従業員たちは外電の現地インタビョーによると、フランスで最初のメルセデス・ベンツブランド車の製造拠点になることを心から喜んでおり、これが現場従業員の高いモチベーションに直結しているようだ。
目下、同拠点は新たなモデルの生産準備のため組立施設の拡張を目指しており、さらに新たな塗装セクションを設ける等の現場インフラの刷新が行われる計画となっている。
ちなみにこのハムバッハ工場は、2007年にスマート・モビリティの先駆者として電動ユニット搭載車を世界に向けて送り出し、2012年以降、「スマートEQ fortwocoupé」、「スマートEQ fortio cabrio」の2台のEVが生産されている。
これによりドイツ本国でスマートブランドは、2018年第1四半期に於けるEVブランドのマーケットリーダーの地位を確固たるものとしている。