米国発、当地・水素ステーション16拠点の温室効果ガス削減量はディズニーランド9倍の植林に相当


米・加州True Zero社の発表数値。西海岸16箇所の水素ステーションが示した水素燃料電池自動車の環境優位性・温室効果ガス削減インパクトの大きさを示す

米国・西海岸で、現在16の水素充填ステーションを運用するTrue Zero(トゥルーゼロ社、本社:米国・カリフォルニア州アーバイン、CEO:ジョエル・エワニック)は米西海岸時間の1月17日、同社運営の水素ステーションを利用した全ての燃料電池自動車による温室効果ガス効果が、累計230万ポンドに達したと発表した。

具体的には同社運営の複数拠点の水素充填ステーションが、2016年中に米国・カリフォルニア州内で燃料電池自動車に供給した水素燃料は、ゼロ排出換算で370万マイル以上となり、その温室効果ガス排出量は累計230万ポンドに到達したと云う。

True Zero社の親会社で、現地に本社を置くFirstElement Fuel社のジョエル・エワニック最高経営責任者(CEO)は、「その温室効果ガスの削減は、ディズニーランドの9倍の広さの森林を植えるのに等しい」と説明した。

これを踏まえ、広く自動車オーナーに水素燃料で当地を走行する利点を理解してもらうため、True Zero社は水素燃料電池自動車を運転する社会的インパクトを表すラベルを、水素供給ステーションに貼り出す予定であると云う。

ちなみにTrue Zero社が、既存の充填拠点を介して取り扱う燃料電池自動車両は、およそ1200台余りと見積もられており、その数はさらに順調に増加していると述べている。

同社は、顧客に自身が消費している資源の有用性に関する情報と共に、例えば食品パッケージ背中の成分表に似た新しい分析ラベル(Analysis Label)を貼ることにより、どれだけ環境に貢献しているかについても明確な情報を伝えていく。

先のエワニックCEOは「我々は、世界に温室効果ガス削減に対して積極的にインパクトを与えるため、この事業を始めた。

今日、顧客は1マイル運転する毎に着実にその効果を生み出している。施設開設後の早い段階から、このような具体的な効果を提案できることは、我々にとっても大変嬉しいことであり、今後は、この物語性をより広く伝え・浸透していけるようプロモーション活動を続けて行きたい」と述べている。

同社が訴えるこの持続可能性分析ラベル(Sustainability Analysis Label)は、アルゴンヌ国立研究所のGREETモデルに基づき、多様な車両燃料の全ライフサイクルにおける影響を示すものだ。

True Zero社が車両に充填した水素利用は、典型的なガソリン車に比べ、温室効果ガスの排出で60%が圧縮され、しかもTrue Zero社が取り扱う水素の3分の1は再生可能エネルギーが基になっているため、今後、充填量が増えるにつれ、その割合はさらに拡大していくと予想されている。

と云うのはTrue Zero社の水素充填ステーションのうちの2つでは、既に100%再生可能原料から作られた水素燃料を提供しており、これによって典型的なガソリン車に比べ、温室効果ガスの排出を93%削減できるからだ。

True Zero社は、今後2023年までに、取り扱う全ての水素を100%再生可能エネルギーで作るという野心的な計画を立てている。

今日、カリフォルニア州の道路を走る燃料電池車の数は、2016年中に劇的に増え、2017年にはその数が4倍以上になると見込み。自動車メーカー側の動きでは、トヨタ自動車が2015年後半に水素の燃料電池車「Mirai(ミライ)」の販売をカリフォルニアで開始。

次いで本田技研工業も2016年12月、水素燃料車の次世代モデルである新型ホンダ・クラリティを発表した。さらに現代自動車や、メルセデス・ベンツといった他の自動車メーカーも米国内で燃料電池車をリースしている。

一方True Zero社は、カリフォルニア域内で現在16の水素充填ステーションを所有・運営しており、今後さらに3つのステーションを建築中だ。

この追加施設の完成により、同社の小売ネットワークの第1段階が完了する予定で、ネットワーク拡大計画の第2段階に向けての建設も早晩今年中に開始される予定だと云う。

来る第2段階の計画実行では、施設の規模がこれまでより大きくなる。これは、カリフォルニアの交通環境上で予想よりも早く水素燃料に関する需要が増大しているためで、これによりステーション毎により多くの顧客に対応することが可能になる。

写真左からジョエル・エワニック氏、シェーン・スティーブンス氏、ティム・ブラウン氏、コスタ・メサ、カリフォルニア州の充電ステーションにて

エワニックCEOは「水素ネットワーク計画の第1段階で、我々の予想よりも大きな増加傾向を目の当たりにしている。

その需要に応え、より多くの燃料電池車販売を支援するため、我々の将来のステーションは大きく、多数の車に同時に水素燃料を充填できるようにしたい」と語っている。

なお燃料電池車に水素を充填する時間は5分足らずであるが、それでもTrue Zero社の水素ステーションでは、早くも行列が始まっており、1日の最も忙しい時間帯には永い待ち時間も発生している。

こうした状況を見据え、州内の大気汚染と温室効果ガス削減の野心的な目標を掲げるカリフォルニア州エネルギー委員会、サウスコーストAQMD、ベイエリアAQMDは、True Zeroの水素ネットワーク第1段階に補助金を交付した。

これに加えてTrue Zero社は、トヨタ自動車と本田技研工業からカリフォルニアエリアの水素ネットワークを加速・発展させるために追加融資を受けている。

(注1)本ステーションの水素は100%再生可能原料を基にしているが、輸送と現地処理の過程で少量の割合で再生不可エネルギーを使用している。

(注2)True Zeroは100%再生可能な水素を5年間で販売することを目標にしているが、輸送と現地処理の過程で少量の割合の再生不可エネルギーを使うことが予想されている。