独コンチネンタルAGと米国デジレンズ社、拡張現実ヘッドアップディスプレイ技術をCESで初公開へ


独・自動車部品サプライヤー大手のコンチネンタルAG(本社:ドイツ、ハノーバー市、CEO:エルマー・デゲンハート)は2016年12月、ホログラフィック投影技術を保有する米・デジレンズ社(DigiLens Inc.、本社:カリフォルニア州サニーベール、CEO:ロバート・A・ヤング)と戦略的提携を果たした。

ちなみにこの両社が提携関係を締結した最大の目的は、超薄型のAR(Augmented Reality・拡張現実)HUD(ヘッドアップディプレイ)の開発にある。

一般に自動車の運転時に利用されるARこと拡張現実とは、「ドライバーが肉眼で捉えた情報」に加え、「車載センサーから入手された各種情報」を重ね合わて表示するというもの。

例えば、特定区間毎の制限速度表示などの他、車両の状態を示す計器情報やナビゲーション情報を筆頭に、その他、運転時に死角となって見えない他車や歩行者など物理的に認識できない、またはし難い情報を「ドライバーが眺め・認識しているディスプレイ画面」にリアルタイムに表示していく。

なお今回、コンチネンタルAGのパートナー企業となったデジレンズ社は、シリコンバレーに拠点を据えるテクノロジーカンパニーである。その保有技術は「家電製品に於けるホログラフィック投影表示」並びに同じく「自動車運転」時の投影表示技術となる。

こうした要素を踏まえ両社は、自動車分野に於いて特定の車両セグメントを問わない広域で、このテクノロジーのさらなる搭載範囲拡大・市場浸透を目指している。

この取り組みについて、コンチネンタルAG取締役会メンバーで、インテリア部門を統括するヘルムート・マッチ氏(Helmut Matschi)は、「当社とデジレンズ社とのHUD分野へ於ける戦略提携により、多くのドライバーが近い将来、その恩恵を受ける事ができるようになります。

私たちは自動車業界内に於いて、より早く・より広くこの拡張現実テクノロジーを浸透させることを目指しています。

この取り組みは、詰まるところ私たちが社是として目指している『自動車事故ゼロ』という最終目標に限りなく近づくためのひとつの手段となります」と語る。

また加えてマッチ氏は、「デジレンズ社のホログラム技術を利用したHUDは、既に存在している他の同種のシステムと比較して、わずか3分の1にまでコンパクト化されます。

これによって、取り付け場所の省スペース化を実現すると同時に、投影される仮想イメージ自体も、その分より大きく表示することが可能になります。

シリコンバレーを拠点とするデジレンズ社は、ホログラフィック光導波路技術と、その関連マテリアル分野で実績のある企業です。

デジレンズ社が有する拡張現実および仮想現実に関する知見は、当社の自動車向けHUD分野に於ける知見と、製品ラインナップをより豊かにしてくれることでしょう」と、今協業によって目指している新製品化に期待を覗かせた。

対してデジレンズ社のファウンダーであり、同社CTOを努めるジョナサン・ワルダーン氏(Jonathan Waldern)は、「私たちが集積光学によって実現した技術躍進を以て、今回、コンチネンタル社とともに自動車産業向けにも取り組み分野を拡張できると確信しています。

我々の拡張現実技術は、新たなHUD製品から提供される、自動車を取り巻く周辺環境とその情報をドライバーの目の前で一望のものとするでしょう。

その際ドライバーは、視線を道路以外に向ける理由はもはや無くなります。今回のコンチネンタル社との提携で、私たちは道路上の移動をより安全な環境に変えるべく、HUD技術の採用を加速させていきたいと考えています。

またこのテクノロジーは、自動運転の受容度の加速にも大きく貢献します。自動運転では、より安全で直感的な運転体験をもたらす包括的なヒューマン・マシン・インターフェースが必要です。

これはまさに我々のディスプレイ技術が提供できるものです。拡HUDにより、自動運転を実行している車両が、実際に何を見ていて、どのようなことを把握しているのかが判り、ドライバーはそれによって大きな安心感を得られることでしょう。

それと同時に、ドライバーの自動運転に対する信頼感も大きく高まることでしょう」とコメントしている。

なお、これらの基礎技術は来たる2017年1月に米国ラスベガスで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)に於いて、その技術力の一端が初公開される予定である。