株式会社ブリヂストン(本社:東京都中央区京橋、代表取締役CEO 兼 取締役会長:津谷正明、以降、ブリヂストン)は、かねてよりバス停車時に縁石とタイヤサイド部を接触させることによって、バス乗降口と停留所の隙間を小さくする正着性向上(バス乗降時のバリアフリー化)に関する研究を行っており、今回、「バリアフリー用新コンセプトタイヤ」を開発した。
この新コンセプトタイヤは、ゴム自体を摩耗しにくくしている事に加え、接触を繰り返すことによりサイドゴムが摩耗した際は交換可能であることが特長。
同時に、2016年12月に発表した「次世代正着縁石」の正着性を更に向上させたと云う。
ブリヂストンでは、同開発を踏まえ「今後、具体的なニーズをお持ちのお客様と共にバリアフリー実現に向けた検討を推進し、2020年の実用化を目指していきたいと考えています。
正着性向上に関しては、海外の一部地域に於いて、特殊な形状をした正着縁石が導入されていますが、横浜国立大学(「交通と都市研究室」:中村文彦教授)および公益社団法人日本交通計画協会との共同研究を通じて、タイヤサイド部の摩耗および正着距離に課題があることが判りました。
当社は、接触を繰り返すことによるタイヤサイド部の摩耗が進んだ際の対策として、サイドゴムの貼り替えを可能にする新しい技術を考案しました。
例えば、サイド部とトレッド部の双方が摩耗した場合は、リトレッド工場で新たなトレッドゴムとサイドゴムを同時に貼り替えることが可能です。
また、サイド部がトレッド部よりも早く摩耗した場合には、シート状のサイドゴムを追加接着することで、タイヤの再使用が可能となります。いずれも、当社のリトレッド技術等を応用しています」と述べている。
ブリヂストンでは、これらの技術を適用し、従来の摩耗対策(タイヤサイド部のゴムをあらかじめ厚くすること)に比べ、タイヤの重量増や転がり抵抗悪化を軽減できるとしている。
また摩耗した部分のみ交換する為、より省資源で、バス事業者に対してタイヤを「より長く経済的に」使用するためのビジネスモデルを提案していく構えだ。
なお交換可能なサイドゴムは、タイヤが縁石と接触する際の耐摩耗性能(削れ難さ)と低摩擦性能(滑りやすさ)に着目し開発したが、その結果、この新コンセプトタイヤは、縁石とサイド部が接触した際の摩耗量が従来品の約1/4と、大幅に抑制できることを実車試験で確認したとしている。
次世代正着縁石の改良(車両接触回避形状の考案)
加えて去る2016年12月に発表した「次世代正着縁石」は、適度に傾斜させた路肩スロープで、容易かつ安定して正着性を向上させつつ、縁石底ラウンド形状にてタイヤサイド部の摩耗を軽減するものだった。
これを今回は、新たに車両接触回避形状を導入することにより「次世代正着縁石」の段差を改善している。
具体的には「次世代正着縁石」で58mmあった段差を減少させ、かつ車体と縁石の接触を回避するために、縁石側に車両接触回避部を有する新たな縁石・路肩形状を考案した。
この新形状の適用により、更に25mmの段差減少を実現(段差33mm)し、バス乗降時の車椅子やベビーカー利用者の負担軽減に貢献できるとしている。
以下はMOTOR CARSの過去の関連記事
ブリヂストン、バス乗降時のバリアフリー化に貢献する正着性向上の共同研究成果を発表(2016年12月17日掲載)