全日本F3選手権の第13~14戦が9月10~11日、岡山国際サーキットで開催され、高星明誠が第14戦でポールトゥウィンを飾り、シーズン3勝目を挙げた。
今回、先の震災の影響下でオートポリス戦の代替イベントとして開催されたこの2戦は、朝から雲は残るものの天候自体は晴れ。予選セッションでは、山下健太(ZENT TOM’S F312)が周回5周目、1分21秒981をマークし、第13戦のポールポジションを獲得。
2番手は高星、3番手には山下と同様に5周目にアタックした坪井翔(ZENT TOM’S F314)がつけた。
第13戦決勝レースは、10日(土)の昼過ぎにスタート。2番グリッドの高星はスタートに狙いを定めたが、上位陣がそれぞれ好スタートを切ったことで山下がトップで1コーナーへ。対して高星はポジションを上げられず、2番手でレースを進めていく。
これに3番手の坪井が続き、4番手にジャンプアップしたマーデンボローが付けている。
首位の山下は序盤、1.5秒前後のマージンを築き、先行逃げ切りの得意のパターンに持ち込もうとするが、7周を過ぎる頃には少しずつ2番手高星が山下とのギャップを縮め始める。
また、その背後では3番手を走る坪井に対し、マーデンボローが接近。6周目あたりから2台はテール・トゥ・ノーズのバトルとなる。
山下と高星のギャップは、9周目にはついに1秒を切っていく。さらに11周目には0.607秒と接近。残り2周では、高星が山下のインをうかがうまでの戦いとなった。
14周目には0.4秒差まで迫り、チェッカーまで残り2周のところで一気にトップのマシンに並びかけたものの、逆転タイトルに向けて勝利を譲れない山下が0.552秒差で首位を守りきり、第5戦岡山以来となる今季4勝目を飾った。2位表彰台獲得となった。
3位にはマーデンボローを抑えきった坪井。5番スタートのマーデンボローはスタートで1つポジションを上げて4位でゴールした。
続く第14戦は、ポールシッターの高星がスタートダッシュを決めると、レース中盤からは2番手以降にペースの違いを見せつけ、毎周後続との差を広げていく。
4番手スタートとなった坪井のスタートも良かったのだが、1コーナーへの位置取りで2番手に浮上したのは阪口。
オープニングラップは高星、阪口、牧野、坪井、イェ・ホンリーというトップ5が連なり、ここでポイントを稼いで菅生に挑みたい山下はスタートに失敗して6番手に後退する。
その後レースが5周を過ぎた頃、各車共にタイヤの状況を気遣って膠着状態に。
この状況下トップを走る高星は、2番手阪口に対して着実に貯金をし続けて、5周目には1.771秒だった阪口との差を10周目に4.531秒に拡大させる。
一方、置いていかれた阪口を含む3台は2番手争いが加熱。18周目には、3台の後方につけていたホンリーを山下がパス。阪口は牧野、坪井、山下達の接近を許し、2番手争いは4台の争いに拡大する。
結果トップを走る高星は、最後は2番手以下に15.852秒の差をつけトップチェッカー。今季3勝目を飾る。ファステストラップも記録し完全優勝を果たした高星は、選手権ポイントを12ポイント加算し、シリーズ4位に浮上した。
過酷を極めた2番手争いは最後まで阪口がポジションを譲らず、自身初めての表彰台となる2位を獲得。17歳と64日での表彰台獲得は、全日本F3における最年少記録だ。3位は牧野となった。
対して前日の予選でトラブルに見舞われ、最後尾からのスタートとなったマーデンボローは、ポジションを取り戻すべくスタートから積極的な走りを展開。
F3-Nクラスの車両をスタートから1コーナーまでに抜き去ると、2周目には9位に浮上。4周目には8位に上がり、ポイント獲得まであと2つというところまで迫ったが、前半の猛プッシュでタイヤの消耗が激しく、その後は順位を上げることができない。
それでも、終盤まで前のマシンより速いラップタイムを記録するなど最後まで差を詰めてゴール。この週末での獲得ポイントは3ポイントに留まったものの、ランキングトップは死守している。
ヤン・マーデンボロー(第13戦4位/第14戦8位)
「この週末は残念な結果となりました。決勝レースでのマシンの調子は悪くなかったのですが、すべては予選が上手くいかなかったことに尽きます。
どちらのレースでもスタートを上手く決めることに集中し、ポジションを上げることができましたが、レース中は前の選手に近づくとマシンのバランスが乱れてしまうので、近づいては離れての繰り返しになってしまいました。
次が今シーズンのF3最後の大会になりますが、いい形で締めくくれるように頑張りたいと思います」
高星明誠(第13戦2位/第14戦優勝)
「当初の予定ではシリーズ序盤の2大会の実のスポット参戦でしたが、このような形で再びF3を戦うことになりました。
前戦のもてぎ大会ではいい結果を残せていなかったので、今回は挽回するよう、しっかり準備も整えてきました。
予選で速さを見せることを一つの課題にしていましたが、ポールポジションという形で結果を出せましたし、最後のレースで優勝できたのも良かったです」