両社は産業界のリーダーが一堂に会する半導体サミットを開催
フォルクスワーゲングループは、〝IAAモビリティ(独・ミュンヘン)〟に於いて自動車産業界のリーダーが一堂に会する第4回・半導体サミットを開催した。それは自動車メーカーとして半導体の調達に係る新たな戦略を示したものであり、それが自動車産業界と半導体産業界のパートナーシップを強化するだけに留まらず、互いが温めていくべきイノベーションを確認するための絶好の機会になると考え設けたものだという。
今年で4回目を迎えた同イベントは、「Past-Proven. Future-Driven.」をスローガンに掲げ、フォルクスワーゲングループの6日間に及ぶ包括的なプログラムの一環として開催され、そこに大手半導体企業、主要自動車部品サプライヤー、フォルクスワーゲン グループの代表者、協会や研究機関の代表者を含む、CEOや経営陣が一堂に会した。
同社では、このような機会が業界のビジョンを一致させ、協力を促進させ、モビリティの未来にとって極めて重要なイノベーションを推し進める戦略的プラットフォームとして機能するものだという。
特に今サミットに於けるハイライトは、フォルクスワーゲングループとフォルクスワーゲングループテクノロジーズが、リビアンと50を超える半導体領域を共有し合う新たな製品調達モデルの発表を行ったことだと畳み掛けている。
自動車産業で半導体が果たすべき重要性は飛躍的に増大している
その背景には、最新の車に電力を供給し接続するマイクロコントローラー、パワートランジスター、プリント回路基板などのコアコンポーネントも含まれる。
また今取り組みは、サプライヤー基盤の拡大、強固なパートナーシップの構築、そして自らが世界の自動車テクノロジーを牽引する役割を担うという野心的な目標を掲げたもので、そこには未来に向けたVWグループの積極的な企業姿勢を反映されているという。
さて、ここで一旦、翻ると、そもそも近年の半導体産業は、自動車産業のイノベーションを押し上げていく推進力を担っているだけでなく、電動化を促進すること、性能と安全性を高めること、望ましいユーザー体験を形成することなど、自動車ビジネス上に於いて、多角的な役割を担うだけに留まらず、そもそも半導体が果たすべき役割自体が飛躍的に増大した。
実際、かつて初代フォルクスワーゲン「Golf(ゴルフ)」には約30の個半導体が使用されていたが、現在のモデルには約8,000個の半導体が搭載される。また、その数は、年を追う毎に増加の一途をたどり、「ID.7(アイディ. 7)」などの最新の電気自動車では約18,000個もの搭載量に達している。
また特定の用途では、信頼性を優先する基本的なチップから、航空宇宙などのハイテク産業で使用されるものと同様の機能を実現する高度なコンポーネントへと重点も移りつつある。
両社共同の調達体制は、新レベルのビジネスモデルへ到達する
そうした近年の状況について、フォルクスワーゲングループのエクステンデッド エグゼクティブ コミッティメンバーであり、調達担当取締役を務めるディルク グローセ-ローハイデ氏は、「自動車業界と半導体業界は、これまで以上に相互の繫がりを深めています。
今後も緊密に協力し合うことで、私たちは次世代の車で定義するべきイノベーションテーマを定めることができ、そのテーマを足掛かりに、未来へ向けた信頼性の高いエコシステムを構築していけます。
私たち自動車メーカーは、今後も半導体産業を信頼できるパートナーとして位置付けつつ、独自の成長モデルを敷き、先端製品の調達体制を着実に確保していきます」と語っている。
そうした相互のパートナーシップ構築へ向けたフォルクスワーゲングループ内の取り組みの一例として、リビアンおよびフォルクスワーゲングループテクノロジーズ(JV)が合弁会社を介して共同調達イニシアチブ設けていることを挙げた。
実際、この取り組みにより両社は50以上の分野に亘るハイテク半導体の調達責任を共有することができるようになった。これはコストの削減、供給の安定的な確保、調達の合理化、運用効率の向上に貢献するとした。
またこの提携を通じて調達されたチップは、電子ゾーンアーキテクチャーに基づいて両メーカーに関連する全てのモデルラインナップで共有して使用される予定という。
スタートアップならではのスピードと大規模なテーラーメイドソリューションの提供へ
そんな半導体の調達体制についてリビアンおよびフォルクスワーゲングループテクノロジーズ共同代表取締役(CEO)を務めるカーステン ヘルビング氏は、「私たちはフォルクスワーゲングループの世界的な専門知識と、将来のハイテク半導体の開発に影響を与えるSDV(ソフトウェア ディファインド ビークル)の開発に係るリビアンの経験を組み合わせることで、より良い成果を上げていくことを目指しています。
このビジネスモデルにより両者の技術チームは、モデル開発およびイノベーションの実現に完全に集中することができるようになります。
私たちは共に協力し合うことで、スタートアップならではのスピーディ感を伴ったまま、大規模なテーラーメイドソリューションを提供することができます。
また私たちは、技術の進歩と過去の供給課題に対応するため、半導体戦略を見直し、堅牢なエコシステムを構築できています。
今後は、半導体企業やサプライヤーとの強固な協力関係を維持することが引き続き重要な焦点となっており、ブランドに関わる各々が様々なカテゴリーに亘ってリーダーシップを発揮していきます。
このアプローチの主な側面には、複雑さの軽減、透明性の高い数量計画の確保、サプライチェーン全体にわたるコンポーネントの追跡などがあります。
これらに共同して取り組んでいくことにより、直接交渉や一括購入によるコスト効率が向上し、技術面やソフトウェア面に於ける調整が迅速化され、サプライチェーンの安定性が高まります。
また更に私たちは現在、主要な車両パラメータに直接影響を与える重要な部品用の半導体を具体的に定義し、自社の能力を強化している最中にあります」と説明し結んでいる。