半導体IP(知的財産)の設計・開発・ライセンス供与を担うArmホールディングス(アーム/本社:英ケンブリッジ、CEO:レネ・ハース)は5月16日、未来のSoC(System on a chip)を設計していくにあたり、インフラストラクチャ、クライアント、オートモーティブ、IoT向けエッジAIプラットフォームの主要市場の其れ其れに、Arm Compute Subsystems(CSS/Compute Subsystems for Client)を導入することを明らかにした。
AIワークロードなどの要因を背景に、コンピューティング需要が急速に拡大・進化していくなか、システム・オン・チップ(SoC)レベルでの電力効率が益々重要になってきた状況を受け、同社はSoCを設計するにあり、上記以上の優れた方法は考えられないという。
実際、今日のAIは最大規模のデータセンターからイヤホンなどの極小デバイスまで、あらゆる主要市場に変革をもたらした。
この影響でCSSの開発は、消費電力を抑えながらパフォーマンスを大幅に向上させるなければならないという、根本的な課題に直面している。
このためArmは今後、全てのコンピュート・プラットフォームに対して、市場投入までの期間短縮、ワット当たり性能の向上、そしてスケーラブルなイノベーションを実現することを視野に、統合・検証済みのシステムを提供していく構えとしている。
なおこれらのプラットフォームを、より分かり易く発信するべく、以下のように製品群について新たな命名体系を導入していく。
これにより各コンピュート・プラットフォームには、主要なエンドマーケットごとに明確なアイデンティティが付与されることになる。
▷Arm Neoverse(ネオバース):インフラストラクチャ向け
▷Arm Niva(ニーバ):PC向け
▷Arm Lumex(ルメックス):モバイル向け
▷Arm Zena(ジーナ):オートモーティブ向け
▷Arm Orbis(オービス):IoT向け
今後もMaliブランドはGPUブランドとして継続され、IPはプラットフォーム内のコンポーネントとして参照されるが、IPのナンバリングがプラットフォームの世代に合わせ簡素化させ、Ultra、Premium、Pro、Nano、Picoなどの名称を用いてパフォーマンス層を示すという。
Armで最高経営責任者(CEO)を努めるレネ・ハース氏(Rene Haas)は、「今回の新たな命名体系を世に発表できることを大変嬉しく思います。今後、開発者と顧客は、Armのロードマップをより簡単に理解できるようになるでしょう。
ちなみにこうしたプラットフォーム・ファーストのアプローチは、コアIPだけでなく、システムレベルでArmのコンピュート・プラットフォームへの転換が急速に進んでいることを示しています。
これによりパートナー各社は、特にAI需要への対応で規模を拡張する際に、Armテクノロジーをより迅速・確実・シンプルに統合できます。コンピューティングの未来は、今後もArm上で築かれていきます」と結んでいる。