先に独・ダイムラーAG(本社:ドイツ・ヴュルテンベルク州・シュトゥットガルト、取締役会会長:ディーター・ツェッチェ、以下、ダイムラー)の経営委員会は、欧州中央時間の2017年7月18日付けで、欧州域内のディーゼル車両300万台に対して、サービスキャンペーン(自主リコール・改善対策)を実施すると発表したが、日本時間の7月21日の23時、同様の措置を日本国内に於いても展開すると発表した。
具体的には上記、独・ダイムラーAGの同改善対策について、メルセデス・ベンツ日本株式会社(本社:東京都品川区、社長:上野 金太郎)も今後、日本でも欧州と同様の対応を行っていくとの連絡を、本国ドイツのダイムラーAGより受けたと公表したもの。
実はここに至るまで、今回のディーゼルエンジン搭載車に関する対応については、製品企業側から報道機関へ流れる情報自体が錯綜。
メディア毎にその内容が異なる場面もあったが、日本国内でメルセデス・ベンツ車両のオペレーヘションを担うメルセデス・ベンツ日本株式会社では、「引き続き、ダイムラー社から情報を収集し、詳細が判明次第、適切に情報提供して参ります」と述べている。
なお欧州に於けるこれまでのリリース概要については、以下の当「MOTOR CARS」で掲載済みの関連記事リンクから、その内容について参照されたい。
リンク先の該当記事中には、欧州地域に限定した取り組みや、その他の新エンジン供給なども含む概説も含まれているが、今回メルセデス・ベンツ日本が実施する内容に関しては、ディーゼルエンジン車に関わる同社らが「サービスキャンペーン」と称する自主改善に限定されるものと考えられる。詳報は、追次掲載していく。
ちなみに日本国内で、国土交通省が定義する「サービスキャンペーン」とは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善を行うことであると表している。
メルセデス・ベンツ日本に於いて、今回公式に発表している文言に沿って捉えると、今概要はこの「サービスキャンペーン」に該当すると捉えているようだ。
また日本国内で国土交通省が捉える「サービスキャンペーン」を超えた場合のメーカー対応では、「改善対策」という定義がある。
これはより上位にあたる「リコール届出」とは異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、自メーカー車両の不具合が発生した場合に、それが「安全の確保」及び「環境の保全上」看過できない状態であって、かつ、その原因が「設計又は製作過程」にあると認められる時に、自動車メーカー等が必要な改善措置を行うことを指す。
さらに平素、読者も耳にするであろう「リコール」とは、同一の型式で一定範囲の自動車等またはタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない。
または適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計または製作過程にあると認められる時に、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことを指している。
なお、そもそもこうしたリコールなどを含む、交々の改善措置自体が、本当に意味するところは、不具合の発生そのものをあげつらうことではない。
そもそも翻(ひるがえ)ってみれば、大きな事故・事件の発生から、とても小さな不具合に至るまで、全く問題が起きない企業は、残念であるが人間が作ったものであるだけに、この世界には存在しない。
これを踏まえリコール制度は、そうした瑕疵を、企業自らが認めて、回収、修理を行うことで、最終的にはそれが原動力となって、該当企業が社会から信頼を勝ち得ていく道を造ることにある。
そしてこれこそが「リコール制度」や「自主改善」の本質である。
大事なことは、外からは見えない社内問題を、企業自らが自身で改善していける力を持っていることを、外に向かって示すことにある。
我々消費者は、過去の隠蔽体質が改善され、新たに頼もしい存在になっていく企業の姿に、今も期待を寄せていきたいし、多く製品企業はそうであって欲しいと祈るばかりだ。(坂上 賢治)
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