「GMチャイナ」の持分利益に加え「GMファイナンシャル」の税引前利益も同期の新記録に
米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下GM)は米国時間の10月30日、2018年第3四半期の業績を発表した。
それによると今期利益は25億ドルを達成。調整後EBITは32億ドル。希薄化後のEPSは1.75ドルと好調を維持した。 希薄化後調整後EPS も1.87ドルと第3四半期としての記録を伸ばしている。
この記録の礎となった車両販売は、最新型フルサイズピックアップトラックとクロスオーバーの伸張が著しく、これにより北米事業は安定。
一方、同社が傾倒する「GMチャイナ」に於ける持分利益並びに、「GMファイナンシャル」の税引前利益は第3四半期としての新記録となっている。併せてGMファイナンシャルの総収入は四半期として過去最高記録を達成したとしている。
この結果を踏まえ、GMの会長兼CEOのメアリー・バーラ氏は、「今回の第3四半期の業績は、モビリティの未来を継続的に前進させるとした計画が着実に進んでいることに加え、経営上のリスク管理を徹底することで優れた結果を出すという私たち経営陣の決断を如実に示したものです」と、その数値達成の成果を高らかに宣言した。
さらに各地域毎の成績なかでも北米事業の概要については、まずGMノースアメリカは、第3四半期10.2%と好調な収益を積み上げた。これは平均取引価格が上昇したことが反映されたもので、結果、第3四半期の実績としては過去最高値となっている。
生産面でも拡大した見込み需要に応えられるよう増産体制が組まれる程の活況に
対して当地での車両投入による成果については、直近の8月に2019年型ライトデューティーモデルの「シボレー・シルバラード」と、「GMCシエラ」がディーラーへ向けてのデリバリーを開始。
シルバラードの「LTZ」と「ハイカントリー」、さらにGMCシエラの「SLT」「デナリ」「AT4」といったクルーキャブモデルの納車台数が、いずれも同社が当初想定していた予想値をことごとく上回ったことから、拡大した見込み需要に応えられるよう生産現場での増産体制が組まれる程の活況となっている。
当期にGMは、このような数値を上げていることから同社の第3四半期の米国国内に於ける販売台数は約70万台を達成。
平均取引価格でも3万6,000ドルを上回り、ここでも第3四半期としての最高額を記録している。この数値による販売車両1台あたりの取引価格は前年比で800ドル、業界平均との比較では4,000ドル上回った。
「シボレー タホ」「サバーバン」「GMCユーコン」などのフルサイズSUVの売上も前年比で約12%アップ。また「シボレー コロラド」「GMCキャニオン」などのミッドサイズのピックアップも第3四半期としては2004年以降最高の売上高となった。
同情勢を前提に経営サイドでは、2018年後半の新車トラックの出荷台数を約12万台と見積もっている。さらに刷新されたシボレー ブレイザーの生産も車販拡大の余地に期待して第4四半期後半早々には開始される運びとなっている。
ホンダが7億5千万ドルを投資。無人ライドシェアサービス車の開発にも別途20億ドルを投じる
このような車両販売・生産現場の好況の他、日本の本田技研工業は米国時間で先の10月3日にGMクルーズへ出資を決めている。
これは本田技研工業が新たな自動運転車の開発にあたって、米ゼネラルモーターズ・カンパニー傘下のGMクルーズと協業で行うことを意味している。
具体的には本田技研工業がGMクルーズに対し、7億5千万ドルに及ぶ株式投資を実施する。これに加え無人ライドシェアサービス用車両の開発コストを含めた別途20億ドルも重ねて投じるというもの。
上記取引に伴ってGMクルーズは、50億ドルの外部資本を新たに呼び込むことになり、同社の企業価値は146億ドルに跳ね上がる。
これにより同出資並び協業を介して開発される自動運転車は、さまざまな使用形態に合わせ、基本設計部分の多くを共有するものになる見込みで、両社双方合わせて国際的なプラットフォーム展開を視野に入れた大量生産車のベースとなっていく予定だ。
2018年・第3四半期、GMチャイナは投資家の評価を超える持分利益を達成で新記録に
なおGMファイナンシャルも併せて過去最高の収益を上げる見込みで第3四半期のEBTは5億ドルを記録する。これはGMグループのポートフォリオの拡充と安定した信用によるものであり、この数値目標の達成はGMフィナンシャルがさらなる成長期に入りつつあることを示していると同社では述べている。
活況著しい米国マーケットに比べ、ここのところ厳しい市場環境の兆候が見えつつあるように映るGMチャイナは、そのような投資家の評価にかかわらず、第3四半期の新記録となる持分利益を達成した。
この理由の秘密は、当地で人気の高いセグメント車を大きく充実させたことが功を奏したもの。特にキャデラックが記録的な売上を上げ、さらにシボレーも堅調な納車台数推移を見せている。
GMチャイナは、この環境を受けて2018年後半に掛けては、さらに新型車や刷新車両10車種の投入を急ぐ構えだ。
そのなかでも今年の初めの「ビュイック・ヴェリテ6」のリリースの後、先の9月の「宝駿E200」の当地でのリリース。今後数年の間に中国市場向けで注目を集める電気自動車の新たな投入計画についても手綱を引き締めていく。
こうした国際環境下での新車攻勢について、GMの最高財務責任者であるディビア・スリヤデバラ(Dhivya Suryadevara/9月1日付けで就任・チェンナイ生まれの39歳)氏は「米国市場に対して統制のとれたアプローチを行ったこと。
中国で素晴らしい業績を上げていること、そしてGMファイナンシャルがさらに成長したことなどが相まって、この四半期も非常に堅調な結果となりました。
今後も不安定な外国為替や原材料価格高騰などの逆風に対抗するためのさまざまな対策を引き続き講じていく所存です」と年度後半に向けた意気込みを語っている。
同内容からGMチャイナの第3四半期の販売台数は、約83万6,000台を記録。中でもシボレーの勢いは年初から現在までの売上を10%押し上げる程となっている。これはエクイノックスを含め装備を充実させたクロスオーバー車が前年比で売上を29%伸ばしたためでもある。
加えて中国に於いて同社の収益率向上の礎となっているキャデラックの売上は、前年比で4%の増大と年初来20%アップを達成。ここでも第3四半期の記録を打ち立てている。
この成績を受けたキャデラックの事業部門では、総じてはまだ成長基調にある中国市場に応えるため、さらなる高級志向に沿った車両投入展開を進めていく予定で、通年売上の増大に期待が集まっている。
EV化の加速を一層進め、キャデラックでは半自動運転システム「スーパークルーズ」全搭載へ
さてそのような実績を上げつつある同社グループのEV開発を筆頭とする最新動向については、まず第4四半期に於けるボルトEVの生産台数の20%増加を実行。国内外で高まりつつあるEV需要への社内体制の進化を一層進めていく。
併せてGMは、こうしたEV車両路線に於いて最も課題となるであろう高速充電技術の開発を加速化させるべくデルタ・エレクトロニクスと業務提携を結んでいる。この提携の成果として近く10分未満の充電時間で180マイルの走行距離を可能とするプロタイプ車の供給体制を整えていく構えである。
さきの通り稼ぎ頭の中国に於いても好調を維持しているキャデラックに関する事業進展ではこの第3四半期から、キャデラック初のコンパクトラグジュアリーSUV「XT4」が中国を筆頭に米国やカナダに於いても店頭のショールームを飾っている。
またキャデラックブランドでは、2020年以降全てのモデルへの半自動運転システムの「スーパークルーズ」を搭載を目指しており、同機能は米コンシューマー・レポートのランキングでも首位を獲得する程の人気の技術となりつつある。
その他キャデラックに関しては今後2020年まで6カ月毎にニューモデルを投入していく方針としており、最も直近のニューカマーは3列シートモデルのXT6になる予定である。