中国のスタートアップEV企業の奇点汽車への技術提供も明らかに
トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男)は4月16日に開幕した中国の上海国際モーターショーで「C-HR」「IZOA」の電気自動車(EV)を世界初披露した。(坂上 賢治)
https://youtu.be/GMllxSuO538
「C-HR」「IZOA」のEVは、トヨタブランドとして中国初投入となるEVで2020年に販売を開始する。
他にもトヨタブースでは、中国初披露となるRAV4並びにアルファード/ヴェルファイアのハイブリッド車(HV)や、2019年3月から販売を開始した「カローラ」「レビン」のプラグインハイブリッド車(PHV)、中国の研究開発拠点であるTMECで開発した「90後(1990年以降生まれ)の若者の価値観やライフスタイルに合うクルマ」として提案するEVコンセプト車「RHOMBUS」など、様々な電動車を披露した。
また燃料電池自動車(FCV)について副社長の吉田守孝は、プレスカンファレンスで「2017年から中国で燃料電池車MIRAIの実証実験を開始しており、その他、FCコースターの中国導入など、様々な検討を進めていきます」と語った。
トヨタは、中国で初披露した「C-HR」「IZOA」のEV 2車種を皮切りに、2020年代前半には、グローバルで10車種以上のEVの展開を予定。2030年「グローバル電動車販売550万台以上」の目標に向け、着実に電動車普及を進めていく。
なお2019年2月末現在、1997年販売を開始したHV「プリウス」を含む電動モーター搭載車の累計販売台数は約1,300万台となり、CO2排出抑制効果は1億300万トン以上になると試算した。
併せてトヨタは、中国のスタートアップEV企業の奇点汽車(Singulato)と電動化において技術提供を介した協業も明らかした。この奇点汽車は設立が2014年。2本の伊藤忠商事とインテルの支援を受け、まずは自社の独自バッテリーに開発取り組んできた。
両社の協業の内容は、奇点汽車にEV技術を販売するというもの。具体的には奇点汽車側はトヨタ「eQ」の設計利用ライセンスを取得。トヨタとの協業というある意味優位な立場を手中にした中国奇点汽車は供与技術をベースにコンセプトカー「iC3」を発表している。独自の車両販売開始は2021年頃を目途、185万円でリリースを想定しているようだ。
その見返りにトヨタ側は、EV並びにプラグインハイブリッド車向けとして奇点汽車が中国政府から獲得する「グリーンカー」クレジットを優先的に購入する権利を獲得する。
なお奇点汽車CEOの沈海寅氏によると、トヨタは中国に於けるEVベンチャー企業立ち上げのノウハウや運営手法を謙虚に学び、獲得することにも興味を示していると述べている。
トヨタは中国での事業を加速させるため、複数の戦略オプションを温めてきたと考えられるが、奇点汽車へのアプローチはそうした戦略のひとつであるのだろう。今後も自社技術を背景とした技術供与など、様々な戦略を逐次実施していくものと考えられる。