東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)と豊田通商株式会社(本社:愛知県名古屋市中村区、社長:加留部 淳、以下「豊田通商」)は、両社で提案した「革新省エネルギー熱分解法による高効率リサイクル炭素繊維製造技術の開発」が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による平成27年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択されたことを受けて、共同で炭素繊維リサイクルの取り組みを開始する。
東レと豊田通商が開発する「革新省エネルギー熱分解法による高効率リサイクル炭素繊維製造技術」は、熱分解法(※)による炭素繊維リサイクルにおいて最も消費エネルギーの大きい熱分解工程で、マトリックス樹脂の可燃性分解ガスを燃料に用いることにより、消費燃料の大幅な低減を目指すもの。
※熱分解法:炭素繊維複合材料を加熱することでマトリックス樹脂を熱分解させ、炭素繊維を回収するリサイクル方法。
両社は今後、豊田通商の100%子会社である豊田ケミカルエンジニアリング株式会社(本社:愛知県名古屋市中村区、社長:荒木 俊雄)の半田工場内にパイロット設備を建設し、将来の事業化を見据えて、省エネルギーなリサイクル炭素繊維製造技術の実証を進めると共に、リサイクル炭素繊維の用途開発を推進していく計画と云う。
炭素繊維は、使用した製品のライフサイクル全体を通して考えると、軽量化効果により二酸化炭素排出量を大幅に低減できることから、地球環境問題の解決に貢献する素材として、航空機や自動車など幅広い用途で需要が拡大している。
一方で、こうした需要拡大に伴い市場からの炭素繊維リサイクルへの要請が高まっている。
東レはこれまで、炭素繊維リサイクル技術開発組合(2015年3月末解散)のメンバーとして、炭素繊維リサイクルの技術開発に取り組んできた。
また、豊田通商グループは1970年代から使用済み自動車から鉄屑、非鉄金属などの資源を回収し再資源化する事業を開始し、現在は世界各国でリサイクル事業を展開している。
リサイクル炭素繊維の技術開発・用途開発は、多くのステークスホルダーと一体となって、具体的な部材・部品の検討を推進していくことが重要となる。
東レと豊田通商は、それぞれの知見・ノウハウをいかして炭素繊維リサイクルの取り組みを共同推進し、炭素繊維のライフサイクルを通した循環型社会実現に貢献していくとしている。