損害保険会社として初めて、公道実証実験に参画。自動運転技術の進展を見据えた産学連携の取組みに貢献
東京海上日動火災保険株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:永野 毅、以下、東京海上日動)は3月28日、昨今の自動運転技術の急速な進展や、自動運転車の公道実証実験の本格化を踏まえて、自らが大学研究機関との公道実証参画を表明。併せて専用保険の開発に着手する。
1.公道実証実験への参画について
(1-1)損害保険会社として初めて、公道実証実験に参画していく(※本邦大学が主体となった自動運転車の公道実証実験が対象(2016年3月25日現在、同社調べ)
昨今の自動運転技術の進展は、これまでのクルマ社会のあり方を大きく変革させる。
そこで同社は、急速な進展・普及の途上で顕在化する諸課題についての研究をいち早く進め、これらの課題解決を通じて、更なる技術進展に寄与するべく、下記大学が実施する公道実証実験に参画する。
【対象とする公道実証実験(50 音順)】
・ 金沢大学・石川県珠洲市による自動走行システム実証実験プロジェクト
自動運転技術の実用化・高度化のみならず、高齢過疎地域の地域課題の将来的な解決への貢献を見据え、石川県珠洲市と連携した日本初の自動運転車の公道実証実験を、15年2月より実施中。
・ 名古屋大学ならびに愛知県による自動車安全技術プロジェクト
国の特区指定を受けて、高齢者や観光などの地方創生の課題解決のために、県内外の企業の参入も進めながら、愛知県名古屋市エリアを中心に自動運転車の公道実証実験を実施中。
(1-2)自動車事故リスクアセスメントコンサルティングへの取り組みを始動
公道実証実験に対する社会・地域住民の方々の関心は、日増しに高まっている。
そこで実証実験の実施主体は、今後、事前のリスクの洗い出しをはじめ、万一事故が発生した際の関係機関への連絡体制構築など、安全確保に向けた体制整備が強く求められるようになる。
そこで同社は、傘下の「東京海上日動リスクコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:安田成喜)」が保有する独自の事故削減/再発防止ノウハウを活かしていく。
具体的には今後、同様の実証実験を検討している企業・大学・自治体等に対して『公道実証実験向け・自動車事故リスクアセスメントコンサルティング』サービスの構築に取り組んでいく構えと云う。
<上記に係る主なサービスは以下の通り>
・公道実証実験向け『自動車事故リスクアセスメントシート』の策定支援。
・公道実証実験実施マニュアルの策定支援 など。
<安全確保に向けた体制整備 <安全確保に向けた体制整備フロー(例)>
2.自動運転車の公道実証実験向け専用保険プランの開発
新保険商品の開発にあたっては、公道実証実験の円滑かつ持続的な実施をサポートするため、従来から用意していた「公道実証実験中の自動車事故発生時の対人・対物賠償責任保険(自動車保険)」に新たな機能を付加する。
具体的には、従来の保険商品で補償できなかった事故時の複雑化した原因究明を迅速化するための調査費用(含む第三者委員会での検証)に関わる要素機能。
上記同種の事故の再発防止に係る措置費用に加え、サイバー攻撃を受けた際のフォレンジック費用等を包括的に補償する要素など、自動運転車の公道実証実験向けて、より細やかに適応していく専用保険プランを開発する。
なお上記専用保険プランの概要は、現段階に於いては、実施主体・環境に応じてオーダーメイドで設計していく構え。
3.自動運転技術の進展を見据えた共同研究の開始
自動運転技術の研究にあたっては、今後の進展に乗じて、新たなリスク・事故形態が出現する可能性がある。
またこれは損保会社にとって、近い将来、事故時の高度な原因究明や、正確な事故状況把握能力(保険金支払い等)が求められる。
このような社会変化を捉え、同社は16年4月より金沢大学及び名古屋大学との間で、それぞれ共同研究を開始する。
<主な研究テーマ>
・自動運転車で事故が発生した際の事故原因究明ノウハウの構築
・自動運転車固有のリスクと当該リスク軽減策
例えば、自動運転プログラムが十分に認識・判断し切れない現行の交通ルール慣習(含むドライバー同士の「あうん」の呼吸、「だろう運転」等)とのギャップから生じる事故リスクへの対応など、技術進展に伴う新たなリスクへ対応は、損害保険事業の根幹だ。
そこで、これらを踏まえ東京海上日動火災では、「本研究で得られた知見も活かし、引き続き、当社経営理念である『安心と安全』の提供の更なる実現に向けた取組みを進めてまいります」と結んでいる。
以上