100万台目に生産された記念すべきシボレー コルベットの完全修復が遂に終了


昨年の2月12日に、米国ケンタッキー州・ボウリンググリーンにある「ナショナル・コルベット・ミュージアム」の一部損壊。

これに伴い、100万台目に生産された歴史的なシボレー コルベットが破損した。

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そこで同車の修復を、ミシガン州ウォーレンにあるゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)のデザインセンターの技術者達が、1,200人時間(一人が1時間に掛かった作業量の累計を集計)を掛けて完全修復に挑戦。9月3日にこのクルマが、再びナショナル・コルベット・ミュージアムに展示されたと発表があった。

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この100万代目に生産された記念すべきシボレー コルベットは、昨年、ナショナル・コルベット・ミュージアムの足元が陥没し、その大穴から引き上げられた後、修復のため、ミシガン州ウォーレンにあるGMテクニカルセンターのキャンパス内にあるデザインセンターへ持ち込まれた。

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同センターには、およそ30名からなるプロのGM車両復元チームが居る。彼等は試作車やコンセプトカーを造っているデザインセンターのメカニカル・アッセンブリーグループである。

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このメカニカル・アッセンブリー・チームは、1930年代からGMデザイン部門の1セクションとして、GMヘリテージ・コレクションと、GMの歴史的なコンセプトカーの維持・復元を行ってきた。GM車両にかけては正真正銘のプロの復元チームである。

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しかしそれでも、この白い1992年シボレー コルベットの復元は、むしろゼロから全く新しいクルマを造るよりも、困難を極めたという。

ゼネラルモーターズのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるマーク・ロイス氏は、「我々は、コルベットの長い歴史の中で、欠くことの出来ない重要なクルマを復元することが、かくも重要な仕事であるかをこの作業を通じて再認識しました。

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我々は、車を解体していく時、搭載パーツの一部に、このクルマの製造に携わったスタッフ達が綴ったサインを見つけ、この作業のひとつひとつが、コルベットの永い歴史のパズルを解きほぐして、再度つなぎあわせるために、大変重要な仕事であったことを痛感しました。

またその長い時間を掛けた細かな作業を通して得られた知識や、経験が、いかに素晴らしいものであったかを、復元を終えた今も考えて続けています」と述べている。

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この復元プロジェクトは、GMグローバル・デザインのバイス・プレジデントであるエド・ウエルバーン氏がリードしたが、彼も「私たちは、コルベットの愛好家として、また、このシリーズブランドに関わっているクルマのデザイナーとして、100万台目に生産された唯一無二のコルベットの修復は、本当に光栄かつ、重要な仕事のひとつになりました」とコメントを残している。

修復/復元の主なハイライト:
・部品が交換された中では、エンジン・フード、フロント・フェイシア、フロント・ホイールとドアの間のロワー・パネルと同様に、フードの下に付属的なサポート部品数点が必要になった。

こうした交換部品は、修復に関わる部品や材料の信頼性を確保するため、同じヴィンテージや同じ車体色のクルマから流用している。

・フロント・サブフレームは、陥没した穴に落下中に破損し、大きな矯正が必要が必要となった。

・ホイールが破損し、オリジナルのグッドイヤー・イーグルGS-Cのタイヤを復元した。

・インストルメントパネルは、傷んだパッドを交換するのではなく、そのソフトカバーを慎重に除去し、その下のスタッフのサイン(署名)を維持するために腐心した。

・「1,000,000 CORVETTE」の刺繍が入ったヘッドレストが損傷したが、この赤革のシートは精魂込めて復元した。

・5.7リッター LT1エンジンやトランスミッション、そして他のドライブトレイン・コンポーネントに損傷がないことが判明した。

なお今回の陥没した穴に飲み込まれた8台もの歴史的シボレー コルベット(GM貸出:2台とミュージアム所有:6台)は、下記の通り。
・1992年シボレー コルベット生産台数100万台目
・2009年 シボレー コルベットZR1“ブルー・デビル”試作車(GM貸出)
・1962年シボレー コルベット
・1984年シボレー コルベットPPGペースカー
・1993年シボレー コルベット ZR-1スパイダー(GM貸出)
・1993年シボレー コルベット40周年記念
・2001年シボレー コルベット“マレットハンマー”Z06
・2009年シボレー コルベット生産台数150万台目

上記の8台のうち、今回の100万代目に生産された記念すべきシボレー コルベット(1992年)と、2009年の シボレー コルベットZR1“ブルー・デビル”試作車は修復済みとなった。

1962年シボレー コルベットは、ナショナル・コルベット・ミュージアムで修復中である。

残りの5台については、ナショナル・コルベット・ミュージアムの「シンクホール(陥没した穴)」をテーマにしたコーナーに、修復前の状態で展示予定となっている。

「ナショナル・コルベット・ミュージアム」の一部損壊について

2014年2月12日午前5時44分、米国ケンタッキー州にある「ナショナル・コルベット・ミュージアム」のスタッフは、盗難警報により、ミュージアム内のスカイドームエリアで異常事態が発生したことを、セキュリティ会社を介した知ることになった。

ミュージアムの管理スタッフが現地に到着すると、そこには陥没した幅およそ13~18メートル、深さ約9メートルの大穴が出来ていた。

そしてセキュリティカメラによって残されたスカイドームの床の崩壊の模様の映像がYouTubeで、850万回以上も閲覧されることとになった。

2014年3月3日、2009年型のシボレー コルベットZR1“ブルー・デビル”試作車は、陥没した穴から引き上げられた。

クルマはダメージがあったものの動く状態だった。4月3日と9日に最後に引き上げられた2009年のシボレー コルベット生産台数150万台目と、2001年シボレー コルベット“マレットハンマー”Z06の2台は、当初、作業員が簡単には見つけられないほど、深く埋まっていた。

シボレーについて
1911年に米国・デトロイトで生まれたボウタイ(蝶ネクタイ)ロゴで有名なシボレーは、米国人にとってクール(かっこいい)、ファン(楽しい)、フリーダム(自由)な気持ちになるアメリカン・ブランドだ。

そんなシボレーは、現在、グローバル・ビジョン「FIND NEW ROADS」を展開している。

このビジョン「FIND NEW ROADS」は、独創性のあるクルマを創ることで、世界各国で、シボレー・ブランドをより一層強化していくことがテーマとなっている。

日本においては、「シボレー コルベット」や「シボレー カマロ」などのスポーツタイプのクルマが馴染み深いが、2011年からは、ミドルサイズSUV「シボレー キャプティバ」やワイルド・コンパクト「シボレー ソニック」も発売されている。

今日のシボレーについての詳細は、Webサイト< http://www.chevroletjapan.com/ >を参照されたい。

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