モビサビとMHC、EV普及とアフター市場構築を視野に連携

日本ではEV市場が未成熟なため産業の海外流出が続く

三菱HCキャピタル(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:久井 大樹)とEV性能予測技術などを用いてEVデータ活用事業を運営するMobiSavi(モビサビ/本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:左向 貴代)は6月2日、業務提携契約を締結した。

今後、両社は本提携に基づきEVの普及と適切なリパーパス(製品の1次使用を終えたものを別の用途で裁量するという考え方)などの資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現を目指す。

1.本提携の背景について
現在、多くの企業はカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みのひとつとしてEVの導入検討を進めている。

一方でEVの普及が進む中で、その持続可能性を確保するためにはEVのサーキュラーエコノミーが不可欠となる。

特にバッテリーなどに使用される希少資源の有効活用とリユース、リパーパスによる環境負荷の低減を通じて、持続可能なEV・バッテリー産業の発展は、地域環境上で不可欠な取り組みとして注目されるだろう。

しかし現状で、中古バッテリーの性能評価や保証は十分に確立されていないことが国内国内のアフターEV産業の拡大を阻害していると言える。

脱炭素ソリューションを掲げる三菱HCキャピタル

より具体的には、日本国内に於いては、アフターEV産業が育っていないことから中古EVの買い取り価格がガソリン車より低くなり、結果、EVそのものや、Ev中古パーツの約8割が海外へ流出しているといわれている。

そこで三菱HCキャピタルグループは、「2023~2025 年度中期経営計画」に於いて、組織横断で取り組む4つの重要テーマに内包させたもののなかで、「EV関連」「脱炭素ソリューション」を掲げている。

上記を踏まえて三菱オートリースを含むグループ連携でEV統合型サービスを提供。またパートナー企業との連携により、EVの充電インフラやエネルギーマネジメント、中古EVリースサービスの構築や中古EVバッテリーの利活用など、EV統合型サービスの機能拡充に取り組んでいる。

中古EVの二次利用を積極支援するモビサビの事業

対してMobiSaviは、EVを対象としたサーキュラーエコノミーの実現には、新車や中古を問わず、国内でEVの流通を活性化させることが重要と考え、独自のEV性能予測技術を活用したEV導入支援サービス「FACTEV(EV転換シミュレーター)」を提供している。

このMobiSaviの独自のEV性能の予測技術は、EVの普及台数や経過年数に関係なく、地域、使用期間、走行距離、SOHなど様々な条件に応じた中古EVのバッテリー性能保証も可能にすることを介して、中古EVの導入ならびに中古EVバッテリーの二次利用を支援する。

このように両社で、EV統合型サービスの機能を拡充させることでEV導入をサポートし、リースを通じてEVの流通を活性化させていくという両社のニーズが一致し提携の締結に至った。

2.本提携の内容について
上記提携により、三菱HCキャピタルとMobiSaviは、EVのライフサイクルを見据えた新たな価値創出に向けて、以下の取り組みを進めていくとしている。

(1)新たなEVリースモデルやバッテリー再利用ビジネスの実現に向け、三菱HCキャピタルが保有する社有車の走行データおよびバッテリーデータを活用し、MobiSaviがバッテリー寿命を高精度に推定・評価する実証実験を実施。

(2)適正なバッテリー評価手法に基づき、経済価値(使用価値)を残価として反映した新たなEVリースモデルの構築。

(3)中古EVから取り外したバッテリーを定置型蓄電池として再利用するなど、バッテリーの活用を広げる新たなビジネススキームの創出。

3.今後の展望
三菱HCキャピタルとMobiSaviは、今回の提携を通じて、EVの導入支援および適切なバッテリー評価に基づく中古EVの国内流通の促進、使用済みバッテリーの定置型蓄電池などへのリパーパスによる新たなビジネスの創出を目指す。

更に、このような取り組みを通じて、企業の脱炭素経営の支援と再生可能エネルギーとの連携も視野に入れた蓄電インフラの構築を進め、EVのライフサイクル全体における価値最大化とサーキュラーエコノミーの実現に向け、継続的に連携していく構えだ。