ダイハツ、豊田中研、トヨタ九州、再エネ電池を使う分散型電力網実証

ダイハツ工業(大阪府池田市、代表取締役社長:井上 雅宏)、豊田中央研究所(愛知県長久手市、代表取締役 所長兼CRO :志満津 孝)、トヨタ自動車九州(KYUSHU/福岡県宮若市、代表取締役社長:長木 哲朗)は10月7日、トヨタ九州・小倉工場で再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドシステム(MG/分散型電力網)の実証実験を開始したことを明らかにした。

1.経緯
近年、太陽光やバイオマスなどの再エネを有効活用することがカーボンニュートラル達成に向けて必要不可欠となっている。

ダイハツは、再エネの地産地消に有効なマイクログリッドシステムに着目し、豊田中研と共に、再エネで発電した電力を変換する際のエネルギー損失を最小限に抑えることができる高効率な電力変換器Smart Power Hub®(スマートパワーハブ、以下「SPH®」/豊田中央研究所の登録商標)の共同開発を行った。

しかし実は、同技術検証は昨年より、ダイハツ社内にて試行を重ねてきたものの実用化に向けては、規模が大きい利用環境での有効性と信頼性の確認が課題だった。

また加えてトヨタ九州では、太陽光で発電したグリーン電力による水素の製造および工場での使用や、ハイブリッド車のバッテリーなどをリユースした蓄電池(KRe:Ba/小倉工場の「K」に、リユースバッテリを略した「Re:Ba」を組み合わせた造語)の実証など、再エネの積極的な活用によるカーボンニュートラル化に取り組みで、さらなる有効活用に向けた電力変換の効率化や安定的な運用も課題だった。

*マイクログリッドシステムのイメージ

2.概要
そこで今回の実証実験では、トヨタ九州・小倉工場で、豊田中研とダイハツが共同開発したSPHを活用し、太陽光発電で作られた電気を部品製造ラインに供給する。

またこれに加えて余った電気は蓄電池に貯めることで、効率的に電力を活用するマイクログリッドシステムを構築。

実際に稼働している製造ラインでの実証を通じて、システムの有効性と信頼性を確認し、将来的にはエネルギーの地産地消や、日中に蓄電した電気を夜間に使用するピークシフトを実現することで、CO2排出量の削減に繋げていく。

<マイクログリッドシステムの特長>
新開発の3ポート(「発電」「蓄電」「使用」の3方向接続)電力変換器SPHにより、効率的な「直流主体のマイクログリッドシステム」を実現。従来の交流主体のシステムと比較し、直流⇔交流の変換回数が少なくなるため、エネルギーロスを約45%削減。

既存の小型電動車用のインバータなどの自動車用部品を活用し改良することで、低コストかつコンパクト化を実現。小規模な事業所などへの導入も可能。

超高速制御(1000回以上/秒)により、再エネからの発電量が低下した場合でも蓄電池からの電力を瞬時に充当させることができるため、瞬間的な停電時においても電力供給が継続でき、生産活動の中断やデータ損失などのリスクを防ぐことが可能。

3.今後について
トヨタグループとしては、2035年までにグローバル工場でCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目標としている。

ダイハツ、豊田中研、トヨタ九州の3社は、今後も互いに切磋琢磨しながら、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速させ、持続可能な社会の実現に貢献していきたい意向だ。

4.今取り組みに係る各社のコメントは以下の通り

ダイハツの桑田 正規 代表取締役副社長
この度、トヨタグループの3社が連携し、豊田中研の「要素技術開発力」、トヨタ九州の「再エネ利活用の知見」、そしてダイハツの「良品廉価なクルマづくりの技術・ノウハウ」といったお互いの強みを活かす形で、マイクログリッドシステムの実証実験を開始することができたことを大変嬉しく思います。

今回の実験で培った再エネ活用のノウハウを、将来的には他の工場や店舗などの小規模な事業所などへ横展することも視野に、カーボンニュートラルの実現に向け、取り組みを加速させてまいります。

豊田中央研究所の田辺 稔貴執行職
「SPH」は、電動車開発で培ったパワーエレクトロニクスの技術をマイクログリッドに応用することで生まれた、トヨタグループならではの電力変換技術です。

太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用を後押しするSPHが、本実証実験により社会実装に向けた一歩を踏み出せたことを大変喜ばしく思います。

弊社はトヨタグループの研究開発を推進する中央研究所として、社会課題の解決に貢献する要素技術の開発を続けてまいります。

トヨタ自動車九州 岩原信隆 取締役副社長
2035年の工場カーボンニュートラル実現を目指し、太陽光発電や蓄電設備、燃料電池などの技術実証を小倉工場で推進している中、本実証実験をトヨタグループの仲間と一緒に進められることを大変光栄に思います。

今回の実証実験で得られた知見を再エネの有効活用に活かし、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。



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