アストンマーティン・ヴァルキューレ、WEC富士6時間で5位獲得

アストンマーティンの最新ハイパーカーValkyrie(ヴァルキューレ)は、FIA世界耐久選手権(WEC)シリーズの記念すべき100戦目にあたる富士6時間耐久で実力を発揮。デビューシーズンで過去最高の成績、更に世界トップクラスのスポーツカーシリーズに於いて総合順位で最上位の実績を達成し、次回の最終戦バーレーン(11月8日)で更なる活躍に期待を繋いだ。

マシンはアストンマーティン初のル・マン・ハイパーカー(LMH)であり、THORチームが駆るValkyrieは、WECの最高峰クラスで唯一、公道仕様のハイパーカーをベースに仕立てているもの。2月のカタール1812kmレースでグローバルデビューを果たしたモデルにあたる。

そんな同マシンはアストンマーティンとTHORが協力して開発されたもので、北米で開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にも出場、両レースを走る唯一のハイパーカーとなっている。

レース仕様に最適化されたカーボンファイバー製シャシーと、最高回転数11,000rpm、標準仕様で出力1000bhp以上の改良型6.5リッターV12エンジンを搭載。但し出力制限については500kw(680bhp)という厳しいレギュレーションに従ってチューニングされている。

今回アストンマーティンワークスのTHORチームでドライバーを務めるマルコ・ソーレンセン選手(デンマーク)とアレックス・リベラス選手(スペイン)は、この富士6時間耐久レースで新記録の5位を獲得。日本の週末を通してトップクラスを走ることができる速さを示した。

またそもそもアストンマーティンは、2012年のシリーズ開始以来、WECの全レースに出場しているマニュファクチャラー3社のうちのひとつ。これまで、53回のクラス優勝と11回の世界選手権タイトルを獲得。今回の富士6時間は、WECでも記念すべきシリーズ100戦目にあたるが、そのハイパーカー・クラスで今回、過去最高の成績を残すことができた。

その挑戦についてアストンマーティンで耐久モータースポーツ責任者を務めるアダム・カーター氏は、「富士6時間耐久レースで5位という結果は称賛に値する成果です。このクラスがまだ新しいことを考えると、アストンマーティンTHORチーム、Valkyrie、そして2人のドライバーが示したパフォーマンスは、非常に心強いものでした。

今月初めにサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されたローンスター・ル・マン6時間と同様、Valkyrieはレース序盤からトップグループで走行しました。

そして富士では、表彰台を狙うに十分な走りを見せました。このような波乱のレースでなかったならば、トップの座を争うことも決して非現実的ではないでしょう。これは、チームにとって大きな成果であり、このクラスで勢いに乗っている証拠です」と語った。

実際、3回のGT世界チャンピオン実績を持つソーレンセン選手は、3回のフリープラクティスセッション全てでトップ5内を維持し、土曜日の有名なハイパーポールセッションでは最速タイムを記録、日曜日の決勝で2列目グリッドを獲得。

また長いフルコースイエロー(FCY)で6回も中断した混沌としたレースで見事な再スタートを切ったのは、デンマーク人ドライバーのソーレンセン選手だった。

その後、アストンマーティンValkyrieの009号車は、トップグループを追いかけながら安定して3位を走行していたが、そこで最初のFCYに遭遇。その後、ドライブスルーペナルティによりハイパーカークラスの最後尾まで順位を落としたが、それでも目覚ましい追い上げを見せて挽回。

リベラス選手も、度重なるFCYでチームの過失ではないにも関わらずValkyrieの順位を落とすという同様の困難に直面したが、彼は波乱の展開を冷静に乗り切り、4位まで順位を上げるというパフォーマンスを披露した。

しかし最終スティントでソーレンセン選手に交代した時、他のマシンが2本のみ交換するなかで4本の新タイヤを装着したことレース結果に響いてしまった。

それでもトヨタ7号車やサンパウロ6時間レース優勝のキャデラックを抜き去り6位でフィニッシュするも、惜しくも待望の初表彰台には届かなかった。しかし最終的には、ライバルたちのレースペナルティが考慮され、009号車は正式に5位に昇格することができた。

この成果についてアストンマーティンTHORチーム代表のイアン・ジェームズ氏は、「シーズン開幕のカタールを振り返ると、この結果は夢のようです。今回は表彰台を逃し、少し悔しい気持ちはあります。しかし、私たちはどんどん競争力を高めており、これからもプッシュし続けます。世界最高のスポーツカーチームを相手に、素晴らしいパフォーマンスを示せたことを誇りに思います。

この結果により、ソーレンセンとリベラスは、WECのトップクラスで世界選手権ポイントを獲得した初のアストンマーティン・ドライバーとなりました。12位に入り2ポイントを獲得した6月のル・マン24時間レースに続いて2度目のポイント獲得となったのです」と今日のレースを振り返った。

またドライバーのソーレンセン選手は、「クレイジーなレースでした。FCYやセーフティカーが何度もでて、波乱万丈。多くの面でマネジメントが難しいレースでした。この状況でできる限りのことをしました。ひそのなかで幾つかのミスがありましたが、最終的には良いペースで走れました。

あのスピードなら表彰台も夢ではないと思っています。トップ争いを展開した今日のペースは、カタールから大きく進化したことをはっきりと示しています。シーズンを通して積み上げてきた努力を続け、バーレーンで再挑戦します」と話している。

更に、このソーレンセン選手のコメントにリベラス選手が続けて、「おかしいかもしれませんが、少し複雑な気持ちです。まず、チームに心からの祝福を贈ります。

しかし5位という結果に満足している訳ではありません。しかし、プログラム開始当初の状況を振り返ると今回の成果は、間違いなく大いに期待できる結果だと思います。そもそも、今日のレースは何もかもが予測不可能で混沌とした内容となりました」と結んだ。

 
 




 
 

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