DEFENDER AWARDS、社会課題の解決に挑む日本の8団体を選出

JLR傘下のDEFENDERブランドは10月13日、2025年4月に立ち上げた地域の自然保護および人道支援活動のヒーローを支援するグローバルプロジェクト「DEFENDER AWARDS」の最終候補56団体を発表した。

対象地域は英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オーストラリア、南アフリカの7か国。Land(環境保護・保全・再生)・Sea(海洋種・沿岸環境の保全・回復)・Wild(絶滅危惧種の保護・保全)・Humanity(社会的弱者の支援)の4カテゴリでの募集から選出された。

受賞団体にはそれぞれ、団体の重要な活動を支えるための堅牢で高い走破能力を誇る「DEFENDER」1台に加え、支援金10万ポンド(日本は 2,000万円)と、専門家からのメンタリングサポートが贈られる。

もとよりDEFENDERは目的意識を持ったブランドであり、その人道的なルーツは、「LAND ROVER SERIES I」が誕生した1948年にまで遡る。そして現在もDEFENDERは日々不可能を可能にするヒーローたちを支援することに尽力している。

加えてDEFENDERは、英国赤十字社との70年にわたる協力関係や、アフリカの自然保護慈善団体Tusk(タスク)との20年にわたるパートナーシップを築いており、「DEFENDER AWARDS」は自然保護や人道支援への揺るぎないサポートをさらに拡大するものとなっている。

なおその選出手順は、様々な分野の専門家たちによるグローバルパネリストが56団体を評価。最終的に受賞7団体を選出するというもの。

DEFENDER担当マネージング・ディレクターであるマーク・キャメロン氏は、ジンバブエの保全生物学者でWildlife Conservation Actionの創設者であるモアエンジェルス・ムビザ博士とともに、最終選考会の共同議長を務めている。

またその他のグローバルパネリストのメンバーには、ドイツの冒険・風景写真家のマックス・ミュンヒ氏、スイスの探検家で環境保護主義者であり気候変動対策のための検索エンジンを提供している財団Solar Impulse Foundationの創設者であるベルトランド・ピカール氏、イタリアの女優でユニセフ親善大使のアレッサンドラ・マストロナルディ氏、オーストラリアのテレビ司会者兼「ナショナルジオグラフィック」の映像監督であるタイソン・マイヤー氏、『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏も含まれる。

マネージング・ディレクターのマーク・キャメロン氏は今選出について、「最初のラウンドである各国審査では、数百という応募のなかから、刺激的で多様性に富んだ56のプロジェクトに絞られました。

応募していただいた活動内容は目を見張るものばかりで、最終選考に残った多岐にわたるプロジェクトは、世界各地で自然保護や人道支援の活動をしているヒーローたちによる先駆的な取り組みばかりでした。

『DEFENDER AWARDS』は、DEFENDERのように日々不可能を可能にしている人々を称える賞です。グローバルパネリストは、ほんの一握りの受賞7団体を選ぶという難しい仕事と向き合うことになります」と選出の趣旨について説明した。

また最終選考会の共同議長を務める、モアエンジェルス・ムビザ博士は、「私は地域社会が主導する保護活動こそが野生生物を救えると確信しています。

だからこそ、『DEFENDER AWARDS』は世の中に大きな変化をもたらすことができるのです。地域社会で活動している小規模な慈善団体に賛同し、支援することで、私たちはDEFENDERのパイオニア精神を体現する人々をサポートします。

最終候補には56団体が残りました。このなかから最もふさわしいプロジェクトを選ぶというのはパネリストにとって非常に困難な仕事です」と選考過程に於ける難しさを語った。

結果、最終選考に残った「DEFENDER AWARDS」の応募団体は、4カテゴリとの整合性に基づいて評価。パネリストたちは、各応募団体が各カテゴリと整合しているかを考慮し、プロジェクトが及ぼす影響と、活動における革新性を評価した。さらに「DEFENDER」車両が各プロジェクトにどのように貢献するかも見定めた。

日本において最終候補に選出された8団体のプロジェクトは、問題意識を高める活動から、苦しみを軽減したり前向きな変化をもたらしたりするための直接的な行動まで、そのテーマやアプローチは多種多様。各団体と応募プロジェクトの概要は以下の通りとなった。(各カテゴリ、団体名五十音順)

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Land:環境保護・保全・再生(Defenders of the Land)
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実生銀行( NPO法人 近自然森づくり協会 )
実生(みしょう)銀行は、お金ではなく「種から森をつくるための苗木」を貯める銀行(バンク)。生物多様性に富んだ在来種の森を再生するプロジェクト。

森の中で親木の影に隠れ、10cmほどの小さな幼木の状態のまま何十年も成長を抑えて生き、近くの大木が倒れ、日光が差し込むと、一気に成長を始める「実生」という自然のメカニズムを擬似的に再現した「盆栽型実生苗」という革新的な手法を開発。わずか100平米の空間に最大1万本もの苗木を管理・保管し、苗を安定的に供給することが可能。その土地本来の在来種と、その遺伝子の地域特性にこだわり、地元で採取した種子から丁寧に育てた苗木によって生物多様性豊かな森林の再生を目指す。

この取り組みは教育分野と掛け合わされ、全国の小中学校を「実生銀行の支店」としその土地固有の種を校庭で芽吹かせ、「支店」として苗木を育て、地域に還元することで、地域の自然を再生・保全する基盤をつくる。単なる植林活動を超え、子どもたちが自分の地域や自然とのつながりを実感し、深く愛着を持つきっかけを創出している。

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NATURE’S GUARDIAN EXPEDITION ~環境破壊の根源「無関心」に挑み、まだ見ぬ“奇跡の絶景”を発掘する挑戦~( 特定非営利活動法人 Nature Service
Nature Serviceは「知ることから始まる環境保護」をコンセプトに、日本全国の自然環境の映像の記録と無料配布、環境教育コンテンツの制作を通じて、人々の環境保護意識を醸成。環境省国立公園オフィシャルパートナーとして全国34か所の国立公園を映像アーカイブ化し、運営する『NATURES.』では722本以上の環境記事を発信。一部のコンテンツは学校教育に採用されている。

今回の応募プロジェクトでは、「人々の『無関心』こそ環境破壊の根源」という課題に対し4つのバイオームを四季を通じて調査撮影し、自然への関心を呼び覚ます映像アーカイブを構築。調査撮影と並行して環境教育プログラムを展開し、全国の学校・メディア・市民が「知る→関心→愛着→行動」の連鎖で自然保護の担い手となる仕組みを創る。

撮影候補は北海道の知床半島・大雪山の針葉樹林、白神山地の夏緑樹林、宮崎県綾町の照葉樹林、沖縄やんばるの森の亜熱帯多雨林等で、綺麗な自然景観だけではなく、破壊された自然景観や再生しはじめている景観も重要な記録対象として扱う。

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流域リジェネレーション:地球を守る100年戦略と人材育成( 一般社団法人Next Commons Lab
Next Commons Labは、森、川、里、海をひと続きの“コモンズ”ととらえ、再生・維持する仕組み「Local Coop」を提唱・運営。最初の実証地である三重県尾鷲市では、半年間で約700名が流域(森林)再生ワークショップに参加し、準絶滅危惧種であるアカハライモリの個体数が著しい回復を見せ、パイロットプロジェクトは成功を収めた。

今回の応募プロジェクトでは国内初となる「流域再生専門の人材育成機関/プログラム」を設立し、有機土木エンジニア、環境クレジット測定技師、自然体験ファシリテーターなどを体系的に育成することを目指す。

尾鷲での実証成果を、遊佐(山形)、山古志(新潟)、水窪(静岡)、月ヶ瀬(奈良)、龍郷(奄美大島)等の複数流域へ本格展開し、今後2年間で流域再生のプロフェッショナルやサポート人材を100名以上育成。資金循環のアクセルと人材のブレーキを同時に解消することで、自然再生と地域経済が共鳴し合う基盤を日本各地に構築。

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屋久島と地球の未来会議 ~地球と呼応するエコシステムを未来へ届ける~( 特定非営利活動法人HUB&LABO Yakushima
HUB&LABO Yakushimaは屋久島を拠点に、「青い地球と共に生きる文化」の創造を掲げ、環境教育、地域共創、自然再生、次世代育成を軸としたプロジェクトを展開。行政・教育・研究・民間など多様な主体と連携し、自然と人、人と人、人と社会の関係性を編みなおす共創型の地域づくりを推進。

今回の応募プロジェクトは世界自然遺産・屋久島を舞台に「地球の声を聴き、地球と呼応するエコシステムを未来へ届ける」ことを目的に、2026年1月31日〜2月1日の2日間で、島内外から約100名が集い、9つの環境再生実証実験(流域環境再生、脱炭素教育、リジェネラティブ・リーダーシップ等)の成果発表と社会実装に向けた共創会議を開催。自然とのつながりを取り戻し、 人間性と関係性、そして生態系を再生していくきっかけとする。

環境再生プロジェクト3件以上の政策・事業化アクションプラン創出、屋久島発の環境保全モデルの他地域への展開(離島間連携等)、次世代環境リーダー育成と持続可能な地域づくりの加速 、「Calling with Earth from Yakushima 2026」共同宣言による国際発信等の効果を見込んでいる。

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もーもープロジェクト(Moo Mow Project)~防災楽園の里山~( 一般社団法人ふるさとと心を守る友の会
ふるさとと心を守る友の会は、東日本大震災後から福島県で被災牛保護と里山保全(計76ha)を行っている。耕作放棄地で牛を在来野草放牧して里山を保全し、その結果、生物多様性の回復、絶滅危惧種を含む野生動物の生息確認、野生動物の人里出没減少をもたらす。

今回のプロジェクトでは「耕作放棄地への牛の在来野草放牧による里山保全及び生物多様性の回復」と「災害防止及び災害時の避難先づくり」、そして「全国展開するための防災楽園里山モデル」を構築。荒廃農地が回復不能になる前に、この放牧モデルを全国展開し、日本の里山の復活と人と動物の共生を実現することを目指す。

東日本大震災の被災動物保護を継続しながら、多様な自然回復効果のある里山再生を30haまで増やし、自然災害や人的災害等非常事態リスクが増大する日本で、古くて新しい里山防災楽園モデル作りに取り組んでいる。

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Humanity:社会的弱者の支援(Defenders of Humanity)
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災害支援緊急プロジェクト( 一般社団法人OPEN JAPAN緊急支援プロジェクト
OPEN JAPAN緊急支援プロジェクトは、阪神淡路大震災で「神戸元気村」としてうまれ、東日本大震災以降「OPEN JAPAN緊急支援プロジェクト」として30年以上活動を続け、これまでに日本全国60か所以上の災害現場で支援を行っている。

災害発生直後の緊急期には自治体やボランティアセンターとの連携や、いのちをつなぐための炊き出し、避難所支援、在宅避難者支援、物資配布を実施。復旧期には重機、チェンソーを用いた土砂流木撤去、大工活動による家屋応急復旧など特殊技術系ニーズへの対応、社会的弱者や過疎山間部などへの支援を行い、公的支援へとつなげる活動も担う。

平時にも社会福祉協議会や自治体などへの講習会、アウトドア企業と連携した防災キャンプ等、事例を共有し次の災害に備える支援体制の構築を図り、災害大国と呼ばれる日本の防災力、地域対応力を向上させ、災害に強い社会づくりの土台となるような取り組みを継続して行っている。

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Sea:海洋種・沿岸環境の保全・回復(Defenders of the Sea)
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焼尻UNI-MOBAサステナブル漁業プロジェクト( 一般社団法人UMITO Partners
UMITO Partnersはウミとヒトのサステナビリティの推進を目的に活動。焼尻UNI-MOBAサステナブル漁業プロジェクトは、北海道焼尻島において深刻化する藻場(海藻の生息域)の減少と、それに起因する海洋生態系の劣化、ウニの品質低下および漁業収入の減少といった地域課題に対する取り組みで、「海洋生態系の再生」「持続可能な漁業の実現」「気候変動対策としてのブルーカーボン活用」という3つのポジティブな影響を目指す。

本プロジェクトを通じて潜在的に創出できるCO2固定量(2887.54 CO2t/年、面積591ha)は国内最大級の規模を誇り、2050年カーボンニュートラルの実現という日本の目標実現に大きく貢献。また、日本の藻場は過去10年で約70%が失われていると推計されており、その影響は西日本から北海道まで広がっている。

プロジェクトが成果を挙げることは、全国の沿岸地域に対するモデルケースとして高い社会的・政治的波及効果をはじめ、藻場再生・保全がもたらす漁業への直接的・間接的な地域経済効果が期待でき、さらに地域経済への影響にとどまらず漁業者の収入の向上も見込まれることから全国の漁業が抱える担い手不足の問題に対する解決策になる可能性も含んでいる。

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地域とともに目指す「人とウミガメが共に生きる未来」( 認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー
エバーラスティング・ネイチャーは20年以上にわたりウミガメ類の保全活動を実施しており、「個の保護」ではなく、周りの環境を含めた「種の保全」を目指し、科学的根拠に基づき活動。今回の応募プロジェクトは絶滅危惧種アオウミガメの重要な産卵地である小笠原諸島、伊豆諸島、関東沿岸の3地域において、生息状況と生態を把握し、生息環境における課題・脅威を明らかにし、課題を解決することを目指す。

同時に環境教育、モニタリング、研究を継続的に行い、地域の人々とともに戦略を立ててアクションを起こすことで、独りよがりにならない持続可能な活動を行う。

1900年代初頭に人による乱獲で数が激減したアオウミガメは、現在は海ゴミの誤飲にともなうプラスチック吸着性化学物質の取り込み、海水温上昇による餌場の消失、漁での混獲、海岸開発に起因する産卵場所の砂浜減少など、その脅威は多様化。ウミガメは、その一生を摂餌場と繁殖地を回遊しながら生活するため、同種を保全するためには広い地域の環境と状況を俯瞰的に把握することを重要視しており、さらに教育活動を通じて将来ウミガメと人が共存できる環境を創造する人材の育成も目指す。

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最終選考に残った全56プロジェクトについてはlandrover.co.jp/defender/defender-awards/candidates.html を参照されたい。最終的な受賞7団体は年内に発表予定。
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最終候補8団体の選考を担った「DEFENDER AWARDS」JAPANパネリストの審査コメント(五十音順)

菊池 夢美氏(一般社団法人マナティー研究所 理事)
日本の水産資源管理が十分でない現状に対し、独自のプロジェクトを立ち上げて活動する団体の取り組みは、国内外で応用可能な価値を秘めていると思います。また、日本独自の自然との関わり方である里山文化が廃れつつある中、その復興や課題解決に取り組む団体の存在は非常に意義深いものです。このアワードを通じて、世界に向けてそういった日本の自然や取り組みの価値を発信していければと考えます。

深本 南氏(社会起業家・環境活動家)
声なき声が十分に拾われていない社会の中で、行政や自治体以外の個の力が、今回の「DEFENDER AWARDS」に希望を見出し、応募してくれたのではないかと思います。動植物を守るために真摯に取り組む人たち、本質的なサステナビリティをしっかりと捉え、社会課題を画期的に解決できるスキームを生み出す人たち―—こうした個の力が、社会的インパクトをスケールさせる可能性に満ち溢れています。素晴らしい取り組みが世界に発信され、より多くの日本の方々にも広まり、全員参加で解決を加速させていけることを大いに期待しています。

松島 倫明氏(『WIRED』日本版 編集長)
社会に大きなインパクトを与えるためには、経済の仕組みも取り入れてリジェネラティブに活動を回すことが重要です。その意味で、持続可能性と経済性を両輪で回すDEFENDERが取り組むこのアワードは非常に意義深く、可能性を切り開くものだと感じます。今回の審査を通じて、日本の風土や暮らしに根ざした独自の社会課題や自然災害に最前線で取り組む方々に改めて光を当て、グローバルな視点から、その先進性とユニークネスを再認識できたのも大きな収穫でした。

山崎 晴太郎氏(クリエイティブディレクター)
「DEFENDER AWARDS」は単なるソーシャルグッドな団体を選定するものではなく、DEFENDERというブランドが社会にどう寄与できるかを選択するものだと捉えています。今回の選出団体の取り組みが示しているように、直接的に自然に関わるだけではなく、課題に共感・協力してくれる人を育て、その人たちが自然を創る担い手となることを、日本独自のメッセージとして発信できればと思います。

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