三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区、 社長・CEO:益子修、以下、三菱自動車)は1月31日、2016年度第3四半期決算及び2016年度通期業績の上方修正見通しを発表した。
売上高は前年比19%減の1兆3,418億円
発表された業績概要によると、第3四半期累計期間(2016年4月1日~12月31日)の売上高は前年比19%減の1兆3,418億円となった。
営業利益は、第3四半期単独(2016年10月1日~12月31日)ではコスト削減を中心とした経営効率改善に加え、昨今の為替高の効果が幸いして84億円と四半期ベースでの黒字を回復した。
但し、前第2四半期までの損失が大きく、第3四半期累計で232億円の赤字が残る結果となった。経常利益と当期純利益も同様に、第3四半期単独では黒字を回復したが、累計での赤字は残っている。
燃費不正の影響で、国内販売の落ち込みは挽回できず
2016年度第3四半期累計期間のグローバル販売状況は、販売台数で673千台となり、前年同期から15%減少した。
地域別で日本に於いては、燃費不正の影響によって前第2四半期までの大きな落ち込みを挽回するには至らず、前年比24%減の50千台となった。
ちなみに同社では、先の営業利益と同じく第3四半期単独では前年比1千台増と微増に転じていると述べている。
欧州・アジア地域に於いても前年同期を下回る
欧州エリアでは、経済状況の振るわないロシアの落ち込みに加え、先よりオランダで好推移を維持してきた「アウトランダーPHEV」が減少に転じて、欧州地域全体で前年同期を16%下回る132千台となった。
一方アジアでは、全体で前年比5%減の229千台となっている。具体的には、昨年導入された「パジェロスポーツ」の投入と、税制恩典の駆け込み需要で前年に於ける販売が好調だったタイの反動減によりアセアンエリアでの業績が減少した。
なお同社によると同エリアでは中国に於いて期待要因があり、現地生産化に移行した「アウトランダー」の販売増加で同国では徐々に状況が回復しつつあるとしている。
気になる北米は、現段階では「ミラージュ」が減少に転じているものの、「アウトランダー」がこの販売減を支える格好となり、前年並みの101千台を維持している。
加えて中東・中南米では、資源安の影響が続いており、これら地域全体で27%減の161千台となった。
経営改善に加え為替の影響にも助けられ、業績見通しは改善へ
2016年度通期業績の見通しは修正が加えられた。具体的には、第3四半期決算及び最新の見通しを踏まえ、今年度通期の業績予想に於ける営業利益は、169億円の経営効率改善効果と、117億円の為替効果を踏まえ、従来予想から286億円改善し10億円の黒字が確保されるとしている。
結果、上期で3.7%減に落ち込んだ営業利益率は、下期単独で3.2%まで上昇する見込みとした。これにより12年連続で通期営業黒字を維持するという判断を発表した。
これら業績発表と予測について、同社・社長兼CEOの益子修氏は、「当社は、日産自動車とのアライアンスを通じ、結果に焦点を当てた規律有るコミットメントの文化が浸透してきています。この下期業績を来期につなげ、V字回復シナリオを確かなものにしていけるよう、全力で取り組んで参ります。」と語っている。