三菱自動車工業、オランダでV2B技術の実証開始


三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区、取締役CEO:益子修)は3月29日、日立ヨーロッパ社(本社:英国・メイデンヘッド)及びエンジー社(本社:フランス・パリ)と共に、オランダ・ザーンダムにおいて自動車とビルの間で電力の相互供給を行うヴィークル・トゥー・ビルディング(V2B)技術実証を行うと発表した。

三菱自動車は日立ヨーロッパ及びエンジーと共に、各社の専門性を生かして、こうしたV2B技術を活用していくことで、効率的なビルエネルギー管理システムが実現可能だと考えている。

ちなみに一般的な当地事業者によるCO2総排出の多くは、事業所からと輸送分野がその多くを占めていることから、V2B技術の活用は電気代の低減だけでなくCO2削減にも寄与すると云う。

なお日立が提供するV2X(EV、PHVなどの蓄電池を車両とビルや電力網などの間で電力を互いに供給するためのシステム)充電・放電器は、電動車両に充電を行うだけではなく、電動車両から電気を取り出してオフィスビルや送電網へ送電することが可能なもの。

また同システムで電動車両からの給電は電力系統(発電、送電、配電といった電力生産から消費に関する設備全体)の調整にも活用できるという利点を持っている。

そこで、これに併せて太陽光発電パネルと接続すれば、太陽光発電の余剰電気を電動車両の駆動用電池に蓄電し、この電力を必要に応じて送電網にも戻すだけでなく、非常用電源としても機能させることが可能だ。

なお今回の実証における各社の役割は次の通り。

三菱自動車は、再生可能エネルギーの蓄電デバイスとしても活用できるSUV型プラグインハイブリッド車の『アウトランダーPHEV』を提供。

日立ヨーロッパは、電動車両、オフィスビル、送電網などと接続可能なV2X充電・放電器と車両とビル、車両と送電網を統合させる技術を提供。

エンジーは、電動車両やオフィスビルの電力供給システムと、太陽光発電パネルなど再生可能エネルギーを統合させ、スマートビルディングを構築させる技術を提供した。

次段階は電動車両、再生可能エネルギー、オフィスビルの電力マネジメントシステムをどのように連携させれば、オフィスビルの電力を平準化できるのかを検討していく。

三菱自動車のコベ バンサン常務執行役員は、V2B技術などを活用したスマートシティの発展における電動車両の役割について「この実証事業は、低炭素でエネルギー効率の優れたスマートなビルを構築するための新しい手法として貢献が期待されます。

当社はEVとPHEVが将来の都市エネルギーの重要な要素となることを示したいと考えております」と述べている。