三菱重工業は、2000年代から全世界へ納入してきた全自動無人運転車両システム(AGT/Automated Guideway Transit)Crystal Moverファミリーの新たなブランドとして、より環境に配慮した「Prismo(プリズモ)」を市場投入した。
Prismoは、同社が新たに開発したエネルギーマネジメントシステムを初採用し、駅での急速充電と走行中の回生蓄電を融合させることでエネルギー効率を高めている。
これにより、駅間の架線を無くし(架線レス化)、シンプルなシステムを実現。全自動無人運転の世界を次のステージへ導く。
なお同エネルギーマネジメントシステムには、武蔵エナジーソリューションズ(社⾧:髙橋 航史氏、本社:山梨県北杜市)、三菱電機株式会社(社⾧:漆間 啓氏、本社:東京都千代田区)が共同開発している次世代蓄電モジュール「MHPB(Mitsubishi High Power Battery)」を、AGT 用にカスタマイズし搭載した。
このエネルギーマネジメントシステムの採用により、運行中の車両の減速時に発生する回生電力を車両に無駄なく蓄電・活用することで、従来のAGTシステムと比べ約10%の省エネ運行と約10%のCO2排出量削減を実現させている。
また、駅間の架線による給電が必要ないため、万一の停電時も次の駅まで支障なく乗客を送り届けることができる。
更にPrismoは、センターガイド方式を採用したことにより、軌道をスリムに設計できるため、土木構造物を含めたインフラ建設費を大きく削減することができ、景観向上にも寄与する。
加えて、架線やガイドの削減により、電気・軌道設備を点検・交換する作業も大幅に減り、保守コストも低減できる。
また車輌製造では、必要な電力の全てを三菱重工 和田沖太陽光発電所の電力で賄うなどして工場のCO2排出量を97.5%削減した「カーボンニュートラルトランジションハブ三原」(広島県三原市にある三原製作所)で行うことで、新交通システムの製造・建設時のCO2排出量を、従来に比べ40%以上削減させた。
結果、上述の製造環境、省エネ運行、メンテナンス、廃棄に至るライフサイクル全体、でCO2排出わ約6,400 トン削減した。
——————————————————
ちなみに三菱重工は、1910年に客車と市街電車の製造を開始して以来、交通製品の製造で長い歴史を持つ。
加えて米国・アジアで多数の建設・運用・メンテナンスの実績を有し、蓄積した技術と環境性能を生かしたことから以下の特長がある。
▷高い安全性と稼働率:実績と革新を重ねた自社開発・製造のブレーキ、空調機、ならびに車上管理システムを搭載し、長期にわたる高い稼働率を実現。
▷大量輸送:交通渋滞の影響を受けず、大量輸送が可能
▷柔軟なダイヤ編成:需要に応じた柔軟な運行
▷環境配慮:電気駆動システムを採用し、一人当たりの搬送に伴うCO2による負荷を抑制
▷コンパクトな設計:都市の狭いスペースでも追設・運用が可能な車両・軌道
▷低コスト運営:自動運転により、人材の確保・育成にかかる労力を削減し、メンテナンスコストも低減
——————————————————
次世代新交通システム「Prismo」の関連情報:https://www.mhi.com/jp/products/engineering/prismo.html
関連動画:https://youtu.be/VXOq0ITTCKM
三菱重工業株式会社
ウェブサイト:https://www.mhi.com/jp/
オンラインマガジン「SPECTRA」(日本語):https://spectra.mhi.com/jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/MHI_GroupJP/
公式Instagram: https://www.instagram.com/mhi_groupjp/