MotoGP2016世界選手権・第8戦オランダGP（オランダ、TTサーキット・アッセン、１周：4.542km）が6月26日に開催された。
シリーズ第8戦目となったオランダGPは、目まぐるしく天候が変わると云う歴代の歴史で受け継がれてきた“ダッチウェザー”となり、完走車両が僅か13台という大荒れのレースとなった。
この荒天がレース展開に大きな影響を及ぼし、そうした中で、タイヤの選択とマシンのセットアップに成功したジャック・ミラー（Estrella Galicia 0,0 Marc VDS）が、図抜けたパフォーマンスを発揮して初優勝。これに総合首位のマルケスが辛うじて2位でフィニッシュしてシリーズポイント上のリードを広げた。
シリーズ総合ランキング上位を占めるトップライダーのうち、ロレンソは10位に終わり、ロッシは痛恨のリタイアとなった。
決勝のスタート前から、サーキットのグリッド上空は生憎の雨雲。このためレースは、ウエットコンディション下で開始された。そうしたなかロレンソは、10番手から5番手まで浮上したが、濡れた路面に手間取り思うようにペースが上がらない。
一方のロッシは、グリッド2番手からトップに浮上。素早くリズムをつかんでレースをリードしていたが、Y・ヘルナンデス（ドゥカティ）とA・ドビツィオーゾ（ドゥカティ）に先行されて3番手に後退。
ただ、まもなくヘルナンデスが転倒したため、ロッシは自動的にひとつ上げてトップを行くドビツィオーゾを追う。
ロッシの後方には、D・ペトルッチ（ドゥカティ）とS・レディング（ドゥカティ）が控えており、ここが勝負どころと考えたロッシは、ドビツィオーゾへのアタックを開始。これが4台による激しいトップ争いへと発展したところで、赤旗が提示され、レースは中断となってしまった。
残り12周で再開されたレース2の再開は15時2分。14周目時点の順位でグリッドに並び、12ラップの戦いが始まった。
先のレースの勢いを維持したいロッシは、3番グリッドから飛び出して第1コーナーを2番手で立ち上がり、1周後にはトップに浮上し一気に後続を引き離していった。
しかし3ラップ目、その差が2秒以上に開いたところで濡れた路面に転倒。再スタートはならず、そのままリタイアとなってしまう。
対して予選4番手から決勝に挑んだマルケスは、5番グリッドからバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に続く3番手につけていた。
2周目に前を走るドヴィツィオーゾが転倒、3周目にはロッシが転倒。これでマルケスはトップに浮上するものの、8番グリッドから追ってきたミラーに抜かれて2番手に脱落した。
この間、ロレンソは7列目から追い上げて1周目で13番手まで浮上したものの、中団グループで低迷している。
結果、彼らトップライダーを出し抜いたミラーが4番手から着実にポジションを上げ、4周目にトップを走るマルク・マルケス(Repsol Honda Team)をかわすと、ジリジリとリードを広げ、MotoGPクラスへの参戦2年目にして初優勝を果たした。
これに続き、慎重に走り切ったJ・ロレンソが10位に入って6ポイントを獲得。シリーズランキング首位を走るM・マルケス（ホンダ）に24ポイント差でランキング2位をキープ。ロッシが18ポイント差でこれを追っている。
ジャック・ミラー(MotoGP 優勝)
「なにをどう言っていいのか分かりません。MotoGPで初めて優勝することができました。それを言葉で説明するのは難しいです。
とにかく、信じられない気持ちで一杯です。最初のレースは、とても速く走れました。しかし、雨がひどくなり危険な状態になりました。赤旗の判断は正しかったと思います。
再開したレース2も、ところどころとても滑りやすい状況でしたが、とても快適に走れました。
そして、何人かのライダーがミスをしているを見て、自分のペースをキープすることに集中しました。とにかく、愚かなミスだけはしないようにがんばりました。
そして、マルク・マルケス選手をパスしてからは、優勝のことは考えないようにし、集中して走り続けました。
最終ラップを迎え、チェッカーフラッグを目にしたときは、本当にすばらしい気持ちでした。
Estrella Galicia 0,0 Marc VDSの自分への信頼と献身的なサポートに対して、どう感謝すればいいのか分かりません。こうしたチャンスを与えてくれたHondaにも感謝しています。今はまだ信じられない気持ちですが、今日は楽しみたいです」
RACE DATA
■大会名称：MotoGP第8戦オランダGP
■開催日：2016年6月26日（日）決勝結果
■開催地：アッセン／オランダ
■コースコンディション：ウエット
■気温：15度 ■路面温度：19度
■PP：A・ドビツィオーゾ（1分45秒246）
■FL：D・ペトルッチ（1分48秒339）
RESULT
順位 ライダー チーム マシン タイム
1 ／J・ミラー ／Estrella Galicia 00 Marc VDS ／Honda ／22ʼ17.447
2 ／M・マルケス ／Repsol Honda Team ／Honda ／+1.991
3 ／S・レディング ／OCTO Pramac Yakhnich ／Ducati ／+5.906
4／ P・エスパルガロ ／Monster Yamaha Tech 3 ／Yamaha ／+9.812
5 ／A・イアンノーネ ／Ducati Team ／Ducati ／+17.835
6／ H・バルベラ ／Avintia Racing ／Ducati ／+18.692
7／ E・ラバティ ／Aspar Team MotoGP ／Ducati ／+22.605
8 ／S・ブラドル ／Aprilia Racing Team Gresini ／Aprilia ／+23.603
9 ／M・ビニャーレス ／Team SUZUKI ECSTAR ／Suzuki ／+26.148
10／ J・ロレンソ ／Movistar Yamaha MotoGP ／Yamaha ／+27.604
11 ／T・ラバト ／Estrella Galicia 00 Marc VDS ／Honda ／+1ʼ21.830
12 ／D・ペドロサ ／Repsol Honda Team ／Honda ／+1ʼ54.369
13 ／B・スミス ／Monster Yamaha Tech 3 ／Yamaha ／3 Laps
RIDERS RANKING
順位 ／ライダー ／マシン ／ポイント
1 ／M・マルケス ／Honda ／145
2 ／J・ロレンソ ／Yamaha ／121
3 ／V・ロッシ ／Yamaha ／103
4 ／D・ペドロサ ／Honda ／86
5 ／M・ビニャーレス ／Suzuki ／79
6 ／P・エスパルガロ ／Yamaha ／72
15 ／B・スミス ／Yamaha ／32
CONSTRUCTORS RANKING
順位 ／コンストラクター ／ポイント
1 ／Yamaha ／178
2 ／Honda ／160
3 ／Ducati ／108
4 ／Suzuki ／85
5 ／Aprilia ／45