インターブランドジャパン、日本のブランドランキングトップ40を発表


米ニューヨークが本社拠点の外資系ブランディングファームの日本法人、株式会社インターブランドジャパン(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:並木将仁)は2月14日、東京都・兜町で日本のブランドを対象としたブランド価値ランキング「BestJapan Brands 2018」の記者発表を実施した。

同社のブランド価値ランキングは、2009年から毎年発表されてきたもので、今年で第10回目を迎える。

今回の発表ジャンルは、日本発信のブランドで海外売上高比率30%以上を対象とした「Japan’s Best Global Brands(ジャパンベストグローバルブランド/JBGB)」と、同社が国内地域ブランド(海外売上高比率30%未満)に位置付けた「Japan’s Best Domestic Brands(ジャパンベストドメスティックブランド/JBDB)」の2部門で、各々トップ40ブランドを公開するという内容となっている。

その評価スタイルは、同社日本法人のインターブランドジャパンによると、米インターブランド社が発表する「Best Global Brands」と共通の評価方法を用いたものと述べており、日本企業のブランド価値を、比較可能な世界基準の指標を背景に位置付けたとしている。

その判定基準は、個々ブランドの持つ価値を、独自に金額換算するブランド価値評価(Brand Valuation™)手法を用いたとしており、より具体的には、該当企業の財務的価値を踏まえ対象ブランドが調査段階の時点で「どれだけの金額的価値を持つのか」を、定量的な切り口と、定性的な切り口で分析したものと考えて良いだろう。

個々ブランドの価値判断は、調査を行う地域の経済特性並びに消費市場の特性にも左右されると考えられるが、基本的には、インターブランド米国本社が定めた基準を国際指針に据え、ブランド評価を算出していると考えられる。

そうしたなか、まず「Best Japan Brands2018」では、日本国内の経済環境が戦後3番目の52ヶ月という記録的な景気回復期にある中で、各ランキングのブランド価値の合計金額は、昨年比でグローバルベスト(JBGB)でプラス1.1%の成長。

一方、国内ドメスティックベストのJBDBの方は、マイナス12.2%としている。

このJBDBがマイナスとなっている理由は、JBDBからJBGBへ移行するブランドが年々増え続けているからと同社では述べている。このことから日本ブランドの「グローバル化」が、一層加速化していると同社では謳っている。

個々を業界別を見た場合、「自動車関連の10ブランド」「エレクトロニクス関連の5ブランド」「金融ブランド(5ブランド)」の3セグメントのブランドがランキングで存在感を示していると同社では定義。

特に海外売上高比率30%以上の「グローバル基準」を満たしたことを前提で、金融ブランドのグローバル化が進んでいるとした。

国内グローバルベストでの順位は、トヨタ自動車(50,291$m、前年比−6%)が首位。

これに2番手の本田技研工業(22,696$m、前年比+3%)が付け、3位に日産自動車(11,534$m、前年比+4%)が続く。

4番手はキャノン、5番手がソニー、6番手が三菱東京UFJ、7番手がパナソニック、8番手がユニクロ(ファーストリテイリング)、9番手がスバル(4,001$m、前年比+12%)、10番手が任天堂、11番手がレクサス(3,940$m、前年比+7%)となっている。

以下、自動車関連を拾い上げると13番手がブリヂストン(3,027$m、前年比+1%)、16番手がマツダ(1,886$m、前年比−9%)、17番手が収益面ではインド市場で不動の地位を築いているスズキ(1,852$m、前年比−2%)、27番手がヤマハ<発同機と楽器との合算>(998$m、前年比+11%)、28番手がデンソー(994$m、前年比+5%)、37番手がいすゞ(762$m、前年比+5%)という流れとなっている。

ちなみにBest Japan Brands2018の価値評価については、以下の評価対象基準を用いているとしている。

  • 日本発のブランドであること:日本の企業によって生み出されたコーポレートおよび事業ブランドであること。
  • 各種財務情報が公表されていること:2017年10月31日時点で上場しており,アナリストによる業績予測が入手可能な企業であること(これによりダイハツは脱落した)。
  • 「Japan’s Best Global Brands」では,2016年度実績で,ブランドを冠する事業の海外売上高比率が30%。

以上であること(「Japan’s Best Domestic Brands」では30%未満,「Best Global Brands2017」ランクインブランドは 2017年度のブランド価値を適用)。

  • グローバルで一般に認知されていること。

評価手法は、財務力・ブランドが購買意思決定に与える影響力・ブランドによる将来収益の確かさからブランド価値の評価。

証券アナリストが事業価値を分析・評価するのと同じく「将来どれくらい収益を上げると予想されるか」という視点に基づき、ブランドの価値を分析・評価する。

さらにブランドの金銭的価値測定には以下3つの分析によって評価する。

1. 財務分析:企業が生み出す利益の将来予測を行う
ブランドが冠された事業の現在および将来の収益を予想。その売上から営業費用・税金・投下資本に応じた資本コストを差し引き将来の経済的利益を算出。

2. ブランドの役割分析:利益のうちブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するためブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析する。

3. ブランド強度分析 :ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド強度分析は市場でのロイヤリティ・消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算する。

これに加えブランド強度評価モデル10要素(Brand Strength Model 10 Factors)として、インターブランド独自の計算手法により割引率に変換。その割引率で将来のブランド利益を割り引くことでブランド価値が算定される。

ちなみにインターブランドは、1974年にロンドンで設立されたブランディング専門会社で、現在の本社は米国ニューヨーク。

同社によると世界17カ国、21のオフィスを拠点にクライアントのブランドとビジネス双方の成長を促進する支援を展開していると云う。