日野自動車、2020年3月期第2四半期連結決算会見を実施


日野自動車は10月30日、2020年3月期第2四半期(4~9月)連結決算を発表し、通期業績見通しを下方修正した。米中貿易摩擦などを背景に、インドネシアを主とした海外のトラック販売台数減や為替が響いた。第2四半期決算も累計実績も減収減益となった。(佃モビリティ総研・松下 次男)

下義生社長兼CEO(最高経営責任者)は都内で開いた決算発表会見で「今期の収益を重く受け止め、収益力強化に取り組んでいく。これにより下期さらなる上積みを目指すとともに、来期以降の収益拡大につなげたい」と述べた。

通期見通しを下方修正、2Q累計実績は減収減益

2020年3月期連結決算見通しは売上高を1兆9000億円(前年度比4・1%減)、営業利益を680億円(同21・6%減)、当期純利益を400億円(同27・2%減)に修正。期初予想に比べ売上高で600億円、営業利益で220億円、当期純利益で160億円それぞれ引き下げた。アジアを主体に市場の回復が鈍く、19年度のグローバル販売台数計画を期初見通しから16万台引き下げ193万台(同5%減)へと下方修正したのが主な要因だ。

19年度第2四半期累計決算の実績は、売上高が9461億円で前年同期比1・2%減、営業利益が328億円で同14・1%減、当期純利益が186億円で同23%減となった。グローバル販売台数は9万3831台と同6・3%減のマイナス。とくに海外販売台数が5万7976台と同12・9%減と大きく落ち込んだのが響いた。国内販売はトラックの排ガス規制の影響から3万5855台と同7%のプラスだった。半面で、下期は反動減を見込み、通期では前年並みを予想。

インドネシアを主とした海外販売減や円高が響く

第2四半期累計業績をみると、とくに主力市場のインドネシアで大中・小型トラックとも販売台数が想定を大きく下回ったのが業績悪化の要因だ。「着実に市場は回復基調にあるものの、想定より大きく遅れている」とし、販売台数は1万3829台(前年同期比28・5%減)にとどまった。

年度見通しも期初予想から8千7百台下方修正した。米国は7235台と同9・4%増のプラスとなったものの、先行きは不透明として通期予想を2千3百台下方修正した。タイは6192台(同4・7%減)とほぼ計画どおりの推移となった。

収益力強化に取り組み、下期は目標に上乗せを

これに伴い通期の海外の販売台数予想を12万4千台(前年比5・8%減)と期初公表から1万6千台下方修正した。トヨタ向け事業は、SUVの販売増やタイでのユニット販売が伸び、上期は車両、ユニット販売ともプラスだった。

通期の販売台数予想も13万8500台と期初公表から800台上乗せした。為替は通期予想を1ドル107円の設定と期初の110円から円高方向に修正。とくにオーストラリアドルや新興国通貨に対し、円高基調となっているのが利益圧迫要因になっているとの懸念を示した。

下社長兼CEOはこうした厳しい環境下に対し中期計画のチャレンジ2025に沿って「収益構造改革を推進する」と強調。各領域で収益構造を見直すとともに、全ての領域で原価低減を徹底し、抜本的な業務効率化を図りたいとした。これにより今回の公表値から下期「さらなる上積みを目指したい」と述べるとともに、来期以降の収益拡大へつなげていく方針を示した。

松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。