マツダ、2020年3月期第2四半期連結決算会見を実施


北米、中国の販売減が響き減収減益、営業利益は14%減

マツダが11月1日発表した2020年3月期第2四半期(4~9月期)連結決算は、北米や中国などでの販売減が響き減収減益となった。これを踏まえ、日本や北米、ASEAN(東南アジア諸国連合)の販売台数計画を見直し、20年3月期の業績予想を下方修正した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

藤原清志副社長は都内で開いた決算発表会見で「今は販売の質を落とさない取り組みを続けることが重要。これにより中期計画期間中に、5%以上の売上高営業利益率を実現したい」と強調した。

通期見通しを下方修し正販売の質を落とさない政策を継続、北米は2Q黒字化を達成

20年3月期の通期見通しは売上高、営業利益を期初予想からそれぞれ2000億円、500億円引き下げ、3兆5000億円(前期比1・8%減)、600億円(同27・1%減)に修正した。当期利益についても370億円引き下げ430億円(同31・9%減)の予想に見直した。

第2四半期連結業績(累計)は売上高が1兆7066億円で前年同期比1・3%減、営業利益が258億円で同13・5%減、当期純利益が166億円で同30・3%減の実績となった。日本、北米、中国の販売台数がマイナスとなるなど、グ ローバルの販売台数が73万1千台の実績にとどまり、前年同期に比べ6万5千台、8%の減少となった。

北米に投入した新型「マツダ3」が上級クラスでは好調に推移したものの、量販価格帯で苦戦。インセンティブ(販売奨励金)競争が激しいなか、「あえて量を追わず、販売費用の抑制や売り方の改善策を追求した」ことなども台数減の要因となった。

半面で、販売費用の抑制・単価改善の効果で4~9月は312億円の改善と達成。米国事業についても第2四半期の3カ月ベースで米国事業は黒字となった。為替はユーロや豪ドルなどで円高となり、上期375億円の悪化となった。

決算実績と見通しを語る常務執行役員・企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏
決算実績と見通しを語る常務執行役員・企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏

量産EVを20年に市場投入するのに伴いラージ商品群はステップ・バイ・ステップで拡大

こうした上期の実績を踏まえ、通期のグローバル販売台数を見直した。期初予想に 対し北米で2万5千台、日本で1万4千台、中国で1万台、ASEANで1万1千台引き下げるなど合計で6万8千台引き下げ、グローバルの販売台数計画を155万台(前年比1%減)へと下方修正した。

決算発表にあわせて藤原副社長は2020-25年3月期の6年間の中期経営計画の施策、取り組みを公表した。

この中で、2025年3月期までの販売計画について2018年4月に公表していた新世代商品群を主体にした商品戦略から、新世代スモール商品群が変わらいないものの、新世代ラージ商品群は一気に増やさず、商品力を強化した現行世代商品群を活用しながらステップ・バイ・ステップで世代移行を進めていく方針へ修正する考えを示した。

今年の東京モーターショーで公開した初の量産EV(電気自動車)「MX-30」を2020年に市場投入するのもラージ商品群を少し先送りする要因という。

中期経営計画を語る代表取締役・副社長執行役員、社長補佐、グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス統括の藤原清志氏
中期経営計画を語る代表取締役・副社長執行役員、社長補佐、グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス統括の藤原清志氏

プレミアムブランドを目指すのではなく、高い商品価値に対し納得感のある価格を提供

また、中期経営計画の後半3年間に順次投入する縦置き直列6気筒エンジン搭載車やプラグインハイブリッド車(PHV)のラージ表品群は「高価格を目指すのではない」とし、高い商品価値に対して納得感のある価格で提供すると表明。「我々はプレミアムブランドを目指しているわけではない」と述べた。

製品について語る取締役・専務執行役員、企画領域・渉外・MDI&IT統括の古賀亮氏
製品について語る取締役・専務執行役員、企画領域・渉外・MDI&IT統括の古賀亮氏

財務指標では、今年春に25年3月期のグローバル販売目標を18年4月の公表値の200万台から約180万台へ引き下げ公表したが、今回もこの目標値は据え置いた。売上約4・5兆円、売上高営業利益率5%以上も同様だ。

販売面について語る執行役員、ブランド推進・グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス担当の梅下隆一氏
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松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。