GMとホンダ、米ミシガン州で燃料電池自動車搭載ユニットの量産合弁会社を業界に先駆けて設立へ


(表題会見動画リンクあり・14分42秒)ホンダは燃料電池自動車搭載のシステム生産拠点を米GMに集約、日本国内に於ける生産製造については撤退の意向

米ゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)と、本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)は、米国時間の1月30日、水素燃料電池システムの心臓部の量産を行う合弁会社「フューエルセルシステム・マニュファクチャリング(FCSM)」の設立を発表した。

(Press conference videos)Honda and General Motors Fuel Cell Announcement 

GMとホンダによる次世代燃料電池ユニットの心臓部

同分野に於ける合弁会社設立は、世界の自動車業界に於いても初のこと。製造事業並びに拠点は、ミシガン州デトロイト南部・ブラウンズタウンに既設されているGMの電池パック製造工場内で、LLC法人として始動する。

ミシガン州デトロイト南部・ブラウンズタウンに既設されているGMの電池パック製造工場

両社によるこの燃料電池システムの本格的な量産体制は、2020年を目処に開始され、この新事業により、米国に於いて約100名の新規雇用が創出される。

なおこの合弁会社に対しては、双方の企業から8500万ドル(約96億円)の投資を行うとしている。

また上記投資と同じく、事業運営に於いては、双方が保有する2200件以上の特許などを背景に等しく経営幹部が双方より3名づつ派遣され、両社共同の取締役会によってフラットな事業運営が実行されていく予定である。併せて新会社の代表者も、双方間での持ち回りを介して任命・経営されていく予定だと云う。

ミシガン州デトロイト南部・ブラウンズタウンに既設されているGMの電池パック製造工場建屋外観

かつてホンダとGMは2013年7月、水素貯蔵技術に関わる共同開発機構の設立を皮切りに、互いに協力して精力的なシステム開発を進めて来たが、両社は、これを機に双方の開発チームの統合をさらに推し進め、水素燃料電池の開発・製造領域に関しては、双方の知的財産の完全共有を目指していく。

なおこれに伴いホンダ側は、2016年3月より国内生産を行ってきた燃料電池システムの国内製造からは撤退する意向だ。

こうした決断について、本田技研工業株式会社 専務執行役員 北米地域本部長、ホンダノースアメリカ 兼 アメリカンホンダモーターカンパニー取締役社長の神子柴 寿昭氏は、「過去3年間、ホンダとGMは、それぞれの専門領域におけるノウハウを提供し、両社のエンジニアが『ワンチーム』として、次世代燃料電池システムの小型化に取り組むだけでなく、ユニットの低コストも目指し開発を重ねてきました。

この素晴らしいチームワークの基礎があって、今回両社が将来の燃料電池車で、お客様に対して新しい製品価値を創造することを可能にする、燃料電池システムを共同で量産する段階に至りました。

今後は、両社が持つ技術ノウハウをさらに統合させていくことこそが、新しい道を切り開く最良の選択肢であると考えています」と述べている。

加えて本田技研工業株式会社 取締役 常務執行役員 四輪事業本部長の関口 孝氏は、「初代CLARITYの燃料電池システムの開発に向けてHondaが確立した専門技術は、貴重な経験としてGMとの次世代燃料電池システムの共同開発に活用されています。

両社の提携は、それぞれの会社の強みをさらに活かし、出来るだけ早期に燃料電池車の普及を図るチャンスだと考えています」と語っている。

会見に臨んだGMとHONDA、その後のフォトセッション

またGM専務取締役 グローバル燃料電池ビジネス担当のチャーリー・フリース氏は、「この次世代燃料電池システムで、GMとホンダは、低コスト・大量生産可能な燃料電池システムの実現に劇的に近づいており、貴金属の使用量も大幅に削減されました。

また、あらゆる機能をフルに担うチームが、システムのデザインを進化させるのと同時に、先進の生産プロセスの開発も行っています。その結果が、寸法も質量も小さい低コストの燃料電池システムの実現です。

今後は、完全にクロスファンクショナルとなるチームによって、より高度な技術統合と、革新的な製造プロセスが実現することになります」とコメントした。

加えてGM上級副社長 グローバル製品開発・購買・サプライチェーン担当のマーク・ロイス氏は、「燃料電池に関するイノベーションにおけるリーダー企業2社の協業は、燃料電池をクルマの推進力の主流へと近づけるエキサイティングな動きであり、挑戦です。

既に同技術は、ユニットの低コスト化という実用レベルの課題解決に取り組んでおり、同課題を乗り越えていくことで、ドライバーや乗員だけでなく、社会環境全体に対して、全く新しいモビリティ社会の実現をもたらすでしょう」と結んだ。