ボッシュ、IAA2018で貨物輸送関連の新技術を提案する


独・ボッシュこと、ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は、第67回IAAハノーバー国際モーターショー(商用車)で未来の貨物輸送のための革新技術を発表する。なお同社のブースは第16ホールのA01となる。

IAA 2018開催にあたり、同社が打ち出すコンセプト要素は、「コスト削減」、「物流チェーンの改善」、「ドライバーの負担軽減」であり、これを踏まえ商用車の自動化やネットワーク化。さらに電動化を可能とするソリューションで物流管理の高効率と安全性向上を提案していく構えだ。

まずそのひとつは、クラウドプラットフォームからサービス提供を行うための施策である。具体的にはボッシュは、自らのクラウド環境を活用することで商用車をネットワーク化に組み入れる。これにより故障予兆診断や無線ソフトウェアアップデートなど、クラウドベースのサービスに向けた技術的なベースを提供する。

このプラットフォームは、主に2つの要素で構成されており、そのひとつがベーシックなソフトウェアモジュールだ。これは車両、クラウド、サービス間の安全な通信用インターフェースである。

さらにもうひとつはデータ管理モジュールと同社が呼ぶもので、これは商用車メーカーやフリート車両のオーナーが車両に関するデータを体系化して分析し、車両のソフトウェアをコンスタントにアップデートできるようにするためのものだとしている。

これらによってボッシュのシステムは、予期せぬ故障の予兆をクラウドからの診断機能を介して感知し、大きな経済的損失を防ぐとしている。

また同社の走行環境から最も効率的な走りを導く「eHorizon」は、高解像度地図と前方のルートの地形データによりエンジン/トランスミッションをマネジメント。可能な限り効率的な走行モードを選択することで、燃料消費量を抑えるとしている。

既にこのeHorizonの利用は数年前から開始されており、今後は地図に保存されている情報が実際の道路条件と合致するかどうかを確認する機能が加わると云う。

例えば地図上の制限速度は50km/hであるのに、30km/hの制限速度を示す標識が車載カメラで検知された場合には、トラックのナビゲーションシステムは新しい制限速度を学習するようになる。

こうした情報は今後、クラウド経由で他のトラックにも共有されるようになるが、これら改良されたeHorizonは2019年初めから実際の市場に向けて提供される予定としている。

また貨物輸送では、自分の荷物が今どこにあって、どのように扱われているのかが気に掛かるもの。そこでボッシュのトランスポート データ ロガーは貨物のサプライチェーンを透明化し、貨物の状態を明らかにする。

具体的には、約10平方センチメートルの小さなボックスを搭載。これにはセンサーが内蔵されており、壊れやすい荷物の輸送を監視し、輸送中の庫内の温度、湿度、傾き、衝撃を常に測定する。

測定された数値はスマートフォンやタブレットアプリに表示され記録。その記録数値が一定のラインを超えると、アプリが警告し、荷物の潜在的な損傷を早期に検知し、その原因発生に関わった担当者を特定する仕組みだ。

また車両との通信はセントラルゲートウェイを介してトラック内のECUと外界とのデータ交換を制御、ここに最新の伝送技術と暗号化技術を搭載することで車両ネットワークへの不正アクセスは独自の侵入検知システムによって防がれる。

またIAA 2018で発表されるのはこうしたネットワークシステムだけではない。車両ではボッシュとMekra Langがサイドミラー向けに開発したデジタルミラー&カメラシステムが提案される。

なおこれは2019年に量産開始となる予定だ。その構造はキャビン左右の大きな2つのミラーがビデオセンサーに置き換わり、空気抵抗を減少させ燃費が2%向上する。

またカメラからの画像はリアルタイムで運転室キャビンの高解像度モニターに表示され、その表示は状況に応じて調整可能だ。例えば高速道路ではロングビュー、市街地走行では広角ビュー、夜間走行時には高コントラスト表示となる。

ちなみにこのシステムは既存車両に対してデジタルサイドミラーを後付けできる。その性能は4つの超広角カメラを持ち、車両周囲360°を表示できる。

インストルメント・パネルでは、コックピットにデジタルメーターパネルを採用する。これは従来のスピードメーターの表示に加え、機能に関する情報、ルート計画の図、リバースカメラまたはナイトビジョンカメラからの画像のいずれかが運転状況に応じて優先的にディスプレイに表示されるようになっている。必要な情報が常に的確に表示されるため、複雑さが抑えられ、ドライバーは完全に運転に集中することができる。

また市街地での走行でトラックのドライバーは車両の流れ、信号機と道路標識を確認しながら、歩行者や自転車走行者にも注意を払う必要がある。こうした複雑な状況に応えるため、ボッシュは旋回時警告システムを搭載。横断する歩行者や自転車走行者をレーダーセンサーが事前に検知し、衝突が差し迫っている場合にはドライバーに警告し、速やかなブレーキ/回避操作を促す。

併せてレーダーセンサーを使用して車両の周囲を監視し、道路利用者がいる場合にはそれを検知してドライバーに死角に於ける警告を促す。この機能は車線変更時に衝突が差し迫っている場合にもドライバーに警告してくれる。

緊急プレーキやレーンアシストも勿論搭載されており、ドライバーの意志を伝える重要パーツのひとつ、ステアリング機能には、電子制御油圧式ステアリングシステム「Servotwin」を搭載する。

さらにリーディングアクスルやトレーリングアクスルを使用して3軸以上の商用車を操舵する電動リア アクスル ステアリングシステム(eRAS)も用意されている。これによって回転半径を小さくし、タイヤの摩耗を抑えることができる。

その他、都市部で食料など小さな荷物を迅速・柔軟に運ぶ時に活躍する電動貨物二輪車。最大トルク63Nmで貨物二輪車を駆動する電動二輪車用パワートレイン「Performance Line」。電気自動車の航続距離を25%伸ばすことができる電気自動車のサーマルマネジメント。AdBlue噴射システムで、選択型還元触媒(SCR)コンバーターとの組み合わせにより徹底的な排出ガス後処理をサポートする低公害対策ユニット。

今後数年間で2桁ペースで成長すると予想される天然ガス駆動システム。バスの客室キャビンをエンターテインメントセンターに仕立てることが可能なマルチメディアテクノロジー。これらを一括操作するための長距離バス向けヘッドユニットなどが展示される予定としている。