〝自動車を買いたい人〟が、〝購入中止・延期した人〟を上回る
トヨタ100%出資の広告会社デルフィス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長: 棚田京一)は、コロナ禍真っ只中のGW中2度に別け(第1回:1,000名、第2回:600名)、人口構成比に沿った18歳~69歳の男女に対して〝移動〟をテーマとした意識調査を実施した。(坂上 賢治)
この調査は、政府が「緊急事態宣言延長」を発表した5月4日を中心に、GW前半(4月28日と29日)と、GW終了後(5月11日と12日)に行われた。
その結果〝移動に関わる意識変化〟で、都市部でもクルマの利用頻度が増え、全国規模でも〝安全な移動手段〟としてクルマが再認識されて乗用車に対する購入意欲が高まっているという。
また〝生活意識に関わる変化〟では、外出行動で我慢が続くなか「気軽に外食に行きたい」などの欲求のほか、コロナ禍収束に向けて「前向きに頑張りたい」とした生活意欲の高まりが全体の7割を超えたとした。
新しい日常に向けた、新たな消費行動と生活者意識
具体的には〝今後どのように暮らしたいか〟という質問ついて、全ての性年代で「当たり前の日常を大切にしたい」という意見。
さらに世代別では10〜20代男女を中心に「新しいモノやサービスを取り入れて生活を改善したい」「新しいコトを始めてみたい」という意識が高い意見が弾き出され、コロナ禍収束後を見据えた行動意欲に積極性が見られる数値を得たとしている。
これを受けてデルフィスでは「感染リスク防止の観点で、安全な移動手段 × プライベート空間」という二面を兼ね備えたクルマの価値が再認識され、このような安全価値の高まりに伴いクルマの購入ニーズが高まっているとした。
同調査に於けるより具体的な例では〝期間中クルマを運転する頻度が増えたか〟という設問に、特に感染者が多い一都三県(埼玉・千葉・東京・神奈川)で26%と大きな増加傾向が見られるとし、〝所有から利用〟に移り変わってきたクルマに対する価値観に新たな変化の兆しが生まれていることを予見した。
これについて同社のコミュニケーションデザイン局・朝岡幹雄局長は「〝屋外でのプライベート空間の確保〟と〝新しい日常〟に向けた人々の活動を軸に考えると、新しい日常を前向きに捉え、プライベート空間としてのクルマを上手に使いながら、安全に自分の時間を楽しむ人々が、今後はさらに増加するものと推察します」と結んでいる。
「所有よりも利用」という流れが揺り戻される新たな潮流
もとより今回の新型コロナ禍により、個々人の仕事などの生産・経済活動に箍(たが)がはめられたことを通して、生活上の懐具合いに深刻な影響が及んでいるのは確かだ。
それに加えて、本来は自由である筈の〝時間〟や〝移動〟などの行動にも制限が加えられていることから、もはや制限撤廃後の経済社会の戻り予測に疑問符が付くほどの状況となっており、消費意欲の長期低迷で、未来の行く末に対して予断を許さない状況にある。
そうしたなか翻(ひるがえ)ると、ここ数年は若年層を中心に〝繋がり〟を軸としたコミュニケーション消費が堅実に伸び続けてきた。
これにキャッシュレス決済などの比較的新しいデジタル消費行動が加わり、一頃、モノを買って所有するより、その体験をサービスとして利用できればいいという価値観が急速に高まってきていた。
しかし今回の〝移動制限〟や〝ソーシャルディスタンスの遵守〟という新たな生活スタイルの導入によって、早晩には得られない体験や、利用できなくなったサービスが幾つか出始めている。
つまるところ個々人を取り巻く生活上のリスクを避けるため、〝利用するだけ〟より、むしろ〝所有した〟方がストレス無く体験価値が愉しめる事例が新たに生じてきたということだろう。
従って今後は一気に揺り戻しが起きて、体験内容によっては〝モノを所有すること〟への回帰が生まれるかも知れない。アフターコロナに於ける〝商機〟が、そうした新しい消費行動に伴って誕生しそうな機運が育まれ始めている。
以下デルフィス調べ
コロナ禍における「移動」「クルマ」に関する意識調査を実施